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令和3年(2021年)12月20日(月) / 日医ニュース

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しについて

はじめに

 新型コロナウイルス感染症の流行下においては、昨年、初診からのオンライン診療が時限的・特例的に認められた。他方、オンライン診療は、対面診療と比較して限られた情報の中での診療であることに十分留意して行う必要がある。
 令和2年10月の3大臣合意により、初診からのオンライン診療は、「安全性と信頼性をベースに」認めることとされ、これを踏まえて、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で議論されてきた。
 また、今年6月の骨太の方針及び規制改革実施計画で、オンライン診療については、初診からの実施は原則かかりつけ医によることとされた。
 今般、11月29日に指針改定の方向性が整理されたが、一部のメディアからあたかも、かかりつけ医以外の医師が自由に実施できるかのような報道がなされた。しかし、対面診療を重ねてきた医師と患者の間での実施が原則とされることに変わりはないことにご留意頂きたい。

整理のポイント

 初診からのオンライン診療は、原則「かかりつけの医師」が行う。この指針の中では「かかりつけの医師」とは、直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師を言う。そして、例外的に「かかりつけの医師」以外の医師が行う場合は、「医学的な情報が提供され、医師・患者が可能と判断し合意が得られた場合」や、更なる例外として、「健康な勤労世代等かかりつけ医をもたない方にかかりつけ医をもってもらうために、診療に先立ち『診療前相談』を行い、そこで、オンライン診療が可能と判断し、合意した場合」にもできることとされた。
 この「診療前相談」とは、医師・患者間で映像を用いたリアルタイムのやり取りを指している。また、相談で得た情報は診療録に記載することとされている他、「診療前相談」は診療行為ではないと整理されている。
 なお、その際にはオンライン診療ができない場合があることや費用等をあらかじめ患者に十分周知するように要請されている。
 初診から診療できる症状については、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に関する提言」の症状の個所を踏まえて、医師が判断することになった。初診から処方できる医薬品は、前記の提言を参考に医師が判断する。
 なお、麻薬及び向精神薬等の処方は禁止されている。
 また、その後の治療方針を患者に説明するとした上で、対面診療につなげられるようにすることが求められている。
 更に、その後の対面診療は、「かかりつけの医師」がいる場合はその医師が行い、「かかりつけの医師」がいない場合は、初診からのオンライン診療を行った医師が行うことが望ましいとし、その医療機関で行えない場合は、患者の近隣で対面診療が可能な医療機関に紹介することとされている。

最後に

 オンライン診療は、解決困難な要因によって、医療機関へのアクセスが制限されている場合に、対面診療を補完するものという考えに変わりはない。
 日本医師会はこれまでも、「安全性と信頼性」を担保できる医師は、かかりつけ医であることを繰り返し主張してきた。
 今後も、適切な場で関係者による十分な議論が行われ、それが正しく反映されていくことが重要である。

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