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令和5年(2023年)7月5日(水) / 日医ニュース

国民の信頼に応えていく医療の未来ビジョンを探ることを目的として初開催

国民の信頼に応えていく医療の未来ビジョンを探ることを目的として初開催

国民の信頼に応えていく医療の未来ビジョンを探ることを目的として初開催

 「未来ビジョン"若手医師の挑戦"」をテーマとしたシンポジウムが6月11日、日本医師会館大講堂で開催された。
 本シンポジウムは、全国各地で活躍する若手医師の取り組みを取り上げ、その思いを共有する中で、国民の信頼に応えていく医療の未来ビジョンを探ることを目的として初めて行われたものであり、若手勤務医や研修医を始めとした多くの方々が視聴できるよう公式YouTubeチャンネルにてライブ配信も行った。

 当日は、今村英仁常任理事の司会で開会。
 冒頭あいさつした松本吉郎会長は、「昨年6月の会長就任時から若手医師の声を発信できる本シンポジウムのような会の開催を切望していた」とし、開催を実現化した関係者に感謝の意を表明。その上で、「今後ますます高度化・複雑化していく医療現場において、安心・安全で質の高い医療を提供し続けていくためには、柔軟な発想や新たな視点からの提言が重要である」と述べ、次世代の医療を担う若手医師に焦点を当てた本シンポジウムがその目的を果たし、更に発展して医療の未来ビジョンを描くことにつながっていくよう期待を込めた。
 続いて、松井道宣京都府医師会長が座長を務め、四つの講演と指定発言の後、フロアを交えた意見交換が行われた。

(1)研修医に向けた実りある臨床研修制度の実践

「若手医師は医師会を必要としているか?~臨床研修屋根瓦塾KYOTOの取り組み~」

堀田祐馬(京都府医師会理事)

 堀田理事は不安な研修医時代における医師会との出会いをきっかけに、京都府北部臨床研修ネットワークを設立したことや、臨床研修屋根瓦塾KYOTOを立ち上げ、全国から研修医が受講するまでに発展してきた経緯などを報告。
 現在は、京都府医師会の中に若手医師ワーキンググループを立ち上げ、出身・所属にこだわらない多様な仲間と交流できる「新臨床研修医総合オリエンテーション」などの臨床研修制度を実践していること、府医師会の情報サイトを活用したレクチャー動画の作成等の新たな取り組みも行っていることなどを紹介した。
 また、「若手医師は医師会に必要なのか?」という問題については、医師会自身が自ら生まれ変わるエネルギーと覚悟が必要であるとの考えを示すとともに、「入会してもらうためには、入会させるという視点ではなく、いかに仲間になってもらうかという視点が重要になる」と指摘した。

(2)若手女性医師の活躍を支える取り組み

「医療人キャリアセンターMUSCATの取り組み」

片岡仁美(岡山大学病院MUSCATプロジェクト顧問)

 片岡顧問は岡山大学病院の「医療人キャリアセンターMUSCAT」の取り組みについて、文部科学省医療人GP採択「女性を生かすキャリア支援計画」により発足した、教育を通じて女性医師・看護師の離職防止や復職支援を行うプロジェクトをきっかけに女性医師のキャリア支援を開始したこと、その後、地域医療再生計画の委託事業、その後継事業である「MUSCATプロジェクト」に取り組んでいることを説明。早い段階から岡山県と岡山県医師会との連携の下、①働く②キャリア③次世代④地域―を支えることの四つを活動の柱として実施し、制度の確立に至った経緯の他、妊娠・育児に限らず、介護にも利用できる運用方法を採用するとともに、医師の短時間勤務制度(キャリア支援制度)を導入したことで成果を得ていること等についても紹介した。
 その上で、今後については、「男女問わずさまざまなバックグラウンドを受け入れる職場をつくることが、多様な患者に、より良く寄り添える医療現場をつくることにもつながるとの思いで、取り組みを続けていきたい」とした。

(3)医師会と協力して取り組む在宅医療

「医師会×KISA2隊」

守上佳樹(双樹会よしき往診クリニック院長/KISA2隊 OYAKATA)

 守上院長は、コロナ禍において、京都市内で80代の女性の入院先が見つからず、自宅で死亡したニュースを知り、京都府入院コントロールセンターと連携し、京都市全域、約150万人を対象にコロナ専門往診を開始したことを説明。そこに情報を集約し、地域基幹病院や入院コントロールチーム、保健所(行政)、医師会に加え、賛同した仲間達も集結し、活動したことを紹介した。
 その後、地域をもっともよく知るメンバーで地域医療ケアシステムを構築すべきであるとの考えの下、活動エリアを広げた結果、「KISA2隊DNA」が、全国17カ所の地域に広がり、そのメンバーの99%が医師会員であるとした。
 その上で、守上院長は、「全ての取り組みの始まりはチームづくりにあり、その際には信頼できるチームづくりを行うことが重要になる」と述べ、多職種連携、組織を超えた連携の必要性を強く訴えた。

(4)医師会で活躍する若手医師の取り組み

「多職種で挑戦し続けたコロナ禍の地域医療」

北和也(生駒地区医師会理事/やわらぎクリニック院長)

 北理事は、患者本人の価値観に合わせた医療を展開していることや、在宅医療でしか見えないこと、できないことがあるため、病院医師や研修医に在宅医療を知って欲しいとの思いで教育にも力を注いでいることなどを報告。また、活動に当たっては、限りある時間の中で"やさしい・ていねい・あったかい"医療をどう実践できるかを常に考えているとし、それを実現するための解決策の一つとして、職種・固定観念にとらわれずに個々の能力が最大限に発揮できるタスクシェア・タスクシフトがあるとした。
 その具体例として、看護師による事前問診や看護師・僧侶による心理・社会的アセスメントの支援などの取り組みを紹介し、「医学・薬学的問題のみならず、心理・社会面への影響を考えるのであれば、多職種で行うことが重要になる」と述べた。
 また、これから解決すべき課題として、各地域において、プライマリケア医を始め、医療関係職種や介護職を育成することを挙げるとともに、自身でも学び直しが必要と考え、現在、島根大学大学院で学んでいるとした。

(5)指定発言

小柳亮(日本医師会未来医師会ビジョン委員会委員長/新潟県医師会理事/小柳真柄医院理事長)

 小柳委員長は自身のクリニックでは、①自動化②機動化③教育・訓練④ペーパレス化⑤地域社会構築―の五つを行動目標に掲げていることを紹介し、地域医療を担っていく上で医師会活動が重要であるとの考えを示した。
 また、新潟県医師会での活動として、県医師会主導の下、年間8000台以上の救急車を受け入れられる新たな救急拠点の運営主体を選定したことや、県医師会に在宅医療推進センターを設け、そのセンター長を務めていることなどを報告。
 その他、日本医師会では、未来医師会ビジョン委員会委員長として、会長諮問「若手医師の期待に応え続けていく医師会のあり方」に対する中間答申を取りまとめていることを説明した。
 その後の意見交換では、活発なディスカッションが行われ、最後に、松井座長より、「若手医師が活躍するためには、それを受け止める医師会の存在が非常に重要である」との考えが示され、シンンポジウムは終了となった。

お知らせ
 シンポジウム「未来ビジョン"若手医師の挑戦"」を収録した動画は、日本医師会公式YouTubeチャンネルに掲載しています。ぜひ、ご覧下さい。
https://www.youtube.com/channel/UCrZ632iTbtYlZ5S2CtGh6rA

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