2018年8月に厚生労働省から、たばこの害は社会全体の大損失になるという驚きの研究結果が出されました。
主な内訳は、たばこが原因と考えられる病気(がん、脳卒中、心筋梗塞、認知症)※にかかる医療費が1兆6,900億円、これらの病気で必要になった介護費2,600億円、たばこによる火災などの関連費が1,000億円でした。
医療費の中でもがんの治療費が5,000億円超になっている他、受動喫煙が原因の医療費は3,300億円で、脳血管疾患による医療費が多くなっています。
この莫大な損失額を削減するためにも、やはり禁煙と受動喫煙防止が不可欠です。
また、WHOの調査結果では、喫煙による経済損失が世界全体で年間1兆4,000億ドル(約200兆円)に上るとのデータもあります19)。
※厚生労働省の「喫煙の健康影響に関する検討会」が
たばこ規制の行動経済・医療経済学的評価に関する研究:受動喫煙防止等のたばこ対策の推進に関する研究.
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究. 2018.
日本のたばこ価格の6割以上は消費税を含めた税金です。財務省のたばこ税収は、年間約2兆円。重要な財源である一方で、喫煙で国民が健康を害し、医療費を底上げしているため、たばこ税を、医療費を賄う財源にという声も挙がっています。
子どもは短期間でニコチン依存症になりやすいため、一旦、喫煙を始めてしまうとやめることが難しくなってしまいます。実際、全喫煙者の9割が10代で喫煙を始めています。
子どもが喫煙者にならないよう、小学校から高校まで学校で禁煙教育が行われるようになりました。学習指導要領においても「喫煙は心身にさまざまな影響を与え、健康を損なう原因である」と明記されるなど、学校における喫煙防止教育、禁煙教育の推進が重要であるとしています。
たばこと受動喫煙による健康被害、たばこの依存性、新型たばこのリスクなど、子どもに禁煙の意義を理解してもらうことは、家族や身近な大人に禁煙を勧めるための大きな力にもなります。こうした意味からも、学校での禁煙教育の継続が重要になります。
学校における受動喫煙防止対策の状況 | 平成29年度 | 平成17年度 | |
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受動喫煙防止対策を講じている | 47,281 (99.6%) |
50,554 (95.3%) |
|
具体策 | 1. 学校敷地内の全面禁煙措置を講じている | 42,941 (90.4%) |
24,082 (45.4%) |
2. 建物内に限って全面禁煙を講じている | 3,184 (6.7%) |
12,511 (23.6%) |
|
3. 建物内に喫煙場所を設置し、分煙措置を講じている | 1,156 (2.4%) |
13,961 (26.3%) |
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受動喫煙防止対策を講じていない | 202 (0.4%) |
2,485 (4.7%) |
|
合計 | 47,483 (100.0%) |
53,039 (100.0%) |
文部科学省:平成17年度