少し前のことだ。育児休暇明けに、子どもを認可保育園に入園させようとして叶わなかった、30代女性のブログが波紋を広げた。内容は、入園できなかった不満にとどまらず、1億総活躍社会を目指すという現政権の方針への批判や、子育て世代対策が不十分な状況を、怒りに任せ、やや荒々しい口調で抗議したものだ。
衆院予算委員会で、ブログの信ぴょう性が問われると、国会前での抗議集会、2万人規模の賛同者の署名提出にまで発展した。そして、ついに総理が、待機児童対策に更に力を注いでいくという内容の答弁を行うに至った。
子どもを持つ親がキャリアを継続する上で、保育園、学童保育などの就労時間中の育児サービスは極めて重要だ。これは、女性医師も例外ではない。就労女性医師数のM字カーブは、子育てをしながらの現場復帰の厳しさを如実に表している。
定時帰宅が保証されない医療従事者の場合、公共の施設では対応できず、家族、特に祖父母が保育の中心となることも多い。医学部学生対象のキャリア形成講座で、将来の育児問題について討議すると、やはり家族の支援に大きな期待が寄せられていた。院内保育園設置には、経営面での困難が伴うというが、一人でも多くの病院長先生方の英断に期待したい。
一方、介護分野でも問題は山積だ。今後、介護休暇取得が進むと、休暇明けに「介護施設入所出来ず 日本死ね!!!」問題が出かねない。
さて、医療費抑制策が続く中、医療現場の悲鳴はどのような形で訴えれば、国民の共感を得られるだろうか。
(和)