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令和3年(2021年)12月1日(水) / 「日医君」だより

第29回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第29回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が11月26日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、現在のわが国の感染状況について、昨年夏以降で最も低い感染水準が続いているが、ワクチン接種が先行し、行動制限が緩和されていた欧州では感染が再拡大し、再度のロックダウン等の規制を強化する動きが広がっているとして、引き続きの感染対策が必要との考えを示した。

 また、わが国のワクチン接種率について、11月25日時点で2回の接種率が国民全体で76.5%、高齢者では91.3%となり、G7各国の間で第1位になったことを報告するとともに、12月1日からは、18歳以上の国民を対象として、2回目接種から原則8カ月経過した者への追加接種が開始されるとして、改めて各都道府県医師会に協力を求めた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の状況・ワクチン等、(2)次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像、(3)その他―についてであった。

 (1)では、釜萢敏常任理事が新型コロナワクチン接種の今後の方向性について報告した。追加接種(3回目接種)については、ファイザー社製(以下、ファ社製)・モデルナ社製(以下、モ社製)ワクチンの感染予防効果、入院予防効果、重症化予防効果の推移に関して、11月15日時点で得られている知見に関して解説。感染予防効果については、両ワクチンともに、全年代において経時的に低下するものの、ファ社製ワクチンの追加接種の効果に関しては、3回目接種で2回目より高い免疫原性(中和抗体価)の増加が確認されているとした他、諸外国における現時点での追加接種対象者は高齢者や重症化リスクの高い者、医療従事者としていることが多く、今後、対象範囲の拡大が予想されると説明した。

 また、諸外国においては、追加接種で交互接種を認める(mRNAワクチンの使用推奨)ケースが多いが、わが国においては、薬機法に基づき有効性・安全性を審査した結果、11月11日に追加接種用としてファ社製ワクチンが承認されたことを報告。接種間隔については、2回目接種完了から概ね8カ月以上経過後から行うこととされ、今後、科学的知見の蓄積と、自治体における接種体制の整備が進むに従い、追加接種を加速していく方向であるとするとともに、モ社製ワクチンの使用についても、薬事承認されれば、1つの接種実施医療機関等において、複数種類のワクチンを取り扱うことが可能になるとした。

 追加接種用のファ社製ワクチンの配送については、既に約412万回分が配送済みである他、12月に2回、2022年2月の配送(計約2,073万回分)を予定しており、モ社製ワクチンについても、2022年1月に1,734万回分の配送を予定しているとした。

 交互接種については、1回目接種後に重篤な副反応を呈した等の場合を除き、原則として認められないとする一方、現状、わが国ではファ社製ワクチンの接種回数が多いことに加え、追加接種用ワクチンの配送割合を考慮すると、ある程度交互接種を進めなければならなくなる可能性を示唆した。

 一方、若年(10・20代)男性への接種については、その他の年代の男女や同年代の女性と比べ、特にモ社製ワクチン接種者間で心筋炎の発症頻度が高く、その因果関係が疑われることから、2・3回目接種の際、本人の希望に応じてファ社製ワクチンの接種を認めるものの、原則的には、交互接種は認められないとした。

 その他、釜萢常任理事は小児(5~11歳)へのワクチン接種や、ワクチン接種に係る費用請求方法の変更についても解説を行った。

 その後の質疑応答では、現場の混乱を回避するため、ファ社製・モ社製ワクチンの使い分けのルールや接種対象の明確化の他、モ社製ワクチンの接種を促進するための情報発信や職域接種の活用を求める要望、小児の接種施設、国内におけるブレイクスルー感染の状況等に関する確認などの事項が取り上げられた。

 (2)では、厚生労働省担当者より説明が行われた。その中では、全体像のポイントとして、1.医療提供体制の強化、2.ワクチン接種の促進、3.治療薬の確保、4.国民の仕事や生活の安定・安心を支える日常生活の回復―の四点を挙げるとともに、「今夏の入院必要数と比べて約3割増しの3.7万人が入院できる体制を11月末日までに構築する」「ITを活用した医療体制の稼働状況の見える化を行う」「追加接種を含めたワクチン接種の推進と国産治療薬の開発促進」「簡易かつ迅速に利用できる検査環境の整備を進める」といった方針が示された。更に、病床の確保状況・使用率等の「見える化」に関する厚労省事務連絡や病床確保料(補助金)についても説明がなされた。

 また、「幽霊病床」という表現について、中川会長が「多くの医療者達が心を痛めている」と意見した結果、説明資料において使用されないことになったと報告された。

 その他、釜萢常任理事から、まだ接種券を受け取っていない者に対して、例外的に新型コロナワクチン追加接種を実施する場合の事務運用について、11月26日付けで厚労省より都道府県宛てに発出されたことが報告された。

 総括を行った中川会長は、わが国の高いワクチン接種率は、「全国の医師会が全力を挙げて推進に取り組んだ結果である」と改めて謝意を表明した上で、「世界中でブレイクスルー感染が広まっている。追加接種の推進のため、更なるご協力をお願いしたい」とし、引き続きの支援と協力を求めた。

 次回は12月24日に開催される予定となっている。

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