尿に異常がみられるとき
尿はどうして作られるか
おしっこには体の健康情報がたくさん入っています。そんなおしっこに異常があるときさまざまな病気が疑われます。
おしっこは腎臓で作られます。腎臓に入って行く動脈の血液は腎臓で濾過され水分が再吸収され尿管、膀胱(ぼうこう)を通っておしっことして排泄されるのです。おしっこの異常には量、回数、色、内容などが考えられます。
尿量の異常
尿量は摂取水分量と、体から自然に水分がなくなる不感蒸泄量(ふかんじょうせつりょう)によって決まります。一般的には年齢とともに尿量は増えます。脱水症があるときは尿量は減り、糖尿病や尿崩症(にょうほうしょう)という病気の時は尿量が多くなります。
回数は個人差が多いのですがトイレに近い頻尿(ひんにょう)は膀胱炎や心因性を考えます。
尿の色
おしっこの色は、ふつう麦わら色をしていますがときに赤色をしていることがあります。オムツにレンガ色をしたおしっこが染みていて、お母さんが血尿ではと心配することがあります。これは尿酸塩が析出した物で、全く心配のないものです。
子どもによくある尿の病気 - 尿路感染症
子ども、特に低年齢の幼児や乳児では腎臓から膀胱、尿道のどの部位に感染があるかなかなか判断がつきにくいため尿路のどこかに感染症があるという意味で尿路感染症(にょうろかんせんしょう)と言います。
6か月以下の乳児の発熱時には、必ずこの尿路感染症を疑い、尿検査をします。大きい子どもと違って、自発的に尿を採取できないため、おまたに採尿パックを取り付けなければいけません。とれた尿を顕微鏡で観察し、白血球が多数あり細菌が認められれば、尿路感染症と診断します。
腎臓から作られた尿は常に上から下へ流されて、常にばい菌は排出されているのですが、この尿路にどこか尿の流れに問題があると、ばい菌が停滞して感染症を引き起こすのです。
尿管から膀胱へはふつう逆流できない機構があるのですが、この機構が十分できあがっていないと、膀胱へ入った尿が尿管に逆流します。この現象を尿管膀胱逆流現象と言い、乳児の尿路感染症の大きな原因となるのです。この現象があると尿路感染症を繰り返し、腎盂(じんう)の拡大が起こり、腎臓の実質が萎縮し、最悪の場合、腎不全になります。
これを予防するためにも、きちんと診断しなければいけないのです。年長児になると膀胱炎も症状から推測できます。おとなと同じようにトイレが近くなり、排尿後の満足感が得られず、下腹部に違和感を覚えるのです。尿検査で白血球が多くあれば診断がつきます。出血性膀胱炎ではおしっこが赤いこと、数日でよくなることから診断がつきます。アデノウイルスによる膀胱炎です。
子どもによくある尿の病気 - 排尿機能の異常
子どもが自分で尿意を感じ、それにしたがっておしっこをする。いわゆる自律排尿ができるのは3歳ごろです。それまではオムツをはいていなければいけません。
一日中自律排尿ができない状態を遺尿(いにょう)と言い、夜だけの時を夜尿と言います。夜尿すなわちおねしょは個人差が大きく、小学校入学前の夜尿は、生理的夜尿として病気として扱いません。しかし世の中早いことはいいことだと親を焦らす風潮があります。