日医定例記者会見 5月19日
猪口雄二副会長は、(1)最近の新型コロナウイルス感染症の感染状況、(2)感染拡大と医療提供体制―について解説した。
(1)では、5月16日から緊急事態宣言の対象地域に、北海道、岡山県、広島県の3道県が追加され、合計9都道府県に拡大されたことについて、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の強い意見を受けて政府の諮問案が変更されたことは、同分科会の機能が十分に発揮されたとした。
また、「まん延防止等重点措置」の対象地域も追加されており、全国の新規感染者数も高止まりの状態が続いていることや変異株の問題もあることから、「『緊急事態宣言』や『まん延防止等重点措置』の対象以外の地域においても、引き続き感染拡大の警戒が必要」と述べた。
(2)では、まず、今後の医療提供体制について「あるべき医療提供体制は、コロナ医療とコロナ以外の通常医療の両立が基本」と強調。その上で、現在全国でその両立が難しくなりつつあるとし、救急搬送困難事案の増加傾向や大阪府、北海道の厳しい状況等に危機感を示した。一方、好事例として福岡県の"JMAT福岡"の宿泊療養施設への派遣活動を挙げ、「全国でも行政と都道府県医師会、郡市区医師会がより強固に連携しつつある」と述べ、埼玉県や神奈川県でも具体的に連携が進んでいるとした。
これらを踏まえ猪口副会長は、「日本医師会では、全国の医師会のコロナ対応として、宿泊療養・自宅療養への全面協力、及び変異株の退院基準の周知徹底と後方支援医療機関の確保も重要と考えている」と述べ、変異株の退院基準が従来株と同じ取り扱いに変更されていることを説明。しかし、後方支援医療機関では高齢者が多く、クラスターが発生しかねないとの不安などから、従来株と同じ基準で退院する変異株患者の受け入れをためらう医療機関も少なくないとした。
そして、この点を解決するため、日本医師会が四病院団体協議会、全国自治体病院協議会と共に立ち上げた「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」では、退院基準の周知徹底などを進めていることも併せて説明した。
猪口副会長は最後に、5月26日にも同対策会議が開催されることを明らかにし、「現在、新規感染者数が高止まりし、重症者数も再び積み上がっている状況にある。当日の同対策会議には、東京都でコロナ患者の搬送・入院調整の総指揮官の立場にある先生に参画頂き、最大限のコロナ患者の受入体制づくり、コロナ医療と通常医療との両立のため、しっかりとした協議を行う」とした。
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日本医師会地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)