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令和3年(2021年)5月20日(木) / 日医ニュース

医療法等の一部を改正する法律案に対する考えを説明

医療法等の一部を改正する法律案に対する考えを説明

医療法等の一部を改正する法律案に対する考えを説明

 猪口雄二副会長/全日本病院協会長は4月27日、参議院厚生労働委員会に参考人として出席し、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」(以下、改正案)について意見陳述を行った。
 同改正案については、3月24日の衆議院厚生労働委員会でも今村聡副会長が意見を述べている(別記事参照)

四つの観点から意見を述べる

 猪口副会長は当日、(1)医師の働き方改革(医療法)、(2)各医療関係職種の専門性の活用、(3)地域の実情に応じた医療提供体制の確保、(4)持ち分の定めのない医療法人への移行計画認定制度の延長―という四つの観点から意見を述べた。
 (1)では、医師の働き方について、医療法等の改正によって地域医療とのバランスを見ながら改革を進める必要性などを説明。「病院の宿日直が労働時間の適用になるかどうかは、医師派遣にも大きな影響を与えることになる」と指摘し、地域の実情等も勘案できるよう、労働基準監督署における弾力的・謙抑的な運用と医療機関への支援を求めた。
 (2)では、タスクシフト・シェアについて、新たな職種の創設ではなく、既に認められている業務の着実な実施を基本とすること及び今回の法改正による業務の拡大では、医療安全の観点から、相当程度の教育・研修体制が必須であること等を主張した。
 また、いわゆる″Student doctor"に関する制度創設などの改正概要については、「医師育成課程において極めて重要である」と述べた。
 (3)では、①地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援②新興感染症等の感染拡大時における、医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置付け③外来医療機能の明確化・連携―について意見を述べた。
 ①では、病床機能再編支援事業の対象地域・医療機関の選定や執行に当たり、当事者だけではなく、地域の関係者間の十分な協議と合意に基づいて行うことの担保等が必要とした。
 ②では、平時から有事に備え、新興・再興感染症の感染拡大や災害等にも強い医療提供体制を構築することなどを要望するだけでなく、医療計画上のいわゆる「5疾病5事業」に、新興・再興感染症対策を追加することに賛同した。
 ③では、「特定機能病院や地域医療支援病院以外であっても、地域の基幹的な医療機関を、紹介患者への外来を基本とする医療機関として明確化することが目的と考えられる」と述べるとともに、都道府県が、地域の医療機関の中から「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関として明確化することになるとして、手挙げ方式を基本に地域における協議の場において総合的に勘案することを求めた。
 (4)では、「持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度については、2020年9月30日をもっていったん期限が切れているため、同改正案のとおり延長し、公布日に施行されることを願っている」と述べた他、現在、移行計画の認定を得るべく厚労省に事前相談をしている医療法人に対しては、新法が施行され次第認定できるよう、速やかに厚労省において作業を進めてもらう必要性を強調した。

現場の苦労に報い、支えとなる改正に

 猪口副会長は最後に、「各地の医療現場は、公か民か、あるいは施設の大小や機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な努力をしている。今回の制度改正は、そうした現場の苦労に報い、支えとなるものでなければならない」と述べるなど、日本医師会の立場や考えを改めて説明。出席議員に対して理解を求めた。
 その後に行われた各政党からの質疑では、わが国の医療制度に関する財政面や地域医療構想、新型コロナウイルス感染状況等、タスクシェア・シフトの課題等についての質問に対して説明を行った。

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