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令和5年(2023年)10月5日(木) / 日医ニュース

本年10月以降の新型コロナウイルス感染症に関する診療報酬の特例措置の見直し案を了承

9月13日の中医協総会9月13日の中医協総会

9月13日の中医協総会9月13日の中医協総会

 中医協総会が9月15日、持ち回り開催され、厚生労働省事務局から9月13日の同総会での議論を踏まえて提案のあった、本年10月以降の新型コロナウイルス感染症に関する診療報酬の特例措置の見直し案を了承した(具体的な点数の変更は別表参照)。
 外来に関しては、必要な感染対策を講じた上で行う、疑い患者への診療について引き続き評価する一方で、業務が効率化している観点から、その評価については見直しが行われている。
 在宅医療に関しては、往診時に必要な感染対策や、介護保険施設等に対する緊急往診等について、感染対策等の効率化等を踏まえてその評価の見直しが行われている。
 また、入院については、効率化等を踏まえ感染対策について評価の見直しを行うとともに、必要時における個室管理・陰圧室管理に関しては、引き続き評価されている。
 見直しを了承するに当たって、診療側の日本医師会役員(長島公之常任理事、茂松茂人副会長、江澤和彦常任理事)3名は連名で意見を表明した。
 その中で長島常任理事らは、「新型コロナウイルス感染症が類型変更された以降においても、地域の医療現場では、医療の質と患者の安全を担保するために、受け入れ態勢を始め、最大限の努力を継続し、尽力してきた」と述べた上で、そうした現場の継続的な取り組みの中で、対応が改善・効率化された部分はあるものの、PPEの交換、時間的・空間的分離による効率性の低下など、今後も続く部分も少なくなく、発熱外来の対応に必要なスタッフなどの雇用継続など、一定のコストも掛かり続けることを改めて説明。更に、急性期病床を支援するためには、回復患者の受け入れ促進も含め、これからも地域全体が面となって対応していく必要性があるとした。
 その上で、「現在、コロナの患者数が依然として多い状態であるのに加え、この冬には、更なる増加も想定されることから、急激な見直しによって、これまでコロナに尽力してきた医療機関の対応力が損なわれるようなことは決してあってはならない」と強調。今後の感染状況や地域医療の現状を見定めつつ、国民の命と健康を守るために必要十分かつ適切な対応を求めた。
 診療報酬の特例は、これまで令和5年5月にも5類移行に伴う見直しが行われているが、厚労省では特例の形で見直しを行うのは今回が最後としていることから、今回の特例の見直しは来年5月まで継続され、それ以降は、来年6月に施行される次期診療報酬の改定の際に、恒常的な感染症対策として見直されることになっている。

別表 新型コロナの診療報酬上の特例の見直し
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医療機関経営が回復していると考えるのは時期尚早―長島常任理事

 9月13日の中医協総会では、今回の特例見直しの議論の他に、当日示された「令和4年度の医療費の動向~概算医療費の集計結果~」についても議論が行われた。
 同集計結果について、厚労省事務局からは、(1)令和4年度の概算医療費は46・0兆円、対前年同期比で4・0%の増加、対令和元年度比では5・5%の増加になっている(ただし、対令和元年度比の5・5%の増加は3年分の伸び率であり、1年当たりに換算すると1・8%の増加となる)、(2)令和4年度の受診延べ日数は、対前年同期比で2・0%の増加、1日当たり医療費は2・0%の増加、(3)令和4年度の診療種類別では、いずれの診療種類別においても対前年同期比、対令和元年度比でプラスになっている―などの説明を受けた。
 これに対して、長島常任理事はまず、今回の結果の受け止めとして、「対前年同期比で見れば、概算医療費や受診延べ日数も回復しているように見えるが、この数字をもって医療機関の経営が回復していると判断するのは早計であり、正しい解釈ではない」と指摘。令和2、3年度のコロナ禍によって医療機関経営の基礎体力は大きく弱体化し、そのダメージは現在も残ったままであると強調した。
 また、令和4年度の医療費は、コロナ禍での受診控えの反動やオミクロン株の流行による患者数の急拡大、保険適用された不妊治療の影響等、これまでにない医療費の要因があり、伸びてはいるものの、令和元年度から令和4年度までの伸び率を1年当たりに換算してみると、おおむね過去の平均と変わりはないことを説明。「コロナ流行前の対令和元年度比では、現在も患者数はコロナ流行前の状態には戻っておらず、医療機関の今後の経営に暗い影を落としている」とした他、「令和4年度の医療費の増大は、見方を変えれば、医療界が一致団結してコロナに向き合い、対応した結果でもあると言える」と主張した。
 その上で、長島常任理事は、医療機関の収入が増えても、その分、感染対策経費の増加、診療時間や受診患者数の制限、追加的人員の確保など、患者数の拡大に対応できる態勢を築くために投じたコストも上昇しており、その経営は好調には転じてはいないと指摘。併せて、医療機関は光熱費、食材費等の物価高騰によって更にコストが上昇しているにもかかわらず、他業界と同様のベースアップができない状況にあるとして、理解を求めた。

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