国民医療を守る議員の会(自民党議員連盟)総会が都内で開催され、日本医師会からは中川俊男会長始め常勤役員らが出席するとともに、各都道府県医師会にオンライン配信を行った。
当日は、衆参の国会議員226名(議員本人190名、代理36名)が出席し、国民の生命と健康を守るための財源の確保等を求める提言「新型コロナウイルス感染症後を見据えた新たな医療へ向けた提言(案)」について議論が行われた。
総会では、まず、空席となっていた国民医療を守る議員の会の会長に加藤勝信衆議院議員が、会長代行に武見敬三参議院議員がそれぞれ就任すること等の役員人事案が了承された後、加藤会長からあいさつが行われた。
加藤会長は「コロナの補助金を除けば、医療機関の経営は大変厳しい状況にあること、また、令和3年度の賃金や物価は上昇傾向にあることなどを踏まえれば、次回の診療報酬はプラスの改定にしなければならない」と強調。出席者に対して、「改定率の決定に向けて、一致団結して頑張っていこう」と呼び掛けた。
診療報酬のプラス改定に向けた協力を要請―中川会長
続いてあいさつした中川会長は「新型コロナウイルス感染症が収束していけば補助金は当然なくなる。今、診療報酬できちんと手当てしなければ、コロナ禍において大打撃を受けている地域医療を立ち直らせることはできない」と指摘。日本医師会としても、引き続き、「躊躇(ちゅうちょ)なくプラス改定にすべきである」というメッセージを発信していくとの考えを示すとともに、コロナ禍にあっても国民に十分な医療を提供するため、令和3年度補正予算並びに令和4年度診療報酬改定において、国民の生命と健康を守るための財源確保に向けた支援を求めた。
引き続き、中川会長は資料を基に、(1)「かかりつけ医」、(2)医療計画(「5疾病5事業」)への新興感染症等対策の追加、(3)医療経済実態調査の結果―等に対する日本医師会の考えを説明。
その中では、かかりつけ医機能について、「財政審が言うような制度化は拙速に行うべきではない」とするとともに、その評価を医療費抑制の手段とするのではなく、機能に見合った評価に進化させていくべきと主張。次に、新たな感染症の発生もいつ起こるか分からないとして、都道府県医療計画における新興感染症対策事業の検討、施策の実施を前倒しで進めることなどを求めた上で、改めてプラス改定を要望した。
その後は、議員の会として取りまとめる予定の提言「新型コロナウイルス感染症後を見据えた新たな医療へ向けた提言(案)」について議論が行われた。
提言案では、「新型コロナウイルス感染症の終息の予測が不確実な中で、ポストコロナを見据え、コロナ感染症や新たな新興感染症の医療と通常医療との両立が可能な医療提供体制を整備していく必要がある」とするとともに、「有事の際の対応力を含めて平時の医療提供体制を整備することが、国民の生命を全ての疾病から守ることに直結し、まさに国の責務である」と指摘。その上で、国に対して、以下の五つの事項(①新型コロナウイルス感染症患者の入院体制への支援②全ての国民がかかりつけ医をもつための支援③デジタル化による健康医療情報の活用④医療従事者の処遇の改善⑤必要な医療財源の確保)の実現を求めている。
意見交換の中では、「必要な医療財源の確保」の部分について、「大幅なプラス改定を求める」など踏み込んだ書きぶりにすべきとの意見が、自見はなこ参議院議員始め多くの議員から出され、加筆・修正に関しては加藤会長に一任することで了承された。
岸田総理に提言を手交
なお、提言は12月8日に加藤会長から、岸田文雄内閣総理大臣に手交された。