閉じる

令和2年(2020年)11月20日(金) / 南から北から / 日医ニュース

コロナのせいで中国語

 どうも語学は苦手である。大学で習ったはずのドイツ語は、全く記憶に残っていない。英語は何年も学校で習い、英会話教室にも通ったけれど、いまだにカタコトである。フランス語は知り合いのフランス人の先生に、毎週わざわざ家まで来てもらったが、それでも挫折。中国語はそれこそ何回も挑戦したが、先生の出身地によって発音が違って嫌になったこともあり、結局投げ出してしまった。
 還暦を過ぎた頃に、残りの人生の限られた時間を考えて、何回挑戦しても身にならない語学に時間を使うのは無駄、語学には二度と手を出すまいと固く決意した。いや、決意したはずであった。
 それなのに、また語学に手を出してしまったのは、コロナのせいである。小さな狭い診療所での感染対策に頭を悩ませ、防護用品を手作りし、一日中コロナのニュースにさらされている中で、少しでもコロナ以外の事に頭を使いたくなったのである。テレビで有名なタレントやスポーツ選手が、「ステイホームの間に、新しいことを始めた」と話しているのも刺激となった。それでつい、ラジオ講座「まいにち中国語」のテキストを買って聞き始めたのである。
 1日15分、週5日の基礎講座、空いている時間にスマホで聞くだけ。ペラペラに話せるようになろうなどとは望まず、その日の講座内容をしっかり覚えようなどとも願わず、少しでも認知症予防、頭の体操になればという程度の目標である。
 それでも聞いていると、同じ漢字を使っているのに、日本語と中国語の微妙な違いに気付かされる。例えば中国語の「去」。帰るという意味かと思ったが、日本語の「行く」である。「放心」―放心状態かと思ったら、「安心」という意味。「打算」―何やら下心がありそうな印象を受けるが、単に「計画、心積もりがある」の意味。違いを知ると、それなりに興味も沸く。
 ともあれ、ラジオ講座を聞き始めて2カ月が経った。家族は、もうすぐ投げ出すだろうと思っているらしい。私としては、この医師会報に投稿することでモチベーションを上げて、何とか1年間聞き続けたいと「打算」している。

(一部省略)

滋賀県 滋賀県医師会報 第868号より

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる