黄疸が出ている
黄疸とは
黄疸とは皮膚が黄色くなる現象です。日本人はもともと黄色人種と言われるように皮膚が黄色いため、黄疸があるかどうか判断するのは困難です。一般的には、眼球の白い部分が黄色くなっているかどうかで疑います。黄疸には赤ちゃんのときの黄疸と、肝臓が悪いときの黄疸とがあります。
新生児黄疸
赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるとき、お母さんの子宮動脈から酸素をもらっています。呼吸による酸素補給より効率が悪いため、赤血球を多くすることで対応しています。酸素の少ない高地に住んでいる人や心臓が悪くチアノーゼのある人も同様に赤血球が多くなっています。
生まれたての赤ちゃんは、皮膚が赤く見えるので「赤ちゃん」と言われています。生まれると自分で呼吸し十分な酸素を供給できるので、多くの赤血球は壊れます。この壊れた赤血球が代謝される過程で、多くのビリルビンが作られます。このビリルビンが黄疸の正体です。これは生まれてから1週間ぐらい多くなり、その後は徐々に減少します。特に治療の必要がない時は生理的黄疸と呼んでいます。このビリルビンは血液の中ではアルブミンという物質と結合しており、脳には行きません。しかし、ビリルビンが多くなると、アルブミンと結合していない分子量の少ないフリーのビリルビンが脳に到達します。これが脳に沈着すると核黄疸(かくおうだん)と言われ、脳性麻痺の原因になるのです。これを予防するには、生まれたての赤ちゃんは黄疸の程度をチェックして、ビリルビンが多いときは光線療法や交換輸血をします。母乳はこのビリルビンの代謝を遅らせるため、母乳栄養児は1か月を過ぎても黄疸があります。これを母乳性黄疸と言います。ただしこの黄疸は脳に後遺症を残しません。
肝疾患の黄疸
赤ちゃんの黄疸は赤血球が急速に壊れることにより、ビリルビンが一時的に多くなる状態です。このビリルビンは間接ビリルビンと呼ばれています。肝臓が悪いときのビリルビンはさらに代謝された直接ビリルビンによる黄疸です。
先天性胆道閉鎖症は、生まれつき肝臓で作られた胆汁が排泄される胆道が狭いか、無い状態です。胆汁が消化管に出ないため便が白くなり黄疸も伴います。ウイルスによる乳児肝炎もこのビリルビンによる黄疸を伴います。
皮膚が黄色くなる状態
黄疸ではありませんが子どもはときに皮膚が黄色に見えるときがあります。特に手足が黄色く見えます。よく話を聞くとミカンをよく食べていたり、オレンジジュースをたくさん飲んでいます。この状態を柑皮症(かんぴしょう)と言います。
日本人は皮膚が黄色味がかっている黄色人種です。皮膚の赤さは血液の色ですが、貧血があると黄色味が目立ち、黄疸のように見えることがあるため、貧血があるか検査をする必要があります。
黄疸はすぐにわかる?
黄疸の肌色の変化は、ビリルビン値の変化につれて起き、急には表れないため、しばらく気づかないこともあります。直接ビリルビンは、緑がかった黄色です。太陽に当たると黒味がかって見えるため黄色くなるというより、日焼けしているように見えることがあります。日焼けだと思っていたら黄疸だった、ということもあります。気づきにくいものですが、夏でもないのに黒くなってきたなと思ったら、受診したほうがいいかもしれません。