骨折
子どもの骨折はおとなと違う
骨折というと、骨が「ポキン」と折れる印象があります。確かに激しい衝撃が加わればだれでも「ポキン」と折れてしまいますが、子どもの骨折というのは、大人と少し違う性質があるのです。
それは、子どもの骨は成長過程にあり、まだ軟らかいということ。「折れる」という感覚ではなく、不完全な損傷になることがあるのです。中でも多いのが、骨膜という膜の内側で筋状にひびが入る「線状骨折」。折れたという感じではないので、見逃してしまうこともあるのです。
ですから、高所から落ちたり、何かに激しくぶつかったりしたときには、ねんざとともに、こうした骨折のことも念頭に入れたほうがよいでしょう。
子どもに多い骨折の部位
転んだりして手をつくことが多いので、上腕の骨折が多いようです。
骨折のときの症状
小さい子どもは、自分の状態を上手に伝えることができません。ですから、おとながようすを見て判断してあげるしかないのです。
<骨折を疑ったほうがよいのは>
?痛がって激しく泣く
?皮膚の一部がひどくはれる
?皮膚の一部に内出血が見られる
?腕や足に力が入らない
?腕や足の向きがおかしい
このような場合です。
赤ちゃんの場合は、抱き上げたり寝かしつけたりしたときに、不自然な姿勢になったり、ある方向を向けるときだけ泣いたり、体の一部を動かそうとしない、というようなとき、骨折しているおそれがあります。
分からないときも必ず受診を
骨折か、ねんざかという判断は、一般の人にはなかなかできないものです。少しでも疑わしいときには必ず受診しましょう。
子どもの骨は成長し続けています。特に、骨の先端には「骨端線」という軟骨があり、この部分が成長の元になっているのです。とても大事な部分ですが、軟骨なので、軟らかいのが難点。少しの衝撃でも傷つきやすいのです。
成長にかかわる部分が損傷すると、変形したり、運動機能が損なわれることがあるので、放置しないように注意してください。
骨折しているときの応急処置
骨折か、ねんざか分からないけれど、そうかもしれないというときには、そこをいじったり動かそうとはしないでください。その部分を副木(そえぎ)で固定し、
心臓より上に上げた状態で冷やします。できるだけ安静を保って医療機関に向かいましょう。
また、大きく骨折して、皮膚が損傷し、骨が見えているようなときには、そこにばい菌がついて感染を起こしてしまいます。できるだけ急いで病院に行き、適切な処置をしてもらいましょう。救急車を呼んで手当と搬送をしてもらってもかまいません。
副木を当てるときの注意
まっすぐに固定できる物ならなんでもかまいません。ポイントは、骨折した部位の上下の関節も含めて固定すること。こうしないと、すぐに患部が動いてしまい、固定している意味がないのです。患部より大きめ(長め)の物を副木にしましょう。