新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が、4月7日に発令されたことを踏まえ、日医は翌8日に全国知事会との意見交換会をテレビ会議システムで開催し、医療崩壊を防ぐために協力していくことを確認した。
冒頭、あいさつした横倉義武会長は、緊急経済対策における医療機関の支援については、「緊急包括支援交付金(仮称)」「地域医療確保支援」「診療報酬」の3本立てで対応することになったことに触れ、「『緊急包括支援交付金(仮称)』は、地域の医療提供体制を守るため、地域の実情に応じて都道府県が活用計画を作成するものであり、知事の皆様には都道府県医師会と十分に連携して頂きたい」と要請。また、各都道府県でどこの病床が利用できるかなどの医療資源をリアルタイムで把握できるようにするため、行政側から医療機関の状況把握ができる仕組みが必要であるとした。
飯泉嘉門全国知事会長/全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部本部長(徳島県知事)は、緊急事態宣言を受け8日に開催した第5回全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部会議で、緊急事態宣言の対象となった7都府県の知事を交えて議論を行い、国民に向けた「打倒コロナ! 危機突破宣言」を取りまとめたことを紹介。その中で、諸外国のような医療崩壊を防ぐために強いメッセージを打ち出したとし、日医との協力に期待を寄せた。
続いて、平井伸治同副本部長(鳥取県知事)が、「打倒コロナ! 危機突破宣言」とともに取りまとめた「『緊急事態宣言』を受けての緊急提言」の概略を説明。緊急事態宣言を実効性あるものとするため、国に対して、(1)イベント等の開催や事業活動の自粛など感染防止のための協力要請に対する補償等、(2)緊急事態宣言の対象地域から他の地域への感染リスクの拡散防止及び国民の行動変容を促すための注意喚起の徹底、(3)命を守るための医療提供体制の整備、(4)地域の自由度の高い財政支援制度の創設、(5)風評被害、差別意識の排除の推進―を求めていくとした。
その後の意見交換では、中川俊男副会長が、日医が全都道府県医師会と毎週金曜日にテレビ会議で開催している「都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会」において、かかりつけ医からPCR検査までの流れがスムーズではないとの指摘が多く寄せられていることを報告。保健所や帰国者・接触者相談センターのキャパシティの拡充を訴え、鳥取県や沖縄県等の好事例を知事会内で共有することを要望した他、石川広己常任理事は、防護具不足の中で医療従事者が奮闘している実情を説明し、更なる協力を求めた。
横倉会長は、「濃厚接触による自主的な就業制限、施設の使用制限に関する日本医師会の考え方 Ver.2.0」を取り上げ、「新型コロナウイルス感染症の患者を診察した医療機関の風評被害を防ぐためにも、保健所の指導の下に消毒したことを自治体が住民に適切に広報して欲しい」と強調した。