中川俊男会長は12月7日、堀憲郎日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長と共に厚生労働省を訪問して、後藤茂之厚労大臣と会談。三師会そろって、令和4年度診療報酬改定のプラス改定実現を強く要望した。 |
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当日の会談で、三師会の会長はそれぞれ資料を基に、医科、歯科、調剤の現状について説明を行った。
中川俊男会長は、財務省が令和4年度の診療報酬改定を躊躇(ちゅうちょ)なくマイナス改定とするべきと主張していることに危機感を表明。その上で、11月24日に公表された医療経済実態調査の結果を基に、(1)診療報酬による特例的な対応があったものの、医科ではコロナ補助金を除く損益差額率が大きく悪化している、(2)コロナ補助金を含んだ損益差額率も、一般病院ではほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では前々年度よりも縮小している、(3)一般病院、一般診療所共にコロナ補助金がなければ約半数が赤字になる―ことなどを説明し、「今、診療報酬できちんと手当てしなければ、コロナ禍において大打撃を受けた地域医療を立ち直らせることはできない」として、次期診療報酬改定をプラス改定とすることを強く求めた。
堀日歯会長は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、歯科医療機関は外科的措置や飛沫(ひまつ)が多い歯科治療の特性を踏まえ、さまざまな感染防止対策を行っているが、その費用が各歯科医療機関の自己負担となっていると指摘。更に、現在の医療界について言及し、「現在、医療界は一つのチームとなって、新型コロナ対策に取り組んでいこうという機運が高まっている。ぜひ、国にもプラス改定とすることでその機運に応えて欲しい」と要望した。
山本日薬会長は、「保険薬局は、新型コロナの感染拡大の影響を受け、個人立・法人立共に損益差額率が悪化している」「後発医薬品の普及促進等に伴う備蓄医薬品の管理に係る負担が増えている反面、薬剤師の給与費は減少している」―ことなどを説明。特に、地域の医薬品提供体制の中核を担っている小規模保険薬局については、損益差額の減少が目立つとし、「このままの状況が続けば今後の地域の医薬品供給に支障を来しかねない」とその窮状を訴えた。
プラス改定に協力姿勢を示す―後藤厚労大臣
これらの要望に対して、後藤厚労大臣は「皆さんの考えは十分理解している」とした上で、「別枠で予算を付けるのではなく、診療報酬の引き上げを行わなければ、今後、経営が成り立っていかないと考えている。国民の生命・健康を守る厚労大臣として、プラス改定とすることができるよう、引き続きしっかりとその役割を果たしていきたい」と述べ、プラス改定の実現に向け、協力していく姿勢を示した。