横倉義武会長は11月9日、総理官邸を訪問し、安倍晋三内閣総理大臣と会談を行った。
横倉会長は、まず、台湾の台北市で10月に開催された世界医師会台北総会において、世界医師会次期会長に選出されたことを報告。これまでの支援に対して感謝の意を示したのに対して、安倍総理からは、祝意と共に、「引き続き医学・医療のために尽くして頂きたい」と激励の言葉が述べられた。
また、当日、同会長は、(1)医療分野の研究開発に関する「内閣総理大臣賞」の創設、(2)かかりつけ医の普及に向けた方策、(3)文部科学省・中央教育審議会における学校保健分野の充実―について要望を行った。
(1)では、わが国が国内のみならず、世界の医療の発展に向けてより貢献できるよう、医療研究者等のやる気を引き出す観点から、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して、その功績を称える「内閣総理大臣賞」の創設を要望。安倍総理からは、「その方向で検討させて頂く」との回答を得た。
(2)に関しては、日医として「かかりつけ医」の普及に努めるとともに、本年5月22日には「日医かかりつけ医機能研修制度平成28年度応用研修会」を開催したこと等を説明。その上で、「残念ではあるが、国民一人ひとりが『かかりつけ医』を持つには至っていない。『かかりつけ医』を持つことの大切さについて、国民の理解が得られるよう、更なる努力をしたい」と述べるとともに、政府の協力を求めた。
この問題に関して、安倍総理は、「何らかの方法で『かかりつけ医』を持つことを奨励したいと考えている」とした上で、今後も日医と相談しながら、その方法を考えていきたいと応じた。
また、(3)について、昨今、子どものスマートフォンの過度な利用が問題になっていること等を踏まえ、「児童・生徒が心身共に健やかに育つためにも、学校医の代表を中央教育審議会に参画させて欲しい」と要望したのに対して、安倍総理は、「前向きに検討したい」として、文科省にその意向を伝える考えを示した。
一方、安倍総理からは、高額薬剤への対応に関して協力要請がなされ、横倉会長は、「必要とする患者に提供できるようにして欲しい」と述べた。