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令和5年(2023年)4月20日(木) / 日医ニュース

執行部からの回答(概要)

代表質問1 各都道府県の保険者協議会への参画状況と担当役員による協議の場の必要性について

 安東範明代議員(奈良県)は、各都道府県の保険者協議会への参画状況と担当役員による協議の場の必要性について日本医師会の見解をただすとともに、第4期医療費適正化計画策定に向けて、担当者による連絡協議会の開催を求めた。
 江澤和彦常任理事は、保険者協議会の参画状況について、正規構成員の参画が22地域、オブザーバー参加が22地域となっており、44地域で医療関係団体が意見を言える状況にあり、地域によっては医師会の意見を別途聞く機会を設けているところもあること、また、猪口雄二副会長が社会保障審議会医療保険部会の議論において、医師会等の医療関係者が保険者協議会に正式な構成員として参画できるよう要請していることを説明し、理解を求めた。
 リフィル処方箋(せん)への懸念については、「医師のみに処方権があり、医師の裁量を揺るがすような行政介入の動きがあれば断固として反対する」と強調。その上で、同常任理事は、「単に医療費削減ということではなく、少子高齢化の中、あるべき医療費について医師会が都道府県や保険者と議論することが不可欠である」と述べるとともに、連絡協議会の開催に関しては、全国の先生方の声も踏まえ、前向きに検討していくとした。

代表質問2 産業保健活動総合支援事業予算確保について

 鈴木克司代議員(兵庫県)が、政府に対して産業保健活動総合支援事業予算の確保への働き掛けを行うとともに、労働者健康安全機構(以下、機構)へ、申請案件の厳選な審査の要請を行うよう求めたことに対しては、神村裕子常任理事が回答した。
 同常任理事は、まず、産業保健活動総合支援事業に係る予算の確保に向けて、(1)厚生労働省と機構に現場の士気が下がらないような対処を求めた、(2)労働安全衛生部長に産業保健総合支援事業の重要性や現場の苦労を訴えるとともに、予算の十分な確保を強く主張した―ことを説明。その結果、令和5年度の小規模事業場における各種事業の予算は令和4年度より増額され、令和3年度と同額となったことを報告した。
 また、機構に対しては、日本医師会からも助成金に関する公正な審査とともに、過去の助成金不正受給案件に関しても厳正な対処を行うよう求めるとした他、全ての労働者に適切な産業保健を届けられるよう、特に産業医の選任義務のない小規模事業場における産業保健の重要性を訴え、令和6年度予算の増額等適切な支援を、引き続き厚労省に要望していくとした。

代表質問3 「かかりつけ医」に関する制度への対応について

 佐藤光治代議員(長崎県)からの、「かかりつけ医」に関する制度への対応についての質問には城守国斗常任理事が回答した。
 同常任理事は、本年2月に閣議決定を経て今国会に提出された全世代社会保障法案における医療法案に、「かかりつけ医」という医師個人についての定めは一切なく、「かかりつけ医機能」として医療機関が自主的に医療機能を報告するものであることを説明。
 その上で、「医療機能の報告は国民が適切な医療機関を自ら選択できるよう分かりやすく示すとともに、必要に応じて不足している機能について地域で議論するためのものだ」と述べ、その報告範囲については法案成立後の厚労省の審議会・検討会等で議論される予定であり、日本医師会の見解を述べていくとした。
 また、日本医師会の主張によって、法案の内容は、「かかりつけ医」と「かかりつけ医以外の医師」を区別するものではなく、「人頭払い」「登録制」「認定」ヘの懸念は払拭でき、「かかりつけ医制度」にはなっていないことを改めて強調し、今後もしっかりと対応していくとの姿勢を示した。

代表質問4 日本医師会はフリーアクセスと自由開業医制のどちらを優先するか?

 鈴木邦彦代議員(茨城県)からの、日本医師会はフリーアクセスと自由開業医制のどちらを優先するのかとの問いには、城守常任理事が、「そういう選択を迫られることがないよう、時代に応じて適切な対応を重ね、日本の医療保険制度の優れた特徴である"フリーアクセス"と"自由開業制"の両方をしっかりと守っていく」との姿勢を示した。
 その上で、高齢化により社会保障費が増加し、財政健全化と称する社会保障費の抑制策が示され続ける中では、どちらかを譲れば、もう片方をも失うことになりかねないと指摘。「わが国は世界に冠たる国民皆保険制度であり、その根幹であるフリーアクセス、自由開業制はこれまでの医師会活動で先人達の努力によりしっかりと守られてきた。今後も、検討を迫られる事態が生じた際には、しっかりとした議論を重ね、少子高齢社会が進展し、人口が減少していく中で"攻めの姿勢"を更に強め、国民皆保険制度を守り抜いていく」と述べた。

代表質問5 かかりつけ医・かかりつけ医機能の評価のあり方について

 谷口洋子代議員(京都府)からの、かかりつけ医・かかりつけ医機能の評価のあり方についての質問には城守常任理事が回答した。
 まず、医師の技術料は本来、基本診療料で評価すべきものであるが、改定財源が大変厳しいため、さまざまな加点など周辺点数によって評価してきた苦闘の歴史があると説明。その上で、平成26年度改定で創設された「地域包括診療加算・診療料」については、診療報酬上のかかりつけ医機能の1つの評価で、複数の慢性疾患を有する患者に継続的・全人的な医療を行うことを評価したものであり、その後、改定の度に、限られた財源範囲の中で要件緩和や対象拡大が図られ、平成30年度改定では、医療機関の体制評価として初診料の機能強化加算を新設するなど、より多くの医療機関が算定できるよう対応してきたとした。
 その一方で、同常任理事は、「これら診療報酬の算定要件を満たせず、届出ができなかったり、算定できないからと言って、その医療機関がかかりつけ医機能を持っていないとは考えていない」と強調。今後、国の会議においても、さまざまなかかりつけ医機能について適切な評価を求め、これまで獲得してきた項目を更に多くの医療機関が算定できるよう努めていくとした。

代表質問6 かかりつけ医の機能向上に向けて、日本医師会認定健康スポーツ医のあり方と、学校医・産業医・かかりつけ医との連携について

 水野重樹代議員(東京都)は、昨年、日本医師会が『健康スポーツ医学実践ガイド:多職種連携のすゝめ』を発刊したことを契機として、かかりつけ医機能をアップデートすべきとした上で、日本医師会が考える(1)健康スポーツ医の今後の活動の方向性(学校医、産業医、かかりつけ医との連携)、(2)かかりつけ医機能の向上の具体的方策―について質問。
 釜萢敏常任理事は(1)について、かかりつけ医機能を発揮するために健康スポーツ医の視点を持つことは大きな意義があると強調。引き続き、健康スポーツ医の活躍の場の拡大、健康スポーツ医と、学校医・産業医等との連携が進むよう取り組んでいくとした。
 また、(2)については、かかりつけ医機能として、医療的機能のみならず、社会的機能が重要だと指摘。その上で、健康スポーツ医を国民に広く知ってもらうように努めていくとするとともに、健康スポーツ医活動も実地研修の要件としている「日医かかりつけ医機能研修制度」についても、今後検討を重ね、かかりつけ医機能の向上に努めていく姿勢を示した。

代表質問7 組織強化と加入促進のための効率化について

 鈴木伸和代議員(北海道)は、組織率向上に向けた北海道医師会のさまざまな取り組みを紹介した上で、(1)卒後5年の会費減免期間が終了する際に、増加が予想される退会の防止及び会員定着に資する制度上の方策、(2)入会・異動・退会手続きの簡素化やペーパレス化・オンライン化への取り組み状況―について質問。
 (1)について、釜萢常任理事は、会費減免期間中に、研修医の方々が医師会活動の重要性に触れる機会が少なかったことなどが退会につながる一因との認識を示した上で、昨年10月、「若手医師の医師会事業への理解促進並びに帰属意識の醸成に向けた取り組みの実施」を依頼するとともに、実施事業に対する支援金を用意したことを紹介。「医学部卒後5年までの会費減免期間の延長は、医師会活動を深く体験してもらうチャンスとなる」として、医師会一丸となった取り組み促進への協力を求めた。
 また、(2)については、都道府県・郡市区等医師会の会員管理にも利用可能な会員情報システムをクラウド上に構築し、会員本人がシステムにログインすることで、諸手続きがWEB上で完結できる形を目指していることを説明。令和5年度より、都道府県・郡市区等医師会からの意見も取り入れながら、システムの基本的な仕様を固めていくとした。

代表質問8 スチューデント・ドクター(共用試験に合格した医学部医学科4年~6年生)を含めた医師会組織強化の件

 間中英夫代議員(山形県)はスチューデント・ドクターを準会員とし、卒前からの医師会活動参加を促すとともに、臨床実習時の意図しない医療トラブルから医学生を守るための「臨床実習時賠償保険(仮称)」の創設を提案。
 これに対して、釜萢常任理事は医学生の時期からの医師会活動参加は極めて重要との認識を示した上で、日本医師会としても、医学生・研修医向けに日本医師会を紹介した動画を作成したことなどを紹介。都道府県医師会及び大学医学部で行われている医師会紹介活動への更なる支援を推進する意向を示した。
 また、準会員については、「大変大きな枠組みに係る話で、さまざまな意見も想定される」などとして、慎重な姿勢を示した。
 医学生向け賠償責任保険の創設については、その必要性に一定の理解を示す一方で、「現行の医師賠償責任保険は医師でなければ加入できない」「既存の医学生向け保険がある中でどれだけのニーズがあるのか」「保険料は誰が負担するのか」等の課題があると説明。今後、医学生とのつながりをいかに構築していくかという問題と併せて、会内で慎重に検討を重ねていくとして、理解を求めた。

代表質問9 夜間等の「ドクターヘリ」運用について

 本間博代議員(岩手県)からの夜間等の「ドクターヘリ」の運用を求める要望に対して、細川秀一常任理事は、(1)これまで、日本医師会でも予算要望の際などに、救急医療へのアクセスの地域格差を是正するため、政府に対して夜間飛行に関する働き掛けを行ってきた、(2)ドクターヘリの夜間飛行には、「安全確保が十分にできない」「必要な運航スタッフを確保できない」などの課題もあることから、現在、実施している都道府県は無く、緊急時には消防防災ヘリ等が対応している―ことなどを説明。
 今後については、安全性の確保を大前提とした上で、「夜間飛行の需要とその効果については、厚生労働科学研究において検討が行われているところであるが、日本医師会としても、改めて、地域の救急医療を確保するため、夜間等におけるドクターヘリのより安全な航行を確保しつつ、技術革新、ICTが進んできた現状を反映した航空交通の規定整備を促進するよう、国に申し入れを行っていきたい」と述べた。

代表質問10 アフターコロナ・ポストコロナを見据え、コロナ禍で疲弊した有床診療所の体力回復をはかり、地域のかかりつけ医機能・入院機能を発揮するために有床診療所への一層の支援を、並びに有床診療所の世界文化遺産への登録について

 森俊明代議員(徳島県)からの有床診療所への一層の支援や世界文化遺産への登録を政府に求めるべきとの要望に対して、神村常任理事は日本医師会の有床診療所に関する取り組みとして、(1)全国有床診療所連絡協議会と共に、議員連盟の会合を通じて財政支援の必要性を強く訴えている、(2)厚労省担当者による現地視察の際に自身も同行し、有床診療所が地域医療において果たすさまざまな役割について理解を深めてもらってきた―こと等を説明。併せて、「12月4日の『有床診療所の日』を基本として、国民全体への認知度向上にも努めていく」と述べた。
 地域医療構想については、各調整会議において、有床診療所の重要性への理解を深めてもらうとともに、有床診療所の第一線で活躍している医師の活動が継続できるような支援に努めていくとした。
 また、世界文化遺産への登録については、「有床診療所の先生方の意気込みの現れであり、地域における有床診療所の存在感を更に高めることにつながるもの」として、その意義に理解を示した。

代表質問11 医療DXの現状と将来

 田中孝幸代議員(三重県)は、オンライン資格確認の国民への普及、マイナンバーカード健康保険証(以下、マイナ保険証)の利便性、効率性に関する国民への説明を求めるとともに、電子カルテの標準化に当たっては医療現場の意見を十分に反映すべきと主張。
 これに対して、長島公之常任理事はまず、オンライン資格確認の意義について、日本医師会としても、各種の媒体を使い、医療機関に加え、国民に対しても、周知・広報を引き続き行っていくとするとともに、マイナ保険証にしたことで現場の負担が増えることのないよう、国に強く求めていく考えを示した。
 電子カルテの標準化に関しては、これまでも「医療現場の声を聞くこと」が最も重要であると繰り返し主張してきたことを説明。「今後も、標準型電子カルテも含め、国の進める医療DXが医療現場の声を反映することで現場の役に立ち、負担軽減に貢献するものになるよう、国に対して働き掛けていく」とした。

代表質問12 医療DX推進への対応について

 菊池仁志代議員(福岡県)は、医療DXの導入及び運用に関しては国からの継続的な支援が必要だとして、日本医師会の見解を質した。
 長島常任理事は、まず、医療機関が医療DXに対応して導入したシステムの維持には財源が必要不可欠であるが、保険医療において価格転嫁することは不可能なため、これまでにも診療報酬上の評価または公的な財政支援の必要性を国に強く訴えてきたことを説明。その結果、既存の診療報酬上の加算の廃止の代わりに「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されたとした。
 また、公的な財政支援の働き掛けの一環として、本年2月に日本医師会を始めとした8団体連名により、電子処方箋(せん)導入に伴う要望書を松本吉郎会長から加藤勝信厚労大臣に提出し、その中で、「電子処方箋に限らず、医療DXを国策として推進するのであれば、現場のシステム導入や維持、それに伴い必要となるセキュリティ対策に掛かる費用は、本来、国が全額負担すべき」と求めたこと等を紹介。その上で、同常任理事は、「医療DXの推進にその都度導入費が掛かり、維持費が増えるようでは普及はしない」として、日本医師会として今後も必要な財源確保を国に働き掛けていく方針を示した。

代表質問13 医療分野におけるサイバーセキュリティ対策について

 今眞人代議員(北海道)からの、医療分野におけるサイバーセキュリティ対策に関する質問には、長島常任理事が回答した。
 同常任理事は、サイバーセキュリティに関する情報共有について、「『日医君』だより」や一斉FAX等を活用していることを紹介。一方で、「自助」として個々の医療機関が努力するだけでは限界があることから、昨年、日本医師会サイバーセキュリティ支援制度を創設し、「相談窓口の開設」など3つの支援を行っているとした他、地元警察との連携を深めておくことの重要性も指摘した。
 次に、知識の習得や人材の確保のためにも、「公助」として、国から医療機関への財政支援は必要不可欠であることを強調。日本医師会としてさまざまな場で支援の必要性を訴えており、本年2月には加藤厚労大臣に要望書を提出したことを説明した。
 また、併せて、国の検討会で医療機関と事業者、業界による一体的な対応の重要性を指摘した結果、厚労省において取り組みが進められていることや、常時監視の体制づくりについても、中・長期的な視点で検討が行われているとして、「サイバーセキュリティ対策は必須となる。引き続き、現場に役立つ持続的な対策が実施されるよう、国と共に検討していく」と述べた。

代表質問14 医療従事者の安全・安心の確保について、新たな法整備等が必要と考えます

渡邊良平代議員(愛媛県)からの、医療従事者の安全・安心の確保について、新たな法整備等を求める質問には、細川常任理事が回答した。
 同常任理事は、「医療従事者の安全を確保し、安心できる医療現場を実現することは、医療従事者、患者双方にとって極めて優先度の高い課題」と強調。会内でも検討を進め、『医療従事者の安全を確保するための対策について』と題する意見を取りまとめた他、都道府県医師会長会議や担当理事連絡協議会でも医療従事者の安全確保をテーマとして取り上げたことを紹介した。
 その上で、今後重要な点として、早い段階で自ら危険を察知できる力を養うこと、危険を察知した場合には、すぐに相談や情報共有ができる体制を構築すること等を指摘。そのためにも、各地域で医師会と警察の「顔の見える関係」を構築する必要があるとし、日本医師会としても、地域の行政、医師会などが連携して体制づくりを進められるよう、関係機関への働き掛けや全国の医師会への情報発信に努めていくとした他、新たな法律や制度整備についても、効果や実現可能性を含めて検討し、必要に応じて国に働き掛けていくとした。

代表質問15 二次医療圏の見直しに対して、日本医師会はどう取り組むのか?

 丸木雄一代議員(埼玉県)からの2024年に策定される第8次医療計画における二次医療圏の見直しについて日本医師会の考えを問う質問には、江澤常任理事が回答した。
 同常任理事は、二次医療圏はあくまで地域の実情に応じて検討し、圏域の見直しは都道府県医師会が郡市区医師会や病院団体等との連携の下、主体的に取りまとめていくものとの考えを示した上で、第8次医療計画における過疎地域における医療圏、隣接する都道府県の区域を含めた医療圏、人口規模100万人以上の二次医療圏の見直しの考えを説明。「これらの見直しについても、医師会を始めとする地域の関係者でしっかりと協議の上、その効果と課題を十分に考慮して慎重に判断すべき」との考えを示した。
 また、今後、第8次医療計画に関する国の基本方針、関係通知が示されるとともに、2025年以降には2040年を見据えた地域医療構想のバージョンアップが予定されていることに言及。日本医師会として、代議員の指摘も踏まえ、引き続き、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に向けて国に提言していくとした。

代表質問16 後発医薬品の安定供給問題について

 安川繁博代議員(福井県)からの後発医薬品の安定供給問題への日本医師会の対応に関する質問には、宮川政昭常任理事が回答した。
 同常任理事は、問題の長期化の要因として、内的要因と外的要因が重なっていることが挙げられるとして、その内容を説明。内的要因として、共同開発等の業界構造に起因する問題に触れ、「現在、品質管理及び安定供給に向けた取り組みが進められているものの、その内容や法令順守には企業格差があり、ガバナンス強化には国の指導が必要である」と指摘。産業構造全体のあり方を検討し、後発医薬品企業を集約して再編すべきとの考えを示した。
 一方、外的要因としては、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による原薬入手困難」「ウクライナ情勢によるヨーロッパの供給不安」を挙げ、国による産業への関与は必要不可欠であるとし、人間の安全保障として国の強いリーダーシップにより、医薬品の産業構造をより強固なものにすべきとした。
 その上で、宮川常任理事は、安定供給問題は業界全体の問題との認識を示し、「医薬品の安定供給確保の実現に向けて、国及び製薬団体に対し、更に働き掛けを強めていく」と述べた。

代表質問17 少子化対策における日本医師会の対応

 落合和彦代議員(東京都)からの少子化対策における日本医師会の見解を問う質問には、渡辺弘司常任理事が回答した。
 政府の少子化対策に関しては、「平成11年に少子化対策推進基本方針が策定されて以降、現在まで目に見える効果は見られない」とした上で、日本医師会が考える少子化の最大の要因としては、「経済的不安定の増大」が挙げられると指摘。今後、日医総研等を活用し、その要因分析や対策の検証を進める考えを示した。
 また、「生み育てやすい社会」の実現が少子化対策の根幹であるとする代議員の考えに賛意を示し、安心して育児に専念できる環境づくりとして、子育て世代包括支援センターの活性化や保育サービス等の充実を求めていくとした。
 更に、同常任理事は、「将来の人材確保の問題は全ての業界、業種の問題であり、医療・介護における人材確保のための少子化対策として『生み育てやすい社会』の早期実現に向けて、日医総研の研究や関係者との協議を活用・検証し、対策を講じたい」とした。

代表質問18 いわゆる高齢者施設で行われた医療提供に対しての正当な評価を

 高齢者施設における医療提供の評価を求める小松幹一郎代議員(神奈川県)からの要望には、今村英仁常任理事が回答した。
 同常任理事は高齢者施設等の現況について、医療の必要性の高い要介護高齢者数が増加する中、人員が不足している施設は単独での対応が難しく、特にコロナ禍においては非常勤の配置医師への負担が増大したことなどを説明。「コロナ禍で医療と介護の連携体制の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈し、改めて課題の大きさが認識された」と述べ、平時から地域全体で医療支援と連携体制を整備することが重要であると強調。高齢者施設の医療を担っている医療機関に対して、今後も地域の高齢者を面として支えて頂くよう引き続きの協力を求めた。
 また、現在、中医協と社会保障審議会介護給付費分科会の「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」においても本件が議題に挙げられていることを説明。日本医師会としては、各地域での取り組みを支援するとともに、介護施設等における感染対策、配置医師や協力医療機関のあり方、医療機関と介護施設等との連携体制などの課題について、国と協議していく姿勢を示した。

代表質問19 第8次医療計画を踏まえた実効性のある地域医療構想調整会議のあり方について

 大西浩之代議員(鹿児島県)からは、地域医療構想調整会議のあり方に関し、(1)地域医療構想の進め方の具体的な手段の提示、調整会議に専門部会を設置した際の財政支援、(2)国や都道府県、自治体が主体性をもって医療介護人材の確保に取り組むこと―を国に求める要望の他、外国人材の登用について日本医師会の見解を問う質問がなされ、黒瀨巌常任理事が回答した。
 同常任理事は、(1)について、地域医療構想がより実効性のあるものとなるよう、具体的な手段を示すことを国に求めていくとした他、調整会議において専門部会等の設置は不可欠なものであり、その財政支援を厚労省に要請した結果、地域医療連携の促進経費として関係者等へ説明を行うのであれば、基金の対象経費となり得ることを確認したと説明した。
 (2)では、医療・介護の人材不足という大きな問題に対し、日本医師会としても組織力強化を図るとともに、かかりつけ医機能研修の促進など、必要な政策を進めていくと強調。また、現場の実態に即した取り組みの支援を国に要請していくとした。
 また、外国人材の登用については、「言葉の壁に加え、受け入れの環境整備における負担などが課題であり、現在、日本医師会の要求により実態把握調査が実施されているが、引き続き、現場での受け入れ体制について国と協議していきたい」と述べた。

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