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令和元年(2019年)6月20日(木) / 日医ニュース

かかりつけ医機能の更なる充実・向上に向けて

かかりつけ医機能の更なる充実・向上に向けて

かかりつけ医機能の更なる充実・向上に向けて

 「日医かかりつけ医機能研修制度2019年度応用研修会」が5月26日、日医会館大講堂で開催された。
 日医では、今後の更なる少子高齢社会を見据え、地域住民から信頼される「かかりつけ医機能」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・向上するために、平成28年4月より3年を1期として、「日医かかりつけ医機能研修制度」を開始。今回が2期目のスタートとなる。
 当日は、日医会館で207名が受講。テレビ会議システムでの受講には、46都道府県医師会において約7000名の申し込みがあった。
 江澤和彦常任理事の総合司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(代読:今村聡副会長)は、応用研修会の受講者数は制度発足から3年間で延べ約3万名となり、本研修制度の修了要件を満たし、各都道府県医師会の修了証書または認定かかりつけ医として認定証を取得された約6000名の医師が全国で活躍していることを報告。今年度から第2期を迎えることに触れ、「かかりつけ医の社会的機能の更なる充実を図っていくため、これまでの応用研修の講義内容を刷新した」と述べるとともに、今後も制度の普及と更なる充実に努めていくとの姿勢を示した。
 続いて、江澤常任理事から第2期の応用研修講義項目を紹介した後、6題の講義が行われた。
 講義1「かかりつけ医の感染対策」では、大曲貴夫国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長が、「患者背景の理解」など、感染症診療に必要な五つのロジックについてそれぞれ解説した。
 講義2「医療保険と介護保険、地域包括ケアシステムの構築」では、鈴木邦彦志村大宮病院理事長/院長が、①地域包括ケアシステムの定義と深化②かかりつけ医と医師会の取り組み③医療保険と介護保険上の取り扱い―について説明した上で、「今後は社会的機能が重要になる」との認識を示した。
 講義3「かかりつけ医に必要な生活期リハビリテーションの実際」では、齊藤正身霞ヶ関南病院理事長が、国際生活機能分類の概念に基づく生活期リハビリテーションの役割等に触れ、生活機能の向上に向けたリハビリテーション医療への期待感を示した。
 講義4「終末期医療、褥瘡と排泄」では、羽鳥裕常任理事が、「終末期医療」としてACPなど本人の意思決定におけるかかりつけ医の役割等、川口光彦川口メディカルクリニック院長/理事長が、「褥瘡と排泄」として在宅でのケア・管理方法等―について、それぞれ説明した。
 講義5「多疾患合併症例」では、大橋博樹多摩ファミリークリニック院長と髙瀬義昌たかせクリニック理事長が、自身が対応したそれぞれの症例に基づき、多疾患合併患者を支えるための視点と診療ポイントを紹介。
 講義6「かかりつけ医の社会的処方」では、松田晋哉産業医科大学医学部公衆衛生学教授が、イギリスのGeneral Practitioner(GP)が行っている「社会的処方」(患者の社会生活に対する医学的な側面からの支援)の内容を説明した上で、その重要性と主治医意見書の意義について強調した。
 最後に閉会のあいさつを行った羽鳥常任理事は、長時間にわたる本研修会への参加に謝意を示すとともに、①児童虐待防止②妊産婦に対する医療提供③肝炎対策―に関する日医の啓発活動等を紹介した上で、「日医として、現場の先生方が地域においてかかりつけ医機能を存分に発揮し続けて頂けるよう必要な対応をしていきたい」と総括した。

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