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胸のあたりを痛がっている場合 

子どもの訴える痛みについては注意が必要

 子どもは、体のどこかが痛いとき、その意味他について説明することがうまくできません。そのため「お腹が痛い」と訴えるときでも、実は「胸の痛み」であったりする事がたまにあります。胃炎など消化器系の病気でも、胸を痛がることがありますから注意して確かめる必要があります。

肺炎による胸の痛み

 長期間せきが出続けると、胸痛を感じることがあります。肺炎や喘息などで胸に痛みを感じたりするのはそのためです。風邪をこじらせたときや、子どもの肺炎としては、マイコプラズマによる肺炎もあります。

マイコプラズマ肺炎とは?

 マイコプラズマは一般的な細菌より小さく、細菌に見られる細胞壁を持っていません。またウイルスとも違い、別の生物の細胞が無くても増殖することができ、細菌とウイルスの中間的微生物なのです。
 以前は4年周期に発症すると言われていましたが、最近は一定の周期ではなく、ある地域に散発的に流行が常時起こっているようです。この肺炎は5~9歳の年齢によく起こると言われていますが、低年齢でも発症率は決して低くはありません。5~9歳の子どもには典型的な症状があり、疑って診断しやすいため、病気の特定がしやすいのですが、低年齢ほど普通の風邪と症状が区別しにくいため、診断があいまいになっているという理由もあるようです。一般のかぜ同様飛沫感染で、保育園などの集団生活で流行が起こります。潜伏期は2~3週間と言われています。
 症状としては「熱」と「持続するせき」です。熱はあまり続かず、せきに特徴があります。肺炎と言われますが意外と全身症状がよいことが特徴です。
 診断は胸のレントゲン検査で特徴的な肺炎像で、確定診断は血液検査でマイコプラズマの抗体が上昇していることを確認して行います。
 肺炎は一般的に診断がついたときに入院治療することが原則ですが、全身状態がよいときは外来治療でも可能な場合があります。熱が持続していたり、肺炎像が広くみられるときには入院治療がよいでしょう。

マイコプラズマ感染症とは?

 肺炎が典型的なマイコプラズマ感染症ですが、風邪の症状だけで終わったり、気管支炎止まりの場合もあります。最近は、持続する痰の多いせきの原因としてマイコプラズマが関与していると言われています。また、皮膚に発疹が出たり心臓に炎症が起き、心筋炎や心膜炎になることもあります。さらに神経にも感染し髄膜炎、脳炎、末梢神経炎になることもあります。その他、関節、血液、消化器など様々な臓器に感染が及ぶことから、それらをまとめてマイコプラズマ感染症と言われています。
 マイコプラズマは一般の細菌のように細胞壁が無いため、細胞壁をダメにする抗生物質は効果がありませんので、マイコプラズマにはマイコプラズマに効果のある抗生物質を使わなければなりません。また肺炎まで進行せず、症状が軽い場合、特に治療しなくても回復する場合があります。

喘息

 喘息は慢性の気管支の炎症と言われています。
 気管支は周りを平滑筋(へいかつきん)という筋肉で覆われており、この筋肉が収縮すると気管支は狭くなります。こうして通る空気の量を調節しているのです。また気管支には痰を作る分泌腺がありますが、炎症があると痰が多く作られ、気管支の内径を狭くします。喘息発作が起こると気管支の平滑筋が緊張して気管支を締めつけ、分泌物が多く作られ、さらに気管支内径が狭くなります。このような状態を誘導する原因としてアレルギー反応が大きく関与しているのです。
 子どもでは、特に低年齢であるほど正常でも気管支は狭いので、対応力がないため簡単に発作が起こり症状も重くなります。

喘息の治療

 喘息には発作時の治療と発作を抑える治療があります。どのようなときに発作になりやすいかは、何度か経験することで分かってきます。
 例を挙げると
 「空気が少しひんやりすると発作になる」
 「夜になると症状がひどくなる」
 「風邪をひくと発作になる」
 「台風や低気圧が来ると発作になる」
 「運動会や遠足の後、夜になると発作になる」
 「精神的ストレスがたまると発作になる」
 等が一般的な特徴です。
 喘息治療薬は吸入ステロイド、抗アレルギー剤、気管支拡張作用のあるテオフィリン製剤とβ2刺激剤の4種類が主な治療薬です。それ以外に痰を出しやすい去痰剤が補助に使われます。これをどのように使うかは、子どもの症状や処方する医師の考え方で決められます。
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