1 光熱費ほか諸経費の上昇に対するさらなる財政支援のために
内山政二代議員(新潟県)からの、光熱費他諸経費の上昇に対する更なる財政支援獲得に向けた具体的方策を問う質問には、宮川政昭常任理事が回答した。
同常任理事はまず、各都道府県医師会の臨時交付金による医療機関への支援事業の実現に向けた、各自治体との交渉における多大な尽力に対して感謝の意を表明した上で、交付金の仕組み上、地方自治体によって措置内容にばらつきがある等の課題を指摘。医療機関は物価高騰や賃金上昇を価格に転嫁できないことから、物価高騰と賃上げへの対応に必要な原資の確保に向けて、国民医療推進協議会総会を開催し、決議を採択するなど、政府与党を中心にさまざまな働き掛けを行ったことを報告。その結果、「骨太の方針2023」には必要な対応を行う旨が記載されたと説明した。
今後については、「国に対して機動的な対応を求めていくため、都道府県医師会の先生方と一丸となり、財政支援の獲得に向けて邁進(まいしん)していく」として、引き続きの協力を求めた。
2 困難を極める医療経営について
大迫政彦代議員(鹿児島県)からの、次期診療報酬改定に対する日本医師会の取り組みと対策についての質問には、長島公之常任理事が中医協などにおける対応を中心に回答を行った。
同常任理事は、「医療経済実態調査」や「介護事業経営実態調査」の結果を踏まえながら、「診療報酬上・介護報酬上の対応を強く求めていくことになるが、そのための財源を十分に確保することが大前提になる」と指摘。「基本診療料や入院時食事療養費の引き上げは、非常に大きな財政影響が見込まれるため、なかなか実現できていないが、そうした中でも、基本診療料や入院料の加算による評価や基礎的な技術料の評価等を通じて、医療機関全体としての収支が改善するよう努めてきた」と主張した。
その上で、長島常任理事は、「診療報酬で対応するためには、中医協の場だけでは限界があり、年末の予算編成に向けて、政治的な対応を含め、医師会を始め医療界全体が一丸となって財源を確保できるよう取り組んでいく必要がある」と述べ、日本医師会として最大限の取り組みを行う意向を示し、支援と協力を求めた。
3 学校の健康診断における肌着の着脱について、統一見解を要望する
内田耕三郎代議員(岡山県)から、学校の健康診断における肌着の着脱について、日本医師会として「統一見解」を作成するよう要望があったことについては、渡辺弘司常任理事が回答した。
同常任理事は、学校健診は確定診断を行うものではなく、学校生活を送るに当たり支障があるかどうかのスクリーニングであり、見落としをできる限り避ける必要があると説明。「保護者が着用を求める場合、診断範囲減少への共通理解が必要であり、その調整は学校側が行うものと考える。診断項目等に関してどこまで正確な判断を求め、各項目の具体的実施方法をどのようにするのかといった統一見解は示しにくく、教育側と医療側が十分に相談しながら対応することが重要」と主張した。
その一方で、現在の学校健診の項目の一部には、児童生徒、保護者の考え方や変化する社会情勢に必ずしも適応しているとは言えないものがあると指摘し、継続して学校健診のあり方を協議していく考えを示した。
この他、同常任理事は現在、学校保健委員会で作成中の冊子『学校医のすゝめ~そうだったのか学校医』の中でも、脱衣に関して同様の言及をする予定であることを紹介した。
4 介護保険制度における医師の役割と評価について
2024年のトリプル改定を控えた今、介護保険・医療保険における現状の医師の役割及び評価について日本医師会の見解を問う本多朋仁代議員(滋賀県)からの質問には、江澤和彦常任理事が回答した。
同常任理事は介護保険制度における医師の関わりは多岐にわたるものとなっており、かかりつけ医機能報告制度においても、「介護その他医療と密接に関連するサービスを提供する者と連携して必要な医療を提供する機能」が盛り込まれるなど、医療保険と介護保険の連携において医師はますます「要」の役割を果たすことになると指摘。
日本医師会としても、医師の役割に対する評価における課題や情報を共有しつつ、サービス提供の対価である報酬のあり方として、どのような評価のあり方が適切であるのか、中医協や社会保障審議会介護給付費分科会などの検討の場において議論に臨んでいくとした。
5 院内紹介をしない総合病院に異議あり!
藤田泰宏代議員(高知県)からは、(1)総合病院が院内紹介を断るのは応招義務違反に相当するのではないか、(2)日本医師会が厚生労働省に働き掛け、「総合病院における院内紹介推進」の通達を発出させることはできないか、(3)国の医療機関役割分担強化政策は、患者にとって不利益であろうとも推進されるべきものなのか―との質問が出された。
釜萢敏常任理事は(1)について、個別の事情と、当該医療施設の診療体制等を総合的に判断する必要があると回答。また、(2)については、まずは実態をよく把握した上で適切な対応を考えていきたいとした一方、院内紹介をしないことで患者に不信感を与えてしまうような事例を減らすためには、医療界の取り組みとして、かかりつけ医機能の充実が重要になると強調した。
更に、(3)に関しては、「将来の医療需要の変化等に向け、医療機能の分化と連携自体は必要な政策と言えるが、それは患者のため、また地域の実情や各医療機関の役割に応じたものでなければならない」と述べるとともに、今後も執行部一同、日本医師会の「医の倫理綱領」「医師の職業倫理指針」に記された理念を認識しつつ、国民視点に立った提言を行っていく姿勢を示した。
6 難病医療での問題点について
山村善教代議員(宮崎県)は、難病患者について、高額薬剤を使用していることが老人保健施設や介護医療院(以下、施設)への入所・入院の阻害要因となっている事例の解決のため、施設にも難病医療費助成制度を適用し、施設に過大な薬剤費負担が生じないようにすべきと主張し、日本医師会の見解を質した。
黒瀨巌常任理事は、医学の進歩に伴い高額な新薬が上市されるのは必至とし、今後も同様の事例が増加していくことに危機感を示した上で、中医協等委員により構成される「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」においても、医療・介護両分野の薬剤報酬の包括化が課題として挙げられたことを紹介。引き続き、関係団体等とも連携し、保険算定の対象となる疾患や薬剤の範囲拡大に向けて働き掛ける等の方策を検討していくとした。
また、同常任理事が参画している厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会等においても、指定難病医療費助成のあり方について、引き続き対応策を検討していく意向を示し、理解を求めた。
7 災害に強い診療所を増やすために(診療所は非常用電源を備えるべきです)
安藤健二郎代議員(宮城県)は、災害時における地域の診療所の役割として、(1)被災者の救護、傷病者の治療、(2)地域住民のための医療提供の継続、(3)災害拠点病院や他の医療機関との連携や情報共有、(4)指定避難所への巡回―等を挙げた上で、事業継続計画(BCP)策定が欠かせないことを指摘。また、BCPの実施には非常用電源の確保が重要とし、災害時に診療所が担うべき役割の明確化とともに、非常用電源配備推進について、日本医師会の考えを質した。
細川秀一常任理事は、診療所はJMAT・DMAT等の医療チームと連携を取りながら、被災者や患者の生命・健康を守る責務を負っていることを強調するとともに、「平時からの地域包括ケアシステムによるまちづくりこそが最大の災害対策」と考え、日本医師会として国に予算要望してきたことを説明。BCPについては、今後も各診療所が地域連携の下、過度な負担なく策定できるよう国に求めていくとした。
また、非常用電源については、予算要望の結果、補助対象が段階的に拡大されてきているが、今後も更なる支援の拡充に向け、厚労省以外の他省庁も含めて、国に働き掛けを続けていく意向を示した。
8 災害時の被災者情報収集法の充実およびマスギャザリング対策の向上に関する日本医師会の取り組みについて
鍬方安行代議員(大阪府)は、(1)被災傷病者情報収集ツールとしてのJ-SPEED+の利活用、(2)CBRNE(テロ災害)研修会の開催実績を持つ日本医師会におけるマスギャザリング対応の知見向上のための今後の取り組み―について質問。
細川常任理事は、(1)について、災害時には全国の医師会間等で情報共有できるよう、毎年、災害情報通信訓練を実施していることを紹介。政府により全国医療情報プラットフォーム構築が進められる中で、日本医師会として、日時や場所を問わず、必要な情報が共有される体制の実現及びJ-SPEED+等の活用・推進に努めていくとした。
(2)については、現在、救急災害医療対策委員会において『大規模イベント医療・救護ガイドブック』の改訂を検討中であることと併せ、2021年の東京オリンピック・パラリンピック等の際に採用したテロ災害対策も紹介し、引き続き必要に応じた準備、強化に努めていく考えを示した。
また、今後、大規模イベントへの外国人観光客の参加者増加が予想される中で、医療通訳サービスの認知度向上に努めるとする一方、関係医師会に対して、自治体等との一層の連携強化を推進していくよう要望した。
9 かかりつけ医~24時間365日にどう対応するか~
全国各地でおのおのの実情に合わせた「かかりつけ医機能」を提供するシステム構築が必要だとして、日本医師会の見解と今後の方策を問う大坪由里子代議員(東京都)からの質問には、城守国斗常任理事が答弁を行った。
同常任理事は代議員の考えに賛意を示した上で、他道府県医師会に対しては、「まずは各地域の現状を把握し、問題点の分析を行って欲しい」とした。
また、今後の方策については、各都道府県における地域の実情を踏まえた取り組み例を収集・分析し、好事例があれば各都道府県と情報共有するとともに、それを全国に横展開していくことが重要になるとした。
更に、「地域によっては、医療のかかり方を含め、在宅医療や休日・夜間の対応などについて、行政や住民と一緒になって考える必要性が生じることもある」とし、その際には、地域医師会が中心的な役割を担うよう要請。日本医師会としても、国民の生命と健康を守るため、全国津々浦々で「かかりつけ医機能」が発揮されるよう、引き続き支援していく意向を示した。
10 地域医療構想調整会議のありかたと「追加的需要≒看取り」について
木村守和代議員(福島県)は、(1)地域医療構想調整会議(以下、調整会議)での在宅医療に重きを置いた議論を要望するとともに、人口減少時の施設の看取りには、市街地の中心部などに低価格で住める入居施設も有効になると主張。また、(2)病院・有床診療所と無床診療所の連携や市町村の積極的な参画、入居施設への訪問診療に対する診療報酬上の評価を求めた他、(3)調整会議の議長を医師会長が務めることへの見解を質した。
江澤常任理事は、(1)の在宅医療に重きを置いた議論を行うことについて賛意を示した上で、介護分野の行政や事業関係者に参加してもらうことで調整会議を活性化すべきとした他、「人口減少下においては『住まい』の整備が重要であり、令和4年12月の介護保険制度の見直しに関する意見の取りまとめに、住まいと生活の一体的支援として、住宅分野の住まい施策との連携も盛り込まれていることを踏まえ、今後の推移を見守っていきたい」とした。
(2)に関しては、「市町村の積極的な参画については全く同感であり、市町村が行う『在宅医療・介護連携推進事業』等において、郡市区等医師会が市町村との連携の下、主導的な役割を果たして欲しい」と述べた。
その他、診療報酬の引き上げについては、実態を踏まえた上で、中医協で議論する必要があるとした他、(3)に関しては、「今後、調整会議では外来医療や在宅医療の議論を行うことも期待されており、医師会長が議長を務める必要性はますます高まっている」として、その意義を強調した。
11 薬剤師の偏在について
佐古和廣代議員(北海道)のわが国の薬剤師の配置に関する質問には、宮川常任理事が回答した。
同常任理事は、(1)薬剤師の地域偏在や業態偏在は重大な問題であると考え、これまでにも審議会等でその解決に向けた検討を行うよう要望するとともに、病院薬剤師の確保のみならず、病院での卒後臨床研修のあり方が喫緊の課題であるとして、厚労省にその対応を求めてきた、(2)その結果、薬剤師確保計画ガイドラインが策定された他、医療計画作成指針に地域の実情に応じた薬剤師確保策の実施が新たに記載された―ことなどを説明。
今後については、「都道府県は、病院団体及び地域薬剤師会等と連携し、地域の実情に応じた実効性のある薬剤師確保に係る計画を策定することになるので協力して欲しい」と要請。日本医師会としても、薬剤師の地域偏在及び病院薬剤師不足の解消に向けて、日本病院薬剤師会及び日本薬剤師会等と連携し、厚労省に対して引き続き働き掛けを行っていくとした。
12 2040年に向けて、慢性的な医療介護人材不足対策について
慢性的な医療介護の人材不足問題に対する日本医師会の短期的、中長期的な対応に関する考えを問う市川菊乃代議員(東京都)の質問には城守常任理事が答弁を行った。
同常任理事は地域医療・介護提供体制の崩壊を防ぐためには国だけでなく、都道府県及び市区町村が、医療・介護関係者と共に危機感を共有し、人材確保策を講じる必要があると指摘。その対応については、短期的には賃金対策を挙げるとともに、中長期的には、(1)国に対して、処遇改善を含めた報酬財源の確保とともに、需要が拡大する医療人材の養成に手厚い投資を要請する、(2)国が強力に推進している医療DX等の社会状況への変化への対応、(3)健康寿命の延伸に伴う元気な高齢者の活用、(4)外国人材受け入れの適切な環境整備の推進―が必要になるとした。
その上で、日本医師会として、今後も直近の諸課題だけではなく、その先の2040年を見据えた必要な政策の立案、財源確保の実現に向けて取り組んでいく意向を示し、理解と協力を求めた。
13 医療機関や介護施設における人材確保の現状と課題について
平田泰彦代議員(福岡県)からの、有料の職業紹介事業者に頼らない医療機関等の人材不足の解消に向けた取り組みについての質問には、今村英仁常任理事が回答した。
同常任理事は、日本医師会は10年以上前から医療、介護の有料職業紹介に問題意識をもち、国の審議会等で改善を求めてきたことや、令和3年度からは日本医師会と病院団体が参画する「適正な有料職業紹介事業者認定制度」が開始されるなど、さまざまな取り組みが進んできていることを紹介した。
また、「骨太の方針2023」では、「医療介護分野における職業紹介について、(中略)有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行う」と記載されたことを説明。「公共職業安定所やナースセンターを十分活用することができるよう、機能強化を国に求めていく」と述べた他、日本医師会女性医師バンクを多くの医療機関に活用してもらえるよう努めるとした。
更に、医療機関等においては、有料職業紹介事業者を選ぶ際には同認定の有無を確認するなど、適正な事業者の利用を呼び掛けた上で、日本医師会として、現場に負担を掛けない形となるよう注力していく方針を示した。
14 若手・女性・病院勤務医の視点で考える組織力強化を
小松幹一郎代議員(神奈川県)からの、組織力強化に関する質問には、釜萢常任理事が回答した。
同常任理事は、非会員の若手・女性・病院勤務医の声を反映させるため、現在、常勤役員が大学医師会や大学病院等を訪問し、入会促進に向けた協力要請を行っていることや、日本医師会の医師会組織強化検討委員会でも検討を進めていることを説明。6月11日には、シンポジウム「未来ビジョン"若手医師の挑戦"」を開催したことも報告した。
また、若手病院勤務医を対象とした、日本医師会のみに所属する新カテゴリーの創設の検討を求める意見については、「三層構造で発展・運営してきた医師会の根幹に関わる問題で慎重な検討が必要」と述べ、まずは、会費減免等を通じて、より多くの若手医師に三層全ての医師会に参画してもらうのが現時点では重要とした他、地域医師会に既入会の医師が地域医師会を退会する懸念があることなどを指摘。「会員にとって一番身近な存在である地域医師会の活動は、医師会活動の基本であることから、所属しないまま日本医師会への入会を認めることに対してはさまざまな考え方があるため、引き続き、幅広く耳を傾けていきたい」とした。
15 指導大綱の第4「指導対象となる保険医療機関等及び保険医等の選定」の3「集団的個別指導の選定基準」、いわゆる高点数保険医療機関等について
福地康紀代議員(静岡県)からの、「集団的個別指導の選定基準」等に対する日本医師会の見解を求める質問には、長島常任理事が回答した。
同常任理事は、厚労省だけでなく、医師会にも保険診療の取り扱い、診療報酬の請求等に関する事項を周知徹底する責務があるという意見について、日本医師会としても医師会が担う重要な役割と考える一方で、どの医療機関が保険診療の仕組みやルールの理解が乏しいか推察することは簡単ではないことを指摘した。
次に、いわゆる高点数保険医療機関について、課題は大きいものの、長年の運用によりその基準に一定程度の適当性はあるとした上で、「高点数以外に、より適当な基準を見つけるのは当面難しい」と述べ、これまで「高点数=悪」という誤解を与えるような説明や、萎縮診療につながるような指導は決して行わないよう当局に強く申し入れてきたことや、現在の基準における課題の解決を厚労省に働き掛けていくのが現実的な対応として、理解を求めた。
その他、集団的個別指導の選定基準については、「見直しの必要性、方向性、医療現場への影響など、さまざまな幅広い視点から丁寧かつ慎重な検討が必要となる」として、日本医師会内で検討していく方針を示した。
16 少子高齢社会の中、増加する認知症に対する日本医師会の対応について
上林雄史郎代議員(和歌山県)からの、増加する認知症に対する日本医師会の対応についての質問には、江澤常任理事が、これまで国による認知症サポート医や、かかりつけ医認知症対応力向上研修に関する事業運営に協力するとともに、『かかりつけ医のための認知症マニュアル』『かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き』等の作成を行ってきたことを説明。
行動・心理症状を未然に防ぐ適切な認知症ケアが検討されており、今年度の「日医かかりつけ医機能研修制度」の応用研修会においても認知症ケアに関する講義を設けている他、早期発見のため、認知症初期集中支援チームの活動支援や課題について、厚労省と協議を重ねているとした。
また、同常任理事は、「認知症はコモンディジーズに位置付けられているが、認知症という特定の疾患の診断行為を報酬上評価することに関しては、報酬体系の全体的な観点からの検討も必要」との見解を述べた上で、患者と継続的に関わり、生活全般を支えるかかりつけ医の役割はますます重要になると強調した。
17 ストレスチェック制度の評価
上田博代議員(石川県)からの、ストレスチェック制度の評価と自殺者の増加傾向に関する質問には神村裕子常任理事が回答。
ストレスチェックについては効果が認められる一方で、「受検先によってストレスチェック結果の報告書様式が違うため対応しにくい」「高ストレス者のうち医師による面接指導を希望する者が非常に少ない」などの課題も指摘されていることに触れ、その改善のためには産業医研修会の充実に加え、結果報告書フォームの標準化や、産業医の負担に対する報酬面での対応、オンラインによる面接指導の活用などが必要になるとの考えを示した。
また、最近の自殺者の増加傾向に関する質問には、令和4年は2万人を超え、中でも小中高生の自殺者が過去最多水準となっていることを踏まえ、厚労省の「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」において江澤常任理事が、全国自治体の実態把握や好事例の横展開等を求めている他、小中高生の支援のため、精神科系学校医の確保やかかりつけ医の対応力向上研修での取り組みなどにも言及していることを紹介した。
18 医療機関におけるキャッシュレス決済導入促進について
桃木茂代議員(埼玉県)からの、医療機関におけるキャッシュレス決済の導入促進に関する日本医師会の見解を問う質問には、長島常任理事が「患者側のニーズの増大、医療DXの進展、訪日外国人受診の増加などに対応するため、必要とする医療機関への普及が必要である」と回答。
その上で、医療費が公定価格で、医療機関はキャッシュレスに係るコストを価格に転嫁できないことから、そのコスト負担解消に向けて、諸外国における医療機関や日本における医療以外の分野の公定価格の状況、決済会社の国際的あるいは国内のルールなどを踏まえて、国との協議を継続することを明らかにした。
一方、現実的な施策として、決済手数料を大幅に軽減した会員向けのキャッシュレスサービスを提供しており、現在約2,300施設が利用中であることを報告。「クレジットカードについては業界最低水準の手数料率を実現しているが、利用する医療機関数が増えるほど更なる引き下げの交渉が可能になる」として、その参加と周知に対する協力を求めた。