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平成31年(2019年)3月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

平成31年度診療報酬改定の「答申」を受けて

2月13日 定例記者会見

 松本吉郎常任理事は、2月13日に都内で開催された中医協総会で、10月の消費税率引き上げに伴う平成31年度診療報酬改定に関する答申がまとまり、田辺国昭中医協会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)から根本匠厚生労働大臣(代理:大口善德厚労副大臣)に提出されたことを受け、今回の改定に対する日医の考えを説明した。
 同常任理事はまず、改定の概要として、(1)本体改定率はプラス0・41%であり、改定財源約4700億円のうち医科は約4000億円とされた、(2)薬価・材料価格改定については、適正な消費税の転嫁を行う観点から市場実勢価格を踏まえて行うものであり、通常改定とは異なる臨時的な改定という位置づけである、(3)医療機関の仕入れに係る消費税負担が増加することから、平成26年度改定と同様に、基本診療料に点数を上乗せすることを中心に対応する、(4)平成26年度改定の対応では補てん不足が判明したため、可能な限り実態を踏まえたきめ細やかな配分を、課税経費率や医療費シェア等を活用して精緻(せいち)に行う、(5)消費税率が5%から8%に引き上げられた際の対応をいったんリセットし、5%から10%への対応を行う―こと等を説明した。
 その上で、非課税である社会保険診療と消費税の関係について、医療機関は仕入れ等でコストを支払う時に消費税を負担しており、増税に伴って必要となるコストの補てんが診療報酬に上乗せされているが、公聴会でもその周知の必要性が指摘される状況であることから、国民に理解されるように積極的なPR・周知を行うよう、国へ要望。「今回の診療報酬の上乗せが、決して医療機関の利益になるわけではないことをご理解頂きたい」と強調した。
 更に、患者さんの立場では、受診の際に受けた個別の診療行為に直接対応する消費税分を負担するのが理解しやすい考え方であるものの、過去に個別の診療項目に上乗せした結果、検証不可能な状態になったため、できる限りシンプルで、分かりやすく、広く薄く公平に上乗せするのが望ましいということで、基本診療料に代表させることになった経緯を紹介。診療報酬への上乗せで対応する限り、全ての人に納得してもらえる上乗せはできないことに理解を求めた。
 また、同常任理事は(4)について、平成元年度改定以降、長年、補てんが十分であるか否かについて、検証に基づく見直しが全く行われていなかったことから、医療界には不信感や不満があったとした上で、「平成が終わろうとしている中、ようやくきめ細やかな配分と継続的な検証ルールができたことは、遅きに失する感は否めないが、このルールによって、控除対象外消費税の問題は対応できるものと考えている」と指摘。今後、継続的な検証と必要に応じた見直しが適切に行われるよう、引き続き注視していく方針を示した。
 同常任理事は最後に、将来消費税率が10%から更に引き上げられた際の医療に係る消費税問題への対応については、今後、幅広い議論を行っていく必要があるとの認識を示した。

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