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令和元年(2019年)9月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

厚労省・中央医療対策協議会の取りまとめに対する見解を公表

 厚生労働省の「中央医療対策協議会」(以下、協議会)の議論の取りまとめが、8月1日付けで公表されたことを受けて、横倉義武会長は8月6日、山下英俊全国医学部長病院長会議会長、協議会の委員でもある釜萢敏常任理事と共に記者会見を行い、その方向性を評価する旨の見解を公表した。

 本協議会は、医師需給分科会の第2次中間取りまとめ(平成29年12月)や、「医療法及び医師法等の一部を改正する法律」(平成30年7月)の附帯決議において、「医師偏在対策に携わる都道府県職員が医療政策に精通し、医師養成を行う大学や地域の医療機関等と協力・連携しながら実情に即した対応を進めることができるよう、都道府県に対し適切な支援を行うこと」が指摘されたことを受けて、都道府県における医療政策人材の育成・確保について、国による支援のあり方や関係団体間の連携のあり方等について検討することを目的として、同年9月に設置されたものである。
 今回の取りまとめでは、都道府県に求められる医療政策人材として、(1)医療政策全般にわたる総合的な知識を取得し、医療政策の相互関係を理解でき、俯瞰的な視点に立つことのできる人材、(2)大学、医師会や医療機関等の地域の医療関係者と情報共有と意思疎通を図ることができる人材、(3)データも活用しながら医療政策を企画・立案できる人材―を明示。都道府県に対しては、人材の育成・配置は地方自治に属するとの前提に立ちつつも、(1)研修の受講ができるような人員確保や受講に必要な環境整備、医療機関等の人事交流などを行う、(2)まちづくり等の医療政策に関連する分野の知見を有する人材が医療担当部局で活かされるよう、人事上の配慮を行う―こと等を求めている。
 また、医療政策の実行に当たっては、都道府県等の行政機関や地域の医師会、大学等が連携していくことが重要であるとともに、地域医師会に対しては、都道府県等の行政機関と大学等を結びつける等、それぞれに対して能動的に働き掛け、地域をまとめていく役割が期待されるとしている。
 同常任理事は、「医師確保対策や地域医療構想の策定等、都道府県の医療政策には、行政、大学、医師会の三者の連携に基づいて具体的な施策が協議・立案され、実行に移していくことが求められる」とした上で、今後も全国医学部長病院長会議と共に、各都道府県における三者の連携を注視し、都道府県医師会が更なる役割を果たせるよう、全力を尽くしていくとした。
 山下全国医学部長病院長会議会長は、「多様化する医療政策の課題を解決するためには、求められる業務の質も複雑かつ高度な判断が必要になってきている」と述べるとともに、これからは都道府県行政が自身のプランを押し切るのではなく、大学、医師会などの医療関係者と連携して、地域住民が安心して暮らしていけるような施策を実行することが求められていると指摘。「同会議としても、人材育成から地域医療を守るという観点から、日医と一緒になって地域医療のために汗をかく所存だ」とした上で、その具体的な方策として、継続的な人材育成に向けた医療政策講座の設置などを挙げた。
 会見に同席し、本取りまとめに関する考えを求められた横倉会長は、「大学や医師会を始め、さまざまな医療関係者が協力することが必要だとの思いが込められている」とした上で、「地域医療を守っていくためには、行政だけでは解決できない問題があり、今後も、各地域の実情にあった医療提供体制を構築できるよう、医療界を挙げて協力していくことが必要だ」と述べ、都道府県医師会がその役割を果たすことに期待感を示した。

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