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平成30年(2018年)10月19日(金) / 「日医君」だより

平成30年度第1回外国人医療対策委員会を開催

 平成30年度第1回外国人医療対策委員会が10月17日、日医会館で開催された。

 本委員会は、政府の方針等を踏まえ今後増加することが予想される訪日外国人旅行者並びに在留外国人に対し、適切な医療提供について総合的に検討することを目的として設置されたもの。日医で外国人医療に関する委員会を設けるのは初めてのこととなる。

 委員会は、担当の松本吉郎常任理事の司会で開会。冒頭には、日医を訪れていた小泉進次郎自民党厚生労働部会長も委員会に参加。「大きく、そして幅広い課題が山積している分野ではあるが、皆さんとしっかりコミュニケーションを図り、取り組んでいきたいと考えているので、よろしくお願いしたい」とあいさつを行った。

 引き続きあいさつした横倉義武会長は、「7月4日に開催した第1回外国人医療対策会議を通して明らかになった課題等について検討し、あるべき外国人医療の姿について提言して欲しい」と述べるとともに、今秋より開催予定の厚生労働省「訪日外国人旅行者に対する医療の提供に関する検討会」で示す予定の日医からの提言に対しても率直な意見を求めた。

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 続いて、横倉会長が委員長に渋谷健司東大大学院教授、副委員長に堤康博福岡県医師会副会長、豊田秀三広島県医師会副会長をそれぞれ指名。渋谷委員長には横倉会長から、諮問「地域医療における外国人医療提供体制のあり方について」が手交された。

 議事に先立ち、あいさつした迫井正深厚労省審議官は、各医師会の日頃の対応に感謝の意を示した上で、政府、厚労省の取り組み状況を説明。「今後は、拠点となる医療機関、地域の選定を行うとともに、診療マニュアルの策定にも取り組んでいきたいと考えているので、引き続きの協力をお願いしたい」と述べた。

 議事では、まず、渋谷委員長が「日本の医療の国際化に向けて」と題して講演。外国人が医療機関を訪れる可能性は想像以上に高く、各地域・各医療機関の特性を考慮した対応が求められるとするとともに、外国人への対応は、日本人患者における課題解決や経営力向上の契機にもなると指摘した。

 引き続き、各医師会や団体の取り組み状況について報告が行われた。

 伊藤利道北海道医師会常任理事は、道医が実施した「外国人患者受入に関するアンケート調査」の結果を説明した上で、今後必要なこととして、医療通訳者並びにIT導入に向けた予算の確保等を挙げた。

 島﨑美奈子東京都医師会理事は、都医の具体的な取り組みを紹介。今後の課題として、「医療通訳の質の向上」「利便性のある翻訳ツールの開発」等があるとした。

 齊藤典才石川県医師会理事は、同県医師会で実施している電話による医療通訳「メディフォン」の実証実験について報告。より多くの方に活用してもらえるよう、利用する側の医療機関からの要望を踏まえて改善していく意向を示した。

 加藤雅通愛知県医師会理事は、あいち医療通訳システム推進協議会の活動を説明。派遣に当たって新たに必要となった知識等を提供するため、フォローアップ研修も実施しているとした。

 城間寛沖縄県医師会理事は、外国人観光客患者の急増に伴う様々な問題は個々の医療機関で対応できるもではないと指摘。その上で、沖縄県おける行政の対応として、「訪日客医療費未払いへの対応」「医療通訳への対応」を紹介した。

 松岡かおり千葉県医師会理事は、成田赤十字病院で行われている外国人患者への対応を踏まえた課題を紹介し、「医療通訳の充実」「医療コーディネーターの育成」等について検討を行うことを求めた。

 小林米幸AMDA国際医療情報センター理事長は、同センターの電話医療・医事相談事業について報告。医療通訳に関する費用負担は医療機関、患者共に困難であり、国の委託を受けた電話通訳事業として行うことが適切との考えを示した。

 その後は第1回目の委員会ということで、各地域の課題や取り組み等について、フリートーキングが行われた。

 委員会では、その下に「訪日外国人に対する医療」「在留外国人に対する医療」をテーマとした2つのワーキンググループを設け、検討を進めていくことにしており、当日も、本委員会終了後に両WGにより活発な議論が行われた。

問い合わせ先:日本医師会地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)

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