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令和3年(2021年)10月26日(火) / 「日医君」だより

第28回 都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第28回 都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が10月22日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、ワクチン接種について、全国の医師会が底力を発揮したことで、これまでに全国民の約7割、高齢者の9割以上が2回目の接種を完了したとして、改めて感謝の意を示すとともに、国が準備を進めている3回目の追加接種が開始された際には引き続きの協力をお願いしたいと述べた。

 また、政府の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証が始まったことにも触れ、抗原定性検査キットの使用に際しては、高感度の製品を推奨するだけでなく、陰性結果を過大に評価しないこと、無症状者の検査感度が低下することを周知の上、運用すべきと主張。国に対しては、運用上の課題を確認しつつ、実証途中であっても改善、修正を進めて本実施の実現につなげるよう要請していることを明かした。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の状況・ワクチン等、(2) 令和3年10月以降の医療機関等における感染防止対策の継続支援およびコロナ患者診療に係る特例的な評価の拡充、(3)今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備、(4)政府「新型コロナウイルス感染症対策本部」「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」、(5)令和3年度 新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度、(6)令和3年度日本医師会休業補償制度、(7)その他―についてであった。

 (1)では、釜萢敏常任理事が都道府県の医療提供体制等の状況及び直近の感染状況の評価等について報告。新規感染者数が減少している背景は分かっていないとした上で、「ウイルスの増殖の中でコピーエラーを起こすという仮説については、ウイルスのゲノム解析でそのことを示唆する所見は明らかとなっていない」と述べた。また、諸外国を含めたワクチン接種率と人口当たりの感染者数・死亡者数の推移についても解説した。

 その後の質疑応答では、3回目のワクチン接種に関して、国が指針等を示すよう求める意見が出された他、交互接種を認めることによるワクチン供給の影響や接種券の発券、ワクチン接種を行った感染者、濃厚接触者の隔離期間の短縮に関する質問には、釜萢常任理事が「3回目のワクチン接種実施について、マスコミによる報道が先行しているが、国は最終的な決断をしていない」と説明。今後、国と連携をとって方針を示せるよう検討していくとした。

 (2)では、松本吉郎常任理事が、本年9月末までとなっていた診療報酬上の特例について、政府・与党を始めとする関係各所に継続的な支援を働き掛けた結果、補助金による感染防止対策の継続支援及び診療報酬におけるコロナ患者診療に係る特例評価の拡充に至ったとして、その内容を概説した。

 (3)では、猪口雄二副会長が、10月1日付けの厚生労働省事務連絡について説明した上で、「10月29日までに今後の保健・医療提供体制の構築方針を作成し、11月30日までに確保計画として取りまとめるとされているが、その際、都道府県等には、地域の医療関係者等に対しても事前に十分な協議を行うことが要請されている。都道府県医師会には医療関係団体とも連携し、行政等と協議してもらいたい」と述べた。

 また、これに関連して補助金(緊急包括支援交付金)の実施要項並びに交付要綱も改正され、新型コロナウイルス感染症患者の入院受入要請があった場合に、正当な理由なく受け入れなかったときには病床確保料の返還又は申請の取り下げを行うことなどが明記されたことに対しては、補助金の取り扱いは、当該医療機関や地域の実情を十分勘案し、公平に検証した上で対応するよう国に強く要求していくとした。

 (4)では、続いて猪口副会長が、全体像の骨格の内容を概説した上で、この件に関しては、10月27日に開催される、日本医師会・四病院団体協議会・全国自治体病院協議会による「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」において、コロナ医療と通常医療の両立、受入病床の役割分担や補助金の取り扱い、また人材育成―等について議論する予定であることを明らかとした。

 これらの説明に対しては、人手不足の指標が明確でないこと、市町村における病床確保の対応が不公平である等の指摘の他、多くの医師会から、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の資料に、即応病床と申告しながらも稼働しなかった病床をいわゆる「幽霊病床」と明記していることについて問題意識が示された。

 (5)と(6)では、今村聡副会長が次年度以降も継続する意向を示すとともに、補償内容が拡充されたことなどを説明。今後、日医ニュース、ホームページ等で周知していくとして、その活用を呼び掛けた。

 (7)では、松本常任理事が、令和2年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金について、厚労省において医療機関が提出した補助金の申請書類が確認できないケースが発生した問題について言及。日本医師会として厚労省に強く抗議をし、速やかな対応を求めた結果、令和2年度の申請分については申請書類に不備があるものを除き交付決定が完了したとした上で、「令和2年度に申請したにもかかわらず、厚労省からの連絡がない場合には、コールセンターに問い合わせをして欲しい」と述べた。

 総括を行った中川会長は、政府の資料に「幽霊病床」と明記されていることについて、国に対して全国知事会等とも連携の上、修正を求めていく考えを表明。

 また、今後の感染状況については、ワクチン接種が先行した諸外国の事例に学び、新型コロナウイルス感染症がこのまま収束するとは思っていないとし、「次の波が少しでも低い状態となるよう全力で頑張っていく」として、引き続きの支援と協力を求めた。

 次回は11月26日に開催される予定となっている。

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