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平成30年(2018年)7月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「骨太の方針2018」(原案)等に対する日医の考えを説明

定例記者会見 6月6日

 横倉義武会長は、6月5日に経済財政諮問会議に提出された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(いわゆる「骨太の方針2018」)(原案)等に対する日医の考えを説明した。
 同会長はまず、「骨太の方針2018」に関して、社会保障改革を基軸とする「基盤強化期間(仮称)」の設定が提言されたことに触れ、「同提言の中には、『社会保障制度の持続可能性確保が景気を下支えし、持続的な経済成長の実現を後押しする点にも留意する』という文言も盛り込まれており、社会保障と経済成長は相互作用の関係にあるという日医の主張が一定の理解をされた」と評価した。
 次に、原案の中で、2019年10月に予定されている消費税率引き上げに合わせ、幼児教育の無償化と介護人材の処遇改善を実施すると提言されていることに対して、「それらの前倒し財源によって社会保障の充実の中から医療が取り残されることがあってはならない」と警戒感を示した。
 また、これまでの記者会見等で繰り返し言及している原案における懸念事項(①保険給付率と患者負担率のバランス等の見える化②地域別の診療報酬の設定③受診時定額負担)については、「いずれの事項も『検討する』とされたが、今後の検討の場においても日医は『国民の安全な医療に資する政策か』『公的医療保険による国民皆保険を堅持できる政策か』という二つの判断基準に照らし合わせて主張していく」とした。
 同会長は、その他の個別事項についても言及。
 (1)糖尿病等の生活習慣病の重症化予防については、医師会、かかりつけ医、専門医、行政、保険者等が有機的に連携できている埼玉県のような好事例を全国に横展開するような取り組みを、日医として2016年から推進していると説明した。
 (2)都道府県レベルでの"日本健康会議"の開催については、宮城県と静岡県で都道府県版日本健康会議が設けられたことを紹介した上で、日医では、都道府県医師会に対し、日本健康会議の都道府県版をつくることを呼び掛けるために、6月15日に「都道府県医師会予防・健康づくり(公衆衛生)担当理事連絡協議会」を開催すること(別記事参照)、都道府県の住民の予防・健康づくりに向けて、より積極的に支援していくとした。
 (3)緊急時の治療において本人の意思を関係者が随時確認できる仕組みの構築に関しては、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の主体となる国民に、その内容を普及させるために、馴染みやすい日本語の名称を付けることも提言していることを説明した他、原案に示されている「人生の最終段階における医療・ケアについて考える日の設定」については、還暦や古希などの節目のタイミングを活用することを提案した。
 (4)医学部の定員の在り方については、「定員の減員は医師の偏在等今後の動向を十分に踏まえ、画一的に行うのではなく、各地域の実情を十分に勘案すべきであり、併せて、地域定着率の高い地域枠、地元枠医師の確保等についても考慮することが必要」との見解を示した。
 (5)中小企業等への支援については、本年4月に雇用関係助成金の中小企業事業主の定義が変更され、医療法人が助成金の対象となりやすくなったことを踏まえ、「健康づくりと併せてまちづくりとまちの活性化につなげるため、医療機関についても同様の支援を得られるよう、厚生労働省や中小企業庁を始め、政府・与党に対して更に理解を求めていく」と述べた。
 (6)地域医療機関における外国人患者受け入れ体制の構築については、都道府県医師会とさまざまな問題を議論することを目的として、「第1回外国人医療対策会議」を7月4日に開催すること及び同会議が「東京オリンピック・パラリンピックの応援プログラム」でもあることを紹介した。
 最後に同会長は、「『骨太の方針2018』で示された各種項目はいずれも医療と密接に関係するものである」と強調し、引き続き日医の意見が政策に反映されるよう、政府・与党に対して働き掛けを行っていく姿勢を示した。

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