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令和4年(2022年)4月5日(火) / 日医ニュース

ウクライナ国民への医療支援について

日本医師会定例記者会見 3月9・16日

ウクライナ国民への医療支援について

ウクライナ国民への医療支援について

 中川俊男会長は3月9日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、ウクライナ国民に大きな被害が出ている現状を踏まえ、世界医師会によるウクライナ国民への医療支援を目的とした寄附金の募集に呼応し、1億円の寄附を行うことを決定し、直ちに世界医師会に送金したことを報告した。
 また、都道府県医師会を通じて、全国の医師会と医師会員に対して寄附金を募ることも併せて発表した。
 会見の中で中川会長は、ウクライナ医師会から要請を受けた世界医師会が、欧州医師常設委員会、欧州医師会フォーラムと共に医療支援体制を確立し、その活動原資となる「ウクライナ医療支援基金」を設立したことを紹介。また、世界医師会では、ウクライナにおける医薬品や医療物資の極端な不足ばかりでなく、医療施設への攻撃が増加していることを懸念していること、更に、ウクライナからの避難民を受け入れる隣接国の医療制度への影響を考慮し、避難民に対する医療支援にも医療物資や資金が活用されることなどを説明した。
 その上で、中川会長は、「日本医師会の寄附金による支援がウクライナに確実に届き、ウクライナ国民の医療に貢献すること、そして一人でも多くの命が救われることを願ってやまない」と強い思いを述べた。
 なお、今回の日本医師会による1億円の寄附を公表した中川会長の記者会見の内容は、世界医師会に同日報告され、プレス・リリースとして世界に向けて発信された。

47都道府県医師会との連名により緊急声明を取りまとめる

 3月16日の記者会見では、まず、15日に47都道府県医師会との連名でロシアの軍事侵攻に強く抗議するとともに、ロシア軍のウクライナからの即時撤退及び対話と交渉による一日も早い平和的解決を願う「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する緊急声明」(下掲)を取りまとめ、全国の郡市区医師会に発出するとともに、英語版を世界医師会加盟112カ国医師会に送付したことを公表した。
 中川会長は、また、ウクライナへの医療支援として日本医師会が1億円を寄附したことに対して、ハイジ・ステンスミレン世界医師会長から感謝状(下掲)が寄せられたことを報告。欧州から遠く離れた日本医師会から1億円の寄附金が即座に送られたことは、医療支援をタイムリーに可能とし、かつ、世界の医療界がこの痛ましい戦況に着目し、医療支援の手を差し伸べている現実に、近隣諸国の医師会は勇気付けられ、励まされ、取り残されていないことが実感されたとして、金額以上の価値があるものと受け止められていることを紹介した。
 更に、今回の寄附金については「ウクライナ医療支援基金」の原資となること、また、基金は運営委員会が管理し、世界医師会、欧州医師常設委員会、欧州医師会フォーラム及び近隣の各国医師会で構成される「タスクフォース・ウクライナ」が運営を担うことを概説。日本医師会としても、オトマー・クロイバー世界医師会事務総長からの招待を受けて、「タスクフォース・ウクライナ」に参加し、提案を行っていくことになったことを明らかにした。
 医療物資に関しては、欧州における調達が困難とされる中で、ウクライナ医師会から入手したリストに基づき、イスラエルで調達されたことを報告。医療物資は、在イスラエルのウクライナ大使館がポーランドへ、そしてマゾフシェ県知事の支援によりワルシャワからウクライナ国境へそれぞれ搬送し、国境でウクライナ医師会が受け取った上で、国内の医療機関へ配布されることになっていることを説明するとともに、「タスクフォース・ウクライナ」でも、引き続き医療物資の調達と搬送ルートの確保に取り組んでいくことを強調した。
 また、世界医師会からの情報として、ドイツからの遠隔医療等の医療機器の提供、イスラエルやアメリカからの野戦病院の設置に向けた支援など、さまざまな国から大きな支援の動きがあることを報告。今後も、ウクライナへの医療支援の状況に関しては、世界医師会からの情報を基に、必要に応じて報告していく意向を示した。
 その上で、中川会長は、今回の寄附金の意義を改めて実感したとして、引き続き寄附を呼び掛けていく意向を表明するとともに、日本製薬工業協会、日本製薬団体連合会からも、全面的に協力するとの連絡を受けたことを明らかにした。
 また、ステンスミレン世界医師会長がビデオメッセージを通じて、世界の医療界に支援を呼び掛けていることを紹介し、「日本医師会による医療支援が世界医師会の枠組みを通じてウクライナ国民に確実に届き、一人でも多くの命が救われることを心から強く望む」と述べた。

令和4年3月15日
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する緊急声明

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 このたびのロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、恒久の平和と自由を願う世界の秩序を踏みにじるものであり、決して認めることはできません。
 連日、一般市民がロシア軍の無差別攻撃にさらされ、幼い子どもを含む多くの尊い生命が奪われています。わたしたちは、すべての人々の生命と健康に奉仕する医師として、こうした状況を許すことはできません。
 医療施設も攻撃を受けています。しかし、医療の中立性と人権は絶対に尊重されなければなりません。
 日本医師会は世界医師会の呼びかけに応じ、去る3月9日にウクライナへの医療支援のために1億円の寄附を行いました。引き続き、世界医師会に加盟する各国医師会と連帯し、ウクライナへの医療支援を継続します。
 わたしたちの心は、ウクライナのみなさん、そして、ウクライナで医療に従事する仲間とともにあります。
 日本医師会および全国の都道府県医師会は、ロシアの軍事侵攻に強く抗議します。そして、ロシア軍のウクライナからの即時撤退および対話と交渉による一日も早い平和的解決を願っています。
2022年3月11日
日本医師会
会長 中川俊男先生

我々は、2022年3月9日にウクライナ医療支援基金の特別口座で受け取った1億円という貴会の惜しみない時宜を得た寄附に対し、心より感謝申し上げます。

貴会の寄附は、ウクライナの同僚への支援を開始するための大きな助けとなります。また、近隣諸国の加盟医師会にとっても強力な支援です。資金提供は彼らが援助を提供する際に、取り残されていないことを示すものです。

今団結することは、健康、民主主義、そして自由にとって非常に重要です。
リーダーシップをとって頂き、ありがとうございます。

欧州医師常設委員会(CPME)、欧州医師会フォーラム(EFMA)、世界医師会(WMA)のタスクフォースの全てのメンバーを代表し、感謝の意を表します。

貴会のイニシアチブは、我々の組織の他のメンバーが、我々の同僚や戦争地域の人々を助けるための我々の取り組みに参加することを奨励するものと確信しています。これらの資金の使用がどのように展開されるか、お知らせいたします。

世界医師会
会長 ハイジ・ステンスミレン

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