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令和6年(2024年)5月5日(日) / 日医ニュース

代表質問回答要旨

1 日本医師会の真の組織強化のための都市と地方の格差拡大抑制について
~準会員制度の創設等の新たな取り組みの議論を始めるべき~

 中西敏夫代議員(広島県)は、日本医師会の組織強化への取り組みについて、卒後5年間の会費減免は一定の役割を果たしているとする一方で、日本医師会の代議員定数が大都市圏域において更に増加し、地域格差が拡大することへの懸念を示した他、卒後5年経過後の勤務医を対象とした新たな制度の検討を提案した。
 答弁を行った釜萢敏常任理事は、「現状では代議員定数の地域格差が拡大しているという事態にはつながっていない」との考えを示す一方で、そうした事態に備えて議論を開始するべきという質問の趣旨に理解を示した。
 また、新制度の例として、会費を半額とする代わりに役員等の選任に関する選挙権・被選挙権を有さない等の制限を設けた「準会員」の創設が挙げられたことに対し、同常任理事は、日本医師会は公益社団法人であるため、各会員に等しく代議員の選挙権・被選挙権を保障する必要があること等を説明し、創設は難しいとした上で、「若手勤務医が全国から参画する日本医師会」を実現すべく、本年10月末に公開予定としている新会員情報管理システムを通じた入会等の諸手続きの負担軽減や、組織強化に向けた更なる取り組みに着手していくとした。

2 日本医師会の会員増強・組織強化の取り組みへの提案について

 上田朋宏代議員(京都府)からの若手医師会員との情報共有、入会促進・会員資格の継続に向けた日本医師会の取り組みについての質問には、釜萢常任理事が回答した。
 同常任理事は、まず、若手医師会員との情報共有について、若手医師会員が医師会活動に興味を持って参画できるよう、各地域医師会が若手医師会員を対象とした企画を積極的に設ける等、さまざまな機会を通じて接点を持つことが重要であると強調し、地域医師会に対して引き続きの協力を求めた。
 また、入会促進・会員資格の継続については、医学部卒後5年目までの会費減免期間に医師会に入会してもらうことを重視し、働き掛けを行っていることの他、新会員情報管理システムの導入により、利便性の高い運用と入会・異動手続きの簡素化が実現されるよう取り組んでいることを紹介した。
 更に、SNSの活用を始めとする、京都府医師会における組織強化の取り組みについて、「他の都道府県医師会においても大変参考になるものである」として敬意を表した。

3 医師会への入会及び医師会間の異動に関する手続きのオンライン化について

 三條典男代議員(山形県)の新会員情報管理システムに関する質問には、笹本洋一常任理事が今年10月末のシステムの公開に向けて、7月末までにブロック単位での説明会を開催、8月下旬に一部の医師会で先行導入開始予定であることを報告。その上で、システムの内容については、異動手続きの負担が会員本人、医師会事務局共に軽減されることの他、国内2カ所にクラウドサーバを配置するなど、医師会事務局業務の継続性を担保していること等を説明した。
 また、現行の各医師会が管理しているデータの今後の取り扱いについては、取りこぼしなく新システムに移行できるよう、専用の事務局を立ち上げていることなどを報告。引き続き、会員増強と組織強化に資する新システムの構築を強力に推進していく意向を示すとともに、周知専用サイトの活用を求めた。

4 近未来の健康保険診療における価格転嫁システムの変革の可能性について

 近未来の保険診療に対する日本医師会の見解を問う増田幹生代議員(東京都)からの質問には、茂松茂人副会長が回答した。
 医療費の財源に関しては、「物価や人件費の高騰に伴い、保険料や税収も上がっていく。昨今の税収の上振れ分を医療費の財源として活用する他、消費税の一本足打法からの脱却を図り、さまざまな財源を活用する必要がある」と指摘。医療保険外の費用負担のあり方については、「長期収載品に選定療養的な考え方が入り込んできた中で、保険外併用療養費制度の更なる活用等が検討されていく可能性がある。公助・共助・自助のバランスを考えながら自己負担のみを上げないことが重要であり、低所得者への配慮も不可欠だ」とした。
 その上で、同副会長は、「医療において新自由主義的な改革を推進することにより、弱い立場にある方々にしわ寄せが来るようなことがあってはならない」と強調。人を大切にする医療を実現するためにも、経済界とも対話を重ね、理解を深めながら、丁寧に対応していく考えを示した。

5 検証組織の創設について

 藤原秀俊代議員(北海道)は日本医師会が中心となって、これまで行われてきた改革や改正を検証する組織を創設することを提案。これに対して、猪口雄二副会長は、会内の医療政策会議などで検討を行っており、必要に応じて厚生労働省等関係省庁に働き掛けているとした他、中長期的には日医総研の機能を高めた上で、必要な検証を行うことも視野に入れているとした。
 また、「医療政策は利害対立もあり、医師会の主張だけが必ずしも通るわけではない。財務省、厚労省、患者団体等、それぞれステークホルダーがいて、"ベクトルの均衡点"でそれぞれの許容範囲の絶妙なバランスで決着している」と述べるとともに、過去の政策は、当時の時代背景を踏まえて、その都度、先人達が知恵を絞り、条件と政治バランスを踏まえ練られた結果だとの考えを示した。
 その上で、同副会長は社会保障政策を日本医師会の主張に少しでも近付けるためには政治力が必要であり、組織強化を図ることによって、医師会の存在意義を改めて確認し、団結していくことが不可欠になると強調し、理解を求めた。

6 就労世代のがん対策とPHRの推進について

 桶谷薫代議員(鹿児島県)からの就労世代のがん対策とPHRの推進に向けた日本医師会の取り組み等を問う質問には、黒瀨巌常任理事が回答した。
 同常任理事は、まず具体的な取り組みとして、「知っておきたいがん検診」の日本医師会ホームページへの掲載を始め、「がん対策推進企業アクション」において指導的役割を果たすなど、がん対策を積極的に展開しているとともに、厚労省の審議会等へ参画していることなどを説明。
 また、健康寿命の延伸には、生涯保健事業の拡充が必須であり、PHRがその重要な役割を担うとの考えを示し、今後、会内の公衆衛生委員会の「健(検)診情報の活用に向けた課題と方策」の答申内容を踏まえて、厚労省を始めとする関係省庁及び官民PHR関連団体と協働し、全世代のがん対策に資するPHRの普及並びに拡充を促進していく意向を示した。

7 看護師不足と医師会立看護師等養成所について

 松山眞記子代議員(埼玉県)からの看護師不足と医師会立看護師等養成所の問題への見解を問う質問には、釜萢常任理事が回答した。
 同常任理事は、看護師等養成所の定員割れの要因を18歳人口の減少と大学志向に加え、社会人のあらゆる業界の人材不足による影響があると指摘。その上で、看護職志望者の確保に向けたPR動画を制作したことを紹介した。
 また、潜在看護師の掘り起こしについては、離職時に都道府県ナースセンターへの届出が努力義務とされ、潜在化しないようなアプローチが行われているとし、「引き続き、ナースセンターやハローワークの活性化を求めていく」と述べた。
 更に、行政による支援に関しては、「看護職の確保は自治体の責務である」として、看護師等養成所への運営費補助及び看護職志望者に対する修学支援について、各医師会等から地元自治体等への働き掛けをお願いするとともに、日本医師会としても引き続き、国に対して財政面を含めた存続への支援を求めていくとした。

8 生活習慣病に係る医学管理料の見直しについて(2024年度診療報酬改定)

 田名毅代議員(沖縄県)からの2024年度診療報酬改定で再編された生活習慣病に係る医学管理料の見直しに関する質問には、長島公之常任理事が回答。
 同常任理事は、生活習慣病に係る医学管理料の見直しが与える影響の把握と対応は重要であるとし、医療機関への影響に関する調査設計並びに結果分析・対応が適切なものになるよう、中医協でしっかり取り組んでいく姿勢を示した。
 また、会内の社会保険診療報酬検討委員会において前回改定の評価の上、今回の改定の要望事項等をまとめ、対応したことに触れ、「6月からの改定施行において医療現場で生じた課題・問題についてもぜひ知らせて欲しい」と要望した。
 更に、今回改定での経緯を報告した上で、改めて医政活動の重要性を強調し、医師会の組織強化と日頃からの地元選出国会議員との関係強化及び来年の参議院選挙の協力をお願いした。
 最後に、生活習慣病管理料の改定内容については、改めて整理、解説したものを周知するとともに、要望があれば各ブロックに説明に赴く意向を示した。

9 医師の将来について

 沖中芳彦代議員(山口県)からの医師の処遇に関する国のビジョンなどを問う質問には、今村英仁常任理事が回答した。
 同常任理事は、まず、「国民皆保険を敷くわが国の医療制度下において、医師は自らの処遇に関する国の考えを知る権利は当然ある」とする一方で、医師の将来は医療界自らがつくり上げていくものでもあり、その中で医療界を代表して国に提言を行うのが日本医師会の重要な役割の一つであると説明。
 また、厳しい財政状況の中でも、国には安全かつ質の高い医療の提供や医師の処遇のための十分な財源を確保する責務があるとした上で、制度設計や予算、税制は政治で決まることを指摘し、「ここにしっかりとコミットしていかなければ、我々が考える真に国民に必要な医療提供体制の実現はかなわない」と述べ、医政活動の重要性を強調した。
 更に、発言力強化のためには組織強化が必要とするとともに、日本医師会として、医師が将来にわたり医学の発展と医療の提供に専念できる環境の実現に努めていく姿勢を示した。

10 セルフメディケーションと医薬品の安定供給について

 岡林孝直代議員(兵庫県)からのセルフメディケーションと安定供給に関する質問には、宮川政昭常任理事がまず、セルフケアの一つの手段であるセルフメディケーションについて、「OTCの適切な選択、助言・相談体制が必要であり、薬剤師の的確な受診勧奨に基づく情報共有とともに、医療機関との連携がその根幹にある」として、その過度な推進に懸念を示した。
 その上で、医療用医薬品の安定供給とOTCの関係について、同成分であっても、OTCをすぐに保険適用薬として生産することはできないと指摘。OTCは配合製品が多く、製造管理や品質管理も医療用と異なり、医療現場への提供はできないことなどを説明した他、長期収載品からのスイッチOTC化の検討では、使用者の安全を最も重要視しているとした。
 更に、感染症法及び医療法の改正により医薬品の供給に関する各種対応が図られる予定であること等を紹介し、「これらは医療用医薬品の安定供給に資することになる」と述べた。

11 日本国民が健康で充実した生活を営むために、今後の学校保健のあり方や学校医を含む医療関係者、養護教諭が力を入れるべき教育はどうあるべきか?

 弘瀨知江子代議員(東京都)からの今後の学校保健のあり方などについて、日本医師会の見解を求める質問には、渡辺弘司常任理事が回答した。
 同常任理事は、まず、健康寿命延伸の方策について、健康教育の重要性を指摘。学校保健委員会においても健康教育の推進として、ヘルスリテラシーの向上を目指す土台と環境づくりを提言している他、国の中央教育審議会でも、ヘルスリテラシー向上の重要性を主張しているとして理解を求めた。
 また、学校保健の課題として、学校健康診断のあり方と情報の利活用を挙げ、その解決のためにも情報を一気通貫に把握できるPHRの構築が必要になると強調した。
 学校医の将来に向けた方策については、間もなく完成する冊子『学校医のすすめ』が、なり手不足の解消や現職のモチベーション維持に役立つとするとともに、負担削減等のため、養護教諭等も含めた「チームとしての学校」の構築、その他、ヘルスリテラシー教育の実践推進については、給食時等さまざまな場面で健康に関して興味をもたせることが、それぞれ求められると指摘した。

12 医療DXの推進と医療情報の活用

 堀地肇代議員(富山県)は医療DXの推進と医療情報の活用に関して、(1)会員への支援・教育、導入と維持の費用、(2)医療情報の目的外利用の現状と防止策、逸脱した収益事業化の監視―について、日本医師会の認識と具体的対応策を質した。
 まず、(1)について、長島常任理事は、国に対してITの教育や研修の機会を確保することを繰り返し求めている他、日本医師会としてホームページ(メンバーズルーム)に医療DX相談窓口を設置していること等を説明。導入と維持の費用については、国へのさまざまな要請の結果、今回の診療報酬改定で「医療DX推進体制整備加算」が新設されたことなどを挙げた。
 (2)については、日本医師会医療情報管理機構(通称J-MIMO)が次世代医療基盤法の認定事業者となったのは、「医師会自らが業界に参画することで、医療情報を健全かつ安全に研究・開発に活かせるようにするためだ」とした上で、個人情報保護法下において不適切と思われる事象については、国と連携して注意喚起や提言を行っていくとした。

13 医療AI(Artificial Intelligence)の位置づけをどのように考えるか?

 野中雅代議員(北海道)は医療AIの位置付けについて、(1)医療AI技術の取り扱いや規制、政策提言、(2)日本医師会医療情報管理機構(以下、J-MIMO)の活用や、AI技術の透明性―について質問。
 佐原博之常任理事は、(1)に関して、日本医師会の医療AIに対する基本的な考え方は令和4年3月の生命倫理懇談会の答申に基づくものであるとした上で、会内に設置されたAIホスピタル推進センターの活動を通じてガバナンスを発揮し、一定の公平性・公益性を保っているとした。
 (2)については、J-MIMOとAIホスピタル推進センターが連携し、関係者への周知や働き掛けをしていくことや、データや成果の帰属先については、①医療機関や自治体等から取得した医療情報の利用権は認定事業者に②認定事業者が提供する匿名加工医療情報を用いて、利活用者が研究・開発した成果の知的財産権は利活用者に―帰属することを説明した。
 その他、同常任理事はあるべき医療AIの姿について、来期、会内の会議体で検討していく予定であること明らかとし、その成果をAIホスピタル推進センターやJ-MIMOの活動に反映していく考えを示した。

14 在宅医療提供体制の今後のあり方について

 佐竹真一代議員(岐阜県)からの在宅医療提供体制の今後のあり方についての質問には江澤和彦常任理事が回答した。
 まず、日本医師会の目指す在宅医療提供体制については、「日頃から診療している患者が通院困難となった場合、かかりつけ医、もしくはかかりつけ医と連携する在宅医療を担う医師が在宅医療を提供することが本来の姿である」と述べた。
 次に、有料老人ホーム等の高齢者施設等による主治医の決定や、それに伴う在宅医療専門の医療機関の参入等の問題については、本来のかかりつけ医と縁が切れてしまうことは、日本医師会としても由々しき問題であると認識し、厚労省に是正を求めてきたことを説明。「その結果、国が示す有料老人ホームの設置運営標準指導指針に『入居者が医療機関を自由に選択することを妨げないこと』などが明記された」と報告した。
 その上で、かかりつけ医は患者が選択するものであり、不適切な誘導はあってはならないことから、引き続き国に対応を求めるとともに、不適切な事例に対しては、指導監査を担当する行政と医師会の連携による対応も必要との考えを示した。

15 日本医師会が目指すオンライン診療について

 伊藤伸一代議員(秋田県)からの日本医師会が目指すオンライン診療についての質問には角田徹副会長が回答。
 オンライン診療は、平時における「医療機関へのアクセスが制限されている場合に対面診療を補完する場合」に加え、災害時やパンデミックなどの有事においても有用であるとし、D to P with Dやwith N等は、働き方改革の面からも有効であるとして、適切に推進するべきとの考えを述べた。
 ACPや看取りの普及、救急搬送に対するオンライン診療の活用に関しては、今改定で在宅医療情報連携加算や在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料などが新設されたことから、より適切な救急搬送につながるとの見方を示した上で、「オンライン診療に関しては医学的な有効性、必要性、特に安全性が最優先であり、これらが担保されたものは推進すべきであるが、利便性や効率性のみを重視した安易な拡大はすべきではない」と改めて言明し、今後も不適切なオンライン診療にはしっかり対応していくとした。

16 調剤薬局全国チェーンによる零売問題について

 安東範明代議員(奈良県)からの調剤薬局全国チェーンによる零売問題について日本医師会の見解を問う質問には、宮川常任理事が、「本来の目的から逸脱した処方箋(せん)医薬品以外の医療用医薬品の販売であり、重大な問題である」との認識を強調した。
 これまでの対応については、厚労省の医薬品販売制度に関する検討会において法令上の規定・監視・指導の強化が必要であると要望し、令和6年1月に医薬品の販売制度のあり方や、零売に対する対応の方向性が取りまとめられたことを説明。その結果、零売については法令上、(1)医療用医薬品の販売は処方箋による販売を基本とし、災害時など非常に限定的な状況において薬局での販売を認める、(2)一般消費者に対し、医療用医薬品が販売可能である旨を薬局の特色として強調する広告については禁止する―方向で規定されることとなったとした。
 その上で、同常任理事は来年には法改正が行われ、ガイドライン等が示される予定であるとし、引き続き本問題を注視していく姿勢を示した。

17 「医師の働き方改革」の一般市民への啓発について

 上田昌博代議員(新潟県)からの「医師の働き方改革」に対する一般市民への啓発についての質問には城守国斗常任理事が回答。
 医師の働き方改革を進めていくためには、国民の理解を得るとともに、上手な医療のかかり方への協力が不可欠であり、これまでにも厚労省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」に参画し、ポスターの制作など、厚労省と協働して広報を展開してきたことを概説。
 日本医師会としても、以前よりかかりつけ医をもつことの重要性をリーフレットやホームページ上で呼び掛けてきたとするとともに、今後も医師の働き方改革の必要性を分かりやすく説明するため、適切な受診行動への理解を求める動画などのコンテンツを制作・周知していく予定であり、厚労省には国民への普及啓発のため、更なる広報の強化を図るよう求めていくとした。
 その上で、同常任理事は医師の働き方改革に関して、「限られた人的資源で、勤務医の健康確保と地域医療提供体制の維持という大変困難な対応が各都道府県に求められている」として、引き続きの理解と協力を求めた。

18 日本医師会は同時改定後の戦略をどう構築する方針か

 鈴木邦彦代議員(茨城県)からの地域包括ケアシステムの構築、地域医療構想の実現、かかりつけ医機能の充実・強化の三位一体の取り組みに関する質問には、城守常任理事が回答した。
 同常任理事は三位一体の取り組みは必要だとした上で、(1)かかりつけ医機能の充実・強化、(2)地域医療構想、(3)地域包括ケアシステム―に関する日本医師会の考えを説明。
 (1)では、機能の充実・強化のためには、①複数の医師、医療機関によって地域を面として支える②地域に必要な機能を実現するため、多くの医療機関が積極的に参加できる③医療従事者や医療機関が各々の役目に応じてできることを拡大していく努力をする―ことが必要であり、分科会等でも主張していくとした。
 (2)では、新たな構想が現在の地域医療構想のバージョンアップではなく、地域で不足する入院、外来、在宅の機能を手当てしていくものとするためには、地域医師会が中心となってつくり上げるべきであるとの考えを示した。
 また、これらを踏まえて、(3)では、介護体制の充実や医療と介護の連携も必須となるとして、「今後も介護関係団体とも協議しながら、地域連携が推進されるよう対応していく」と述べた。

19 医療分野におけるキャッシュレス決済の課題について

 平田泰彦代議員(福岡県)からのクレジットカード等の決済手数料を医療機関が負担し続けることの是非について日本医師会の見解を問う質問には、長島常任理事が回答した。
 同常任理事は、以前より、医療費は公定価格であるため、医療機関のキャッシュレスに係るコスト負担は発生すべきでないとの立場で関係省庁と協議を続け、決済手数料を利用者が負担している例も提示しつつ、医療機関が手数料を負担しない方法の検討を求めてきたことを報告。また、「手数料の請求は原則禁止されているが、条件を満たせば医療費も同様にできるのか」「誰がどのように負担するのか」という問題に加え、制度の改正や国民の理解醸成など大きな課題もあるとして、引き続き丁寧な協議を続けていく意向を示した。
 また、同常任理事は、日本医師会ORCA管理機構株式会社でキャッシュレスサービスの拡充の継続の他、従来のカードや電子マネーの決済に加えて、コード決済機能のオプション提供を開始するなど、利便性の向上を図っていることを紹介。「利用施設が増えるほど、手数料率引き下げの交渉材料となり、また、組織強化の一助にもなる」として、その周知への協力を求めた。

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