3カ月ぶりのLINEが弟から届いたのは、2019年10月でした。
「2020年2月×日、10時30分より秋田で結婚式をすることになりました。参加できるようでしたら、教えて下さい」
おめでとう、弟よ! 同時に、ちょっとだけ悪い考えが頭をよぎる......1回目のご祝儀は返してくれ!
早速妻に報告したところ、「良かったね、おめでとう」そこから思いがけない言葉が続きました。
「礼服、入るの?」
「え......?」
すぐさま、クローゼットから礼服を取り出してみました。礼服を購入したのは、約10年前、妹の結婚式の時でした。十数万円で購入した、自分としては頑張った買い物。そして、出番は今までその1回のみ。今回、2回目の出番になる予定でしたが......。
そうです。礼服は小さくなっていました! 服は時間が経つと縮んでしまうなんて、私の愛読書の「肝臓」には一切書いていませんでした。閉まらないボタンと格闘しながら「新しい礼服を買わないといけない」と妻に切り出したところ、「服を体に合わせるんじゃない! 体を服に合わすの!」と温かいお言葉を頂きました。
かくして、私のダイエット大作戦が開始されました。まずは、己を知るところから。体重計に乗ると、10年前の6キログラム増。宇和島での3年半の1人暮らしがいけませんでした。好きなものを好きなように食べたツケがこのような形で回ってくるとは......。と言うことで、5カ月で6キログラム減が目標となりました。
このエッセイを妻が読むことはないと信じて白状しますと、病院の帰りにPre-medi.と称して、ラーメン、牛丼、たこ焼きなどを食べて帰ったりしていましたので、まずはPre-medi.無しでの生活としました。
日々の食事については、昼ご飯をダイエットの強い味方proteinでの置き換えとし、それ以外もグルテンを極力抑え、パン類、麺類は原則禁止としました。
ダイエットは誘惑との闘いです。飲み会を我慢する、やむを得ず参加した場合もお酒は飲まない、〆のラーメンはやめる。食欲の塊の私としては本当に涙が出そうになりました。しかし、「10万のスーツ、10万のスーツ」と自分を奮い立たせながら、久しぶりに頑張ってみました。
2月、無事ボタンを留めた礼服を纏(まと)って、弟の結婚式に参加することができました。ダイエットは、動機付けが一番大事だと感じた5カ月間でした。
(一部省略)
愛媛県 松山市医師会報 第335号より