むくみがある
むくみとはどんな状態か
むくみとは医学用語では浮腫(ふしゅ)と言い、顔がはれている、手足がはれぼったいとき、一般的には「むくみがある」と表現されます。
浮腫は、皮膚の下の組織に血管からもれ出た水分が過剰に溜まった状態です。血液中のたん白が少なくなると、血管の中と外の浸透圧を同じにするために血液中の水分成分が外に出ます。その結果が浮腫=むくみとなります。 むくみがある子どもの病気の代表が、急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)やネフローゼ症候群という腎臓の病気です。いずれも簡単な病気ではないので、異常に気づいたら早いうちに、対処しましょう。
急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎は、溶連菌感染やウイルス感染の後に血尿、たん白尿、浮腫、乏尿(ぼうにょう)、高血圧の症状で発症します。最近は溶連菌感染症をきちんと診断し治療されるため昔ほど多くありません。通常、溶連菌感染後1~2週後に症状が出ますが、これらの感染がはっきりしない事もあります。
溶連菌感染症は主にノドの痛み、発熱、頸部のリンパ腺のはれ、かゆみのあるぷつぷつとした紅斑(こうはん)の症状を伴う、A群溶血性連鎖球菌咽頭炎のパターンがほとんどです。ただし伝染性膿(のう)か疹(しん)(とびひ)の原因として溶連菌感染後でも、この腎炎を発症する事があります。
初めはだるい、食欲がない、頭が痛い、吐き気がある、心臓がドキドキするといった、あいまいな症状で医療機関を受診することがあります。診察時には顔がはれぼったく、特にまぶたにむくみがある事が多いようです。尿を検査すると、たん白尿と血尿がみられます。この病気での注意点は、初期に血圧が急激に高くなり、頭が痛い、意識がおかしい、けいれんを伴うといった高血圧性脳症の状態です。診断がついたり疑われた時は、入院して経過を観察します。急性期の危険な時期は1~2週間でなくなり、尿の状態も徐々に回復に向かいます。血尿は1年以上続きますが、急性期を脱すれば外来で経過を見ていきます。急性期を過ぎれば一般的には予後良好となります。
ネフローゼ症候群
腎臓の糸球体からたん白がもれ出て、血液中のたん白が減少した状態をネフローゼ症候群と言います。血液検査では低たん白血症、高コレステロール血症があり、尿検査でたん白尿が強陽性です。血尿はないか、あっても軽度です。診断がつけば入院して経過を見ます。治療は、ステロイド剤の内服です。飲むステロイド剤は副作用の出現を厳重に見る必要があります。ネフローゼ症候群は、ステロイド剤で改善するため予後が一般的には良好ですが、再発の可能性が20%あります。ステロイド剤で好転しないときは、予後が悪いこともあり、いろいろと検査をしながら経過を見ていきます。
そのほかの病気
他の腎臓疾患でもむくみを伴うことが稀にあります。むくんでいるときは必ず尿検査を行い、異常の有無を確認する必要があります。子どもではめったにありませんが、腎臓以外では心臓疾患でもむくみが出ます。
日常的にときどき認められるむくみには血管性浮腫(クィンケ浮腫)があります。じんましんの一種で顔がはれぼったくなり、じんましんと同じように治療します。
むくみはどこでチェックする?
むくみのチェックはやはり顔で、特に瞼のはれに注意します。一般的には腎臓疾患によるむくみは顔に表れます。心臓疾患によるむくみは下腿の頸骨前面の皮膚を5秒間押して、そのへこみの有無で判断します。心臓疾患のむくみは、子どもではあらかじめ心臓疾患がわかっているので、特にむくみが表われるまで放置されることはありません。腎臓疾患のむくみの場合は、おしっこの量や色をチェックし、むくみ状態が2、3日続くようであれば病院を受診するようにしましょう。