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平成30年(2018年)1月20日(土) / 南から北から / 日医ニュース

学生実習

 医学部5年生の開業医実習を2週に一度続けて受けている。やってくる医学生の意識、意欲はかなりの差がある。この数年で記憶に残った学生について。
 6年前に来たA君。必ず私からする質問は「なぜ医師になりたいと考えたの」である。大概の学生は「医師の仕事は人のためになり......うんぬん」という予備校で習った模範解答のような返事をするが、彼は違った。
 彼は「本当は、私は口下手で対人恐怖症があり、客観的に見ると医師、特に臨床には向いていないと思う。将来は基礎研究を考えているが、医師免許が取れたとしても使うことはないかも知れない。ただ、医師免許が無いと研究に支障があると聞いたので」と言った。
 私は意地悪かも知れないが、「最初から基礎に進んだ方が良いのでは」と返したが、「そうですかね」との返事のみであった。現在、基礎の教室から米国に留学しているとのことである。
 4年前に来たB君。同様の質問に、返事は「先生、僕は芦屋でベンツを乗り回したいんですわ。昔、近く(彼は芦屋出身)の開業医の先生がベンツに乗ってはって。それが憧れで医師を目指したんですわ」であった。今、彼が目標に向かって順調に進んでいるかどうかは分からない。
 3年前に来たCさん。彼女は「両親が手に職をつけろと。女性も経済的自立が必要と考えて医師を目指した」との返事であった。将来は専業主婦が希望と。
 どの学生が本当の意味で良い医学生なのか私は知らない。それぞれの目標に向けて頑張って人生を歩んで欲しいと願うのみである。

宮城県 仙台市医師会報 No.637より

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