緊急時に備えた救急道具等をご説明します
薬はたくさん用意しない
救急箱の中身をチェックしてみましょう。どんなものが入っていますか?消毒薬に傷に塗る抗生物質入り軟膏、ステロイドのクリーム、虫刺され用のかゆみ止め、おむつかぶれ防止のクリームなど、たくさん入っているのではないでしょうか?
でも、そういったものが必須かというと、そんなことはありません。
薬というのは、個々の人間の体質や症状に合わせて使うものです。ですから、より慎重に用意しなければなりません。
救急箱には以下のようなものを用意しておくとよいでしょう。
包帯 / 滅菌ガーゼ /脱脂綿 /ピンセット /毛抜き /体温計
消毒液も、オキシドールやエタノール、うがい薬という基本的なものを入れておけばよいでしょう。
傷治療の新しい考えかた
そんなことをいっても、切り傷やすり傷には消毒薬や傷薬を使わなくてはいけないだろう、という人もいると思います。けれども実は、切り傷や擦り傷には消毒液も薬もいらない、しかも傷口を乾かさないほうがいい、というのが傷治療の新しい考えかたなのです。
傷口が治るメカニズムに照らし合わせれば、その理由が分かります。
傷を治すのは、自分の体液の中に含まれている「細胞成長因子」というものです。これが傷を覆うためには、傷口は湿っていたほうがいいし、消毒液を使うと、この因子そのものがダメになってしまうのです。
傷をきれいにするためには、ひたすら流水で洗うことが大事です。
傷口にガーゼを当てたりするのは止血のときくらいにします。せっかく傷を治すために染み出してきた体液が、全部ガーゼに吸い取られてしまうからです。ガーゼが皮膚にくっつくと、あとで傷跡がきれいに治りません。
止血できればそのあとは傷が乾かないようなタイプのばんそうこうや、ラップ材で覆うほうがよいということになります。
動物にかまれたときや化膿しかけているときは、洗った後に消毒し、そのままにしないで外科で治療してもらいましょう。