口の中がおかしい
口内炎
口内炎とは口腔内の粘膜、舌、歯茎に炎症がある状態です。代表的口内炎は、反復性アフタ性口内炎と急性ヘルペス性口内炎です。
○反復性アフタ性口内炎
病名が示す通り、繰り返す口内炎です。口の中の粘膜、舌、口蓋(こうがい)に痛みを伴う潰瘍ができますが、約10日前後で改善します。ヘルペス性口内炎と違い、熱は伴わず、首のリンパ腺もはれません。原因は確定できませんが、口の中の不衛生、刺激、アレルギーではないかと言われています。原因が確定できないため、治療よりは症状の軽減と口腔内の清潔を心がけます。イソジンでうがいをしたり痛み止めを使用したり、炎症を抑える口腔用ステロイドの塗り薬を潰瘍(かいよう)部に使います。
○急性ヘルペス性口内炎
単純ヘルペスウイルスの初感染によって起きます。発熱と頸部(けいぶ)や顎(あご)の下のリンパ腺がはれることで反復性アフタ性口内炎と区別が付きます。歯茎が赤くはれることも特徴で、口内が痛み、よだれも多くなります。その結果、摂食困難になることもあります。熱と摂食困難のため、まれに脱水症状になり、入院が必要になる場合があります。治療は、ヘルペスウイルスに効果のある抗ウイルス剤の飲み薬、塗り薬を使用します。痛みのため摂食が難しくなるので、水分をこまめに与え、刺激の少ない食べ物で対応します。
○その他の口内炎
夏かぜの代表である手足口病、ヘルパンギーナの一症状として口内炎があります。はしやスプーンで口腔内を傷つけたり、熱いものを飲んでやけどを起こすことがあります。これも外傷性口内炎と言われています。飲食、飲料には配慮が必要です。
鵞口瘡(がこうそう)
乳児によく見られる口腔内疾患で、口の中にミルクかすのような白い物が付いています。その周囲が少し赤くなっていることが特徴で、この白いかすを顕微鏡で見るとカンジダというカビの一種が認められます。哺乳に影響あるときは薬を使いますが、ほとんどは自然に改善します。以前はピオクタニンと言う紫色の塗り薬を使っていましたが、これを使うと粘膜に潰瘍ができやすいことや、衣服に付くととれにくいことから、今はあまり使われなくなっています。やむ負えない場合は、他の抗真菌剤の塗り薬を使います。
舌炎(ぜつえん)
舌に潰瘍ができたり、赤くはれた状態で、味をはっきり感じられない事もあります。外傷ややけど、異物誤飲などが原因で起こります。まれにヘルペス感染症や溶連菌感染症に伴ってできることもあります。舌が黒くなる黒毛舌は、抗生物質の投与による口腔内の細菌叢(さいきんそう)の変化で起こります。通常は自然治癒を待ちますが、食事は刺激の少ない食べ物で対応します。
地図状舌
舌が白から灰色の模様をした、地図を描いたように見える舌です。特に異常ではありません。同じような状態は発熱時に認められますが、解熱とともになくなります。
口角炎
左右の口角の部分が裂けたり、皮膚がはがれたり、かさぶたができる状態です。子どもの場合は、舌で口角をなめてできる場合が多いようです。ほかに感染症も原因になります。