松本吉郎会長は10月5日、厚生労働省を訪れ、武見敬三厚労大臣に「食材料費・光熱費等の物価高騰に対する財政支援に関する要望」を手交した。
本要望書は、日本医師会の他、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国医学部長病院長会議、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会、日本慢性期医療協会の総意として取りまとめられたものである。
その中では、(1)診療報酬、介護報酬という公定価格により運営する医療機関・介護事業所等が、物価高騰・賃上げに対応するには十分な原資が必要である、(2)物価高騰への対応については、地方創生臨時交付金(電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金)による措置も講じられたところであるが、都道府県等の対応によって地域でばらつきがあり、手元に届くまでに一定の期間を要する等、十分なものとは言えず、足下の物価高騰・賃金上昇に対応するには、さらに緊急の支援が必要である、(3)特に、入院中の食事療養費は、約30年間据え置かれ、もはや、経営努力のみでは食事療養の提供が極めて困難な状況であり、別途、補助金で特段の支援が必要である―こと等を説明。
その上で、物価・賃金の上昇下においても、患者・利用者の負担に配慮しつつ、安心・安全で質の高いサービスの提供を継続できるよう、緊急の経済対策として「入院患者・入所者への食事療養等に対する補助金での財政支援」「医療機関・介護事業所等における光熱費等の物価高騰に対する交付金での財政支援の継続」の2点の実現を求めている。
当日の会談で松本会長は、①入院中の食事療養費は、約30年間据え置かれ、既に委託単価を下回っており、経営努力のみでは食事療養の提供が極めて困難な状況にある②水道光熱費、食材料費等の物価高騰に関してはこれまでも交付金の創設及び増額により対応してもらっているが、引き続きの支援が必要である―こと等を、資料を基に説明。
①については補助金で、また、②に関しては交付金での対応をそれぞれ求めた。
これらの要望に対して、武見厚労大臣は理解を示し、「この問題にしっかり対応していきたい」と応じた。
その他、当日は令和6年度の診療報酬改定についても話が及び、松本会長が現時点での日本医師会の考えを説明し、プラス改定に向けた支援と協力を求めた。
令和5年10⽉5日
厚生労働大臣武見 敬三 殿 公益社団法⼈⽇本医師会
会⻑ 松本 吉郎 ⼀般社団法⼈⽇本病院会 会⻑ 相澤 孝夫 公益社団法⼈全⽇本病院協会 会⻑ 猪⼝ 雄⼆ ⼀般社団法⼈⽇本医療法⼈協会 会⻑ 加納 繁照 公益社団法⼈⽇本精神科病院協会 会⻑ ⼭崎 學 一般社団法人全国医学部長病院長会議 会⻑ 横手幸太郎 公益社団法⼈全国⽼⼈保健施設協会 会⻑ 東 憲太郎 公益社団法⼈全国⽼⼈福祉施設協議会 会⻑ 大山 知子 公益社団法⼈⽇本認知症グループホーム協会 会⻑ 河﨑 茂⼦ 一般社団法人日本慢性期医療協会 会⻑ 橋本 康子 (公印省略) 食材料費・光熱費等の物価高騰に対する財政支援に関する要望
今般の食材料費、光熱費等の物価⾼騰は、賃金の上昇とも相まって広く国⺠に大きな影響を及ぼしているのみならず、医療機関・介護事業所等にも大きな影響を及ぼしております。「経済財政運営と改革の基本方針2023」においても「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行う。」とされており、診療報酬、介護報酬という公定価格により運営する医療機関・介護事業所等が、物価高騰・賃上げに対応するには十分な原資が必要です。 物価高騰への対応については、地方創生臨時交付金(電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金)による措置も講じられたところですが、都道府県等の対応によって地域でばらつきがあり、手元に届くまでに一定の期間を要する等、十分なものとは言えず、足下の物価高騰・賃金上昇に対応するには、さらに緊急の支援が必要です。特に、入院中の食事療養費は、約30年間据え置かれ、もはや、経営努⼒のみでは食事療養の提供が極めて困難な状況であり、別途、補助金で特段の支援が必要です。 そこで、物価・賃金の上昇下においても、患者・利⽤者の負担に配慮しつつ、安⼼・安全で質の高いサービスの提供を継続できるよう、緊急の経済対策として以下の⽀援を要望します。 1.入院患者・入所者への食事療養等に対する補助金での財政支援 2.医療機関・介護事業所等における光熱費等の物価高騰に対する交付金での財政支援の継続 |