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令和6年(2024年)2月5日(月) / 日医ニュース

第12回「日本医師会 赤ひげ大賞」大賞並びに功労賞の受賞者が決定

 第12回「日本医師会 赤ひげ大賞」(主催:日本医師会、産経新聞社、協力:都道府県医師会、特別協賛:太陽生命保険)の受賞者として、「赤ひげ大賞」5名、「赤ひげ功労賞」14名が決定し、黒瀨巌常任理事が1月10日に行われた定例記者会見で発表した。

 「日本医師会 赤ひげ大賞」(以下、「赤ひげ大賞」)は、地域の医療現場で健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当て、その活躍を顕彰することで、各地の医療環境整備、医療活動の充実に寄与することを目的として、平成24年に日本医師会と産経新聞社が創設したものである。
 「赤ひげ大賞」の名称は、山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚(しんりょうたん)」に由来して命名したもので、その主人公は、江戸時代中期に貧民救済施設である小石川養生所で活躍した小川笙船(しょうせん)をモデルとしている。
 賞の創設以来、毎回、5名の医師を「赤ひげ大賞」に決定、第8回からは「赤ひげ功労賞」も創設し、その功績を称えている。
 12回目となる今回は、選考会を昨年11月9日に日本医師会小講堂で開催。前回に引き続き、医学生(本年度は岐阜大学、佐賀大学に地域枠で入学した学生グループ)にも選考委員として参加してもらい、「将来このような医師になりたい」という視点から、選考を行ってもらった。
 その結果、都道府県医師会から推薦された候補者から19名を「赤ひげ功労賞」に選定し、その中から5名を「赤ひげ大賞」に選定した(大賞受賞者の功績、功労賞受賞者の氏名は下掲参照)。
 会見で受賞者を公表した選考委員でもある黒瀨常任理事は、「長年にわたり、困難な状況の下で住民の健康確保や保健・福祉の向上に親身に取り組んでこられた、素晴らしい功績の方ばかりで、選考は困難を極めた」と今回の選考を振り返った上で、「多くのマスコミに受賞者の功績を取り上げてもらえることは、受賞者の励みにもなる」と強調。また、「受賞者の功績を知ることで、一人でも多くの方々に、受賞者のようなかかりつけ医をもちたいと思ってもらえればありがたい」と述べた。
 なお、表彰式・レセプションは、3月に都内のホテルで開催する予定となっており、その模様は後日、本紙でも詳報する。

「赤ひげ大賞」受賞者(5名)

順列は北から
受賞者の年齢は2024年1月10日現在

清水 三郎(しみず さぶろう)医師

84歳 千葉県 清水三郎医院 院長

230205a1.jpg昭和56年の開業以来、千葉県内の医師数が最も少ない医療圏で医療に従事。地域の課題であった二次救急医療体制の空白日解消に取り組み、破綻(はたん)の危機に瀕(ひん)していた夜間救急医療体制の拡充に尽力してきた。平成21年からは、小学校入学前の小児の保護者を対象にした「子どもの救急講習会」を開始。夜間に子どもの具合が悪くなった時の対処方法や適正受診の必要性などについての理解を広げ、夜間救急診療所で働く医療従事者の負担軽減にもつながっている。

安福 嘉則(やすふく よしのり)医師

76歳 岐阜県 関市国民健康保険洞戸診療所 医師

230205a1.jpg医師の定着しなかった山間地域の国保診療所に腰を据えるべく居を構え、以来41年間にわたり地域医療に心血を注いできた。隣接市町村への往診、訪問看護体制の整備や在宅医療、リハビリテーションの強化、学校保健にも取り組む。患者と医師・医療スタッフなどによるカラオケ大会の他、地域の伝統食文化を掘り起こした生活習慣病に対する食生活改善も展開。平成19年に自身が患った胃腫瘍も乗り越え、なお一層、地域住民とのふれあいを大切にしている。

亀井 克典(かめい かつのり)医師

66歳 愛知県 かわな病院在宅ケアセンター センター長

230205a1.jpg医師不足地域の公的病院での勤務を経て出身地の名古屋に戻り、在宅医療を中心に地域医療・介護連携による都市型地域医療の構築に尽力。多職種ICT連携ツールを普及させ、かかりつけ医相互支援による在宅看取りサポートシステムを実現させた。平成31年には総合的な在宅ケア提供の拠点として在宅ケアセンターを設立。現在、訪問診療の患者数は800名、在宅看取りは年間250名を超える。在宅ホスピスにも取り組み、地域全体の緩和ケアの質の向上にも貢献している。

武田 以知郎(たけだ いちろう)医師

64歳 奈良県 明日香村国民健康保険診療所 管理者

230205a1.jpg自治医科大学を卒業後、へき地など一貫して奈良県内の地域医療に従事。初期研修医や総合診療専門医の地域研修など、後進の育成にも積極的に携わる。平成22年に同県明日香村に着任してからは村民のかかりつけ医として尽力、「イチロー先生」と呼ばれるなど、村民の信頼も厚い。在宅医療、多職種連携、医学教育、ACPなど地域医療をめぐる課題解決にも取り組み、令和5年には、同村の人々の暮らしを守る姿がドキュメンタリー映画にもなった。

北野 明子(きたの あきこ)医師

72歳 福岡県 きたの小児科医院 院長

230205a1.jpg九州大学を卒業し、小児科講座に入局後、福岡市立こども病院・感染症センターで研鑽(さん)、南アフリカ共和国への留学を経て、昭和61年に開業し、一貫して小児医療に従事してきた。自身も3人の幼い子どもを育てながら、保育園児の生活習慣病予防健診や予防接種の啓発活動にも取り組み、平成12年には地域で初めてとなる病児保育室を開設。令和3年には病児保育室併設の企業主導型保育所「ピッコロ保育園」を設立するなど、多職種連携による子育て支援を実践している。

「赤ひげ功労賞」受賞者(14名)

順列は北から・敬称略

横倉 稔明(よこくら としあき)(茨城県)
水上 潤哉(みずかみ じゅんや)(神奈川県)
河合 邦夫(かわい くにお)(福井県)
原(はら) まどか(山梨県)
疋田 順之(ひきた のぶゆき)(静岡県)
前沢 義秀(まえざわ よしひで)(三重県)
片山 久史(かたやま ひさし)(京都府)
松尾 晃次(まつお こうじ)(和歌山県)
森本 益雄(もりもと ますお)(鳥取県)
松下  明(まつした あきら)(岡山県)
梶原 四郎(かじはら しろう)(広島県)
洲﨑日出一(すさき ひでいち)(徳島県)
西  征二(にし せいじ)(鹿児島県)
松嶋 顕介(まつしま けんすけ)(沖縄県)

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