保護者とのコミュニケーション
ふだんから会話の機会を
集団生活で事故が発生した場合、その管理体制やその後の対応によっては、保護者との信頼関係が損なわれるおそれがあります。そもそも事故が起きないための、最大限の配慮が必要なのは言うまでもありませんが、起こってしまった後に適切な処置や対応ができるかどうかによって、学校や園の誠意が問われることになるのです。
保護者とのトラブルを回避するための方策としては、やはり常日頃からのコミュニケーションしかありません。家庭での子どもの様子、集団生活での様子についてお互いにやりとりすることで、ちょっとした変化にも気づくことができますし、病気やけがのときの連携がとりやすくなるなど、様々なメリットが生まれるのです。
保護者に確認すること
入学・入園時には様々な情報交換をしますが、病気や事故を防ぐための、特に大切な情報は、生まれたときや赤ちゃんのときに経験したトラブルに関する情報です。出生時の体重はどれくらいだったか、先天的な内臓疾患はなかったか、股関節脱臼などはなかったかなど、知っておくことで安心につながるポイントがいくつもあるのです。集団生活での健康管理に必要なことはプライバシーを侵害しない程度に確認しておきましょう。
また、ふだんから保護者が話しやすい雰囲気を作っておくことは、家庭での状況を推し量ることにもつながります。子どもの状態とあわせ見ることで、虐待などの問題についても未然に防ぐことに効果があります。
例えばSIDSなどについて
例えばSIDSなどについて
おとなが気づかないうちに、赤ちゃんがベッドや布団の上で亡くなっていたという事故がありました。昔は窒息が原因だということで、親や周囲のおとなの監督責任が問われていました。子どもに目を配ることは大切なことですが、実際にはあおむけの状態で寝ている赤ちゃんが窒息することは、あまり考えられません。その後様々な研究がすすんだ結果、乳幼児突然死症候群(SIDS)によって亡くなったケースもあるのではないかということが分かってきました。
SIDSの原因について全容が解明されたわけではありませんが、「うつぶせ寝」がひとつの要因として挙げられています。ひと昔前、赤ちゃんをうつぶせにして寝かせると、頭の形や顔立ちがよくなったり、運動機能によい影響があるといって大流行したことがあります。しかししばらくして、うつぶせ寝が赤ちゃんの呼吸などにトラブルを引き起こす可能性が疑われるようになったのです。うつぶせ寝でも元気に育っている子はたくさんいることもあり、もともとトラブルを引き起こす要因を持っていた子が柔らかい布団でうつぶせに寝たり、顔の近くにあったぬいぐるみや枕などで、結果的に呼吸がうまくできず亡くなったのでは、という意見もあります。
中には低出生体重で生まれ、必要があってうつぶせに寝かされていた子もいます。
こういった事情を知らないと、赤ちゃんの寝かせかたや過ごさせかたをくふうすることはできないのです。
情報交換をしっかりと
SIDSに限らず、さまざまな育児情報を保護者会やおたよりなどで発信・交換することはとても大事なことです。子どもたちとの関係と同様に、保護者との信頼関係を深めていくことが重要なのです。