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令和3年(2021年)6月5日(土) / 日医ニュース

新型コロナワクチン接種事業への更なる協力を要請

新型コロナワクチン接種事業への更なる協力を要請

新型コロナワクチン接種事業への更なる協力を要請

 令和3年度第1回都道府県医師会長会議が5月18日、WEB会議により開催され、「新型コロナウイルス感染症に対する今後の医療提供体制」「①医師資格証の普及と利活用②日本医師会の組織強化」をテーマとして、活発な討議が行われた。

 会議は松本吉郎常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした中川俊男会長は今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況次第では、全国的な「緊急事態宣言」の発令も検討すべき状況になっているとして、現状を危惧。ワクチン接種に関しては、「希望する全ての国民が安心して速やかに接種を受けることができるよう、改めて協力をお願いしたい」と述べた。
 加えて、中川会長は新型コロナウイルスが全国的に爆発的に拡大するといった緊急事態においては、一層の組織強化が求められるとして、その有力なツールに「医師資格証」の取得を挙げ、取得率向上に向けた協力を求めた。

Cグループ 「新型コロナウイルス感染症に対する今後の医療提供体制」

 Cグループでは金井忠男埼玉県医師会長が議長、松山正春岡山県医師会長が副議長をそれぞれ務め、「新型コロナウイルス感染症に対する今後の医療提供体制について」をテーマとした議論が行われた。
 岐阜県医師会は直近の感染状況について、病床使用率、重症者数等も急増していることを報告。今後の医療提供体制に危機感を示し、緊急事態宣言の対象地域としてもらえるよう、日本医師会からのバックアップを求めた。
 茨城県医師会は在宅療養者を減らすため、ICUの活用や遠隔による経過観察を推進する必要性を指摘するとともに、新型コロナ等にも対応できる地域医療構想の実現と地域包括ケアの構築を目指すことを提案した。
 京都府医師会は陽性者外来において客観的に病状を評価し、入院医療コントロールセンターで、入院、宿泊療養、自宅療養に振り分け、保健所と医師会で健康観察を行っていることを報告。「病床機能の明確化と役割分担とともに、感染者の減少を目指すことが重要である」と述べた。
 神奈川県医師会は「神奈川モデル認定医療機関」を指定し、病床利用状況把握システムで医療機関情報を可視化していることを紹介。また、酸素飽和度が低下した自宅療養者への一時的な酸素吸入処置を行う施設として「かながわ緊急酸素投与センター」を開設し、DMATとJMATが支援していることを説明した。
 鳥取県医師会は災害や新興感染症等に対応するため、近畿を含めた広域な医療連携体制の構築を検討していることを紹介。今後の課題として、患者を受け入れるに当たっての移送方法や家族の同意などを挙げた。
 岡山県医師会は、集団接種は、会場設営、運営事業を県医師会が委託を受けて行い、人員についても郡市医師会が協力していることなどを報告した。
 その後の全体討議では、7月末までに高齢者へのワクチン接種を完了するとの政府の方針に関して、岐阜、熊本、長野、福井、沖縄の各県医師会から、一般接種を年内に終わらせるためにも、7月末までに終了することを目指している等の発言がなされた。
 また、歯科医師を活用することに関しては、医師、看護師を接種者とすべき(京都府医師会)、歯科医師の活用は最終手段(福井県医師会)との意見が出された。
 その他、「基礎疾患を有する人への接種は全ての高齢者の接種を終えてからにすべき」(岡山県医師会)といった意見や、高齢者へのワクチン接種をかかりつけ医が行うことの重要性(神奈川県医師会)、ワクチンの供給不足の早期の解消(福岡県医師会)、変異株の影響を踏まえた入退院基準の策定(大阪府医師会)などについて指摘があった。
 ワクチン接種に関して中川会長は、「全国の医師会は使命感に燃え、ワクチン接種を完了させるよう全力で取り組み、できる限りの努力をする。それが医師会の役割と考えている」と菅義偉内閣総理大臣に伝えたことを報告。
 また、医師会の協力がないために接種事業が進まないとの一部報道があることに関しては、ワクチンの供給さえあれば、7月末までの高齢者へのワクチン接種完了は可能との見解を示した。
 最後にコメントした釜萢敏常任理事は、変異株の扱いを従来株と同等の扱いとする退院基準の方針変更や、自宅療養、療養施設における健康管理への理解と協力を要請。また、ワクチン接種への歯科医師の活用については、あくまで通常の接種体制が整わない場合に協力を求めることになっているとした。
 更に、自治体調査で「医師会の協力が得られない」と回答している市町村があることについては、事情の把握と支援を求めた。

Dグループ 「①医師資格証の普及と利活用②日本医師会の組織強化」

 Dグループでは森崎正幸長崎県医師会長が議長、入江康文千葉県医師会長が副議長をそれぞれ務め、①医師資格証の普及と利活用②日本医師会の組織強化―をテーマとした議論が行われた。
 医師資格証については、早くから医療情報の電子化、共有化に取り組んできた香川県医師会が、県の事業として、本年度より運用を開始した新たな地域医療ネットワーク(K―MIX R)や、県下全医師が無料で使うことができるレセプト参照システム(K―MIX R BASIC)の概要を紹介。HPKIカードの取得率も伸びてきているとした。
 徳島県医師会は、新型コロナ対応における県行政及び各郡市医師会との情報共有のため、情報の安全な送受信を可能とするシステムである「MEDPost(文書交換サービス)」について説明。有効性について日本医師会から国へのアピールを要請した。
 山梨県医師会は、デジタル化が進む医療情報について、HPKIを使用するオンラインシステム構築の必要性を強調し、その際には県行政等との協力も必要になるとの見方を示した。
 日本医師会の組織強化については、三重県医師会が、会費の無料期間が終了した研修医のほとんどが退会してしまうことを課題として挙げるとともに、A会員が減少していることに危機感を示した。
 沖縄県医師会は、コロナ禍以前には若手医師を対象とした各種イベントの成果が出始めていたことを報告。沖縄県医師会内にも組織強化担当理事を設置する方向性であることなども説明した。
 山梨県医師会は、日本医師会の電子認証センターによる医師の電子認証を、オンライン診療の本格実施の条件とすることを提案した。
 女性医師の登用については、東京都医師会が、女性の視点の重要性を強調した上で、普段から各種委員会やイベント等における女性医師の活躍を注視しておく必要があるとした他、千葉県医師会が、能力があれば性別にこだわる必要はないとするとともに、会員の男女比率に沿った形になれば良いとの見方を示した。
 ブランド力の向上に向けた議論では、身近な医療に携わっていることのアピールが足りないことや基幹病院等のサポートを行っていることをもっと説明すべきとの意見が出された。
 引き続き行われた全体討議では、愛知県医師会が、国の規制改革会議等においてHPKIへの否定的な動きがあることを紹介し、HPKIカードを各種証明に用いる唯一の手段とするための日本医師会の方策について質問。
 長島公之常任理事は、新たにHPKIのようなシステムを立ち上げるには膨大なコストが発生することを関係者にしっかりと説明するとともに、全会員に無償で医師資格証を配布することで普及率を大幅に上げていきたいとして、理解を求めた。
 中川会長は、日本医師会館に設置予定の入館ゲートでの使用など、医師資格証の活用場面の拡大を進めていることを説明するとともに、「今後は医師資格証の普及をいかにスピード感を持って進めていくかが鍵になる」との見方を示した。
 福岡県医師会は、「住民とかかりつけ医」の信頼関係は強いものの、「住民と医師会」になると信頼関係が築けていない現状を危惧。中川会長は、「医師会の信頼を上げるためにも、新型コロナワクチン接種事業が重要になる」と強調した。
 この問題に関連して、福井県医師会は、医師会とマスコミの関係について、記者に対する丁寧な説明によって正確な報道につながった事例を紹介した。
 茨城県医師会は、勤務医の加入促進について、加入のメリットを説明する資料を定期的にアップデートし、提供することを日本医師会に求めた。
 兵庫県医師会からは、医師会組織強化委員会の委員長でもある空地顕一会長が、同委員会での議論を踏まえ、組織強化のためには地域の医師会にも組織強化の担当役員及び事務局を置き、各郡市区医師会レベルから加入促進を図っていくことが重要とした。
 総括を行った中川会長は、地域医療計画に新興・再興感染症の視点が欠落していたことを指摘してきた結果、今回の医療法改正では「5疾病6事業」に見直されることになったことを説明。病床を空けておくのではなく、即応病床に速やかに変えられる準備病床を確保しておくことが重要になるとした。
 また、新型コロナワクチン接種事業については「医師会が担うべき最大の仕事だ」と述べ、日本医師会がリーダーシップを取っていく決意を改めて示した。
 更に、今後のワクチン接種における役割分担、スムーズな連携のあり方等について議論するため、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の四者により、「新型コロナワクチン接種合同会議」を立ち上げたことを紹介するとともに、新型コロナワクチン接種に協力する意思をもつ大学病院や基幹病院の若手勤務医が接種に携われるように、各都道府県医師会に窓口の設置を要請した。

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