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令和2年(2020年)11月5日(木) / 各地の医師会から / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の行政検査・集合契約に関する大阪府医師会の取り組み―大阪府医師会―

 大阪府医師会が大阪市と締結した新型コロナウイルス感染症の行政検査・集合契約のポイントなどを紹介する。
 今回、大阪市が初めに示した契約書は、受託医療機関に対して「患者の入院への責務」「自宅療養した際の家族を含めた健康管理」など、本来は保健所が負うべき責務が求められていた。また、受託医療機関には帰国者・接触者外来と同様の機能が課され、医療機関名も公表される内容であり、更に感染した場合の「補償」が欠落するなど、医療機関が契約しづらい構成であった。
 社会的使命から検査実施に協力の意向を表明した医療機関に対し、少なくとも「健康被害への補償」と「通常診療の継続維持」を支援するため、集合契約の交渉に臨んだ。交渉に当たっては、本会会長と大阪市長のトップ間で認識の共有を図った上で、実務担当者間で交渉する段取りで進め、紆余曲折を経ながら9月25日に契約締結に至った。
 契約のポイントとなる条項は別掲の契約書抜粋のとおりである。国が補償策を確保せず、地方自治体で独自対応しづらいという事情もあったが、本会弁護士の協力の下、医療従事者が感染した場合などに「協議し適切に対応する」旨の条項を盛り込むことにより補償を確保した。
 最後に、各地域の契約において「補償」への問題意識が高まり、更により良い条項が盛り込まれ、国レベルでも解決が図られることを期待する。医療従事者の現状が理解され、かかりつけ医が地域住民を守れる体制でこの難局を乗り越えられることを切に願っている。

 〈契約書抜粋〉

 第七条 診療に関わる医療従事者が、負傷、疾病等何らかの問題が生じた場合には、甲丙が協議し、適切に対応する。
 第八条 かかりつけ医としての医療機能を維持するために、医療機関名等は公開しない。
 第九条 行政検査体制の確保には、甲が協力する。なお、本契約はPCR検査、又は抗原検査等実施の際の患者一部負担金に関するものであり、受託医師には保健所等への結果報告以外の業務は発生しない。

(大阪府医師会理事 宮川松剛)

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