たばこがなかなかやめられないのは「意志が弱いからだ」と思い込んでいる人がいますが、禁煙できないのは、ニコチン依存症という病気のためだと、まず認識してください。ニコチン依存症の人はニコチンが切れるとイライラやストレスを感じるようになります。ここで喫煙すると脳波が一時的に正常に戻るだけでなく、快感物質(ドーパミン)も放出されるため、「たばこでリラックスできる」と錯覚してしまっているのです20)。
Dani JA, et al. Neuron.1996; 16: 905-8
ニコチン依存症になりやすいのは、たばこの煙を吸い込んだ途端にニコチンが肺から急速に吸収されることも関係しています。喫煙を開始して約7秒でニコチンが作用し、イライラ解消が実感されるため、脳で喫煙がよいものだと認識され、ニコチン依存が強化されます。ただし、ニコチンの影響はなくなるのも早く、イライラやストレスが再び出現します。これが「ニコチン切れ」という離脱症状(禁断症状)です。
ニコチン依存症から抜け出すのは、ヘロインやコカインをやめるのと同じくらい難しいといわれています。依存症になる前に早めに禁煙に取り組みましょう。
Royal College of Physicians:Nicotine Addiction in Britain: A Report of the Tobacco
Advisory Group of the Royal College of
Physicians. 2000
TDSニコチン依存度テストより抜粋