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平成30年(2018年)4月5日(木) / 日医ニュース

「学校医に求められること」などをテーマに

「学校医に求められること」などをテーマに

「学校医に求められること」などをテーマに

 平成29年度学校保健講習会が3月11日、日医会館大講堂で開催された。
 道永麻里常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(今村聡副会長代読)は、まず東日本大震災の発生から7年が経過したことに触れ、被災者へのお見舞いと亡くなられた方々へのお悔やみを述べるとともに、学校医による児童生徒の心のケアや健康支援に対し謝意を示した。
 また、昨年学校医の代表として委員に就任した中央教育審議会での議論の中で、第3期教育振興基本計画における健康教育の内容を充実することや、教職員の働き方について医療界から意見を取り入れる考えがあることが示されたことに言及し、教育行政に医療界が欠くことのできない存在であることを、引き続き中央教育審議会の場で主張していく方針を示した。

講演1「特別支援学校の実際~教育と医療的ケア」

 前田浩利医療法人財団はるたか会理事長は、「医療的ケア児」の特徴及び学校における問題、医療・福祉・教育の連携等について講演した。
 医療の進歩に伴い、「医療的ケア児」は増え続けているとした他、現在の制度上の問題点等を指摘。その中でも特に学校に関連する問題は大きいとの認識を示した上で、「入学等を断られる場合もあり、どのような子ども達でも学校に行けるようにしていきたい」と述べた。

講演2「がん教育について」

 林和彦東京女子医科大学化学療法・緩和ケア科教授は、がん教育の目的や内容、医師が外部講師としてがん教育を行うための心構えや必要な準備等について解説。「学校教育は、正しいがんの知識を普及させるための究極の啓発活動である」と述べるとともに、がん教育の目標は、①がんについて正しく理解する②健康と命の大切さについて主体的に考える―ことができるようにすることだとした。

シンポジウム「学校医に求められること」

 初めに、岩田祥吾南寿堂医院院長/『学校医は学校に行こう』編集委員長が基調講演として、「学校と学校医」「校内と校外」の連携の構築等について説明。「お互いに交流しようという姿勢を持つことが大切である」とした上で、学校側がすべきこととして「次年度学校保健計画の計画的な立案」等を、学校医がすべきこととして「毎月行う『健康相談日』を決めて保健計画案に最初から記しておくなどの工夫をして学校に行くこと」等をポイントとして挙げた。
 藤本保日医学校保健委員会委員長は、「日本医師会学校医アンケート」の結果について概説。
 新しく始まった運動器検診についての結果を重点的に説明するとともに、学校医全体の課題として、①50~60歳代が多く高齢化している②業務量の増大③絶対数の不足と地域偏在―を挙げた。
 東邦裕全国学校保健主事会会長/大阪市立歌島中学校校長、村井伸子全国養護教諭連絡協議会会長/埼玉県立春日部高等学校養護教諭、佐藤秀行日本PTA全国協議会常務理事は、学校長、養護教諭、PTAそれぞれの立場から学校保健活動と学校医に期待することについて説明した。
 東氏は、「学校医に学校のことを知ってもらいたい」と述べ、①双方の歩み寄りによる真の連携②学校現場と何でも話し合える関係づくり③前例にこだわらない健康推進へのアプローチ―等が重要であるとした。
 村井氏は、学校保健委員会について、「関係者が集まる貴重な機会であり、出席して欲しい」と述べた上で、多様化する児童生徒の健康課題の解決は、身近で専門的立場である学校医の連携なしには成し遂げられないと強調した。
 佐藤氏は、近年の大きな課題として、「いじめ対策」を挙げ、取り組みを紹介するとともに、「専門の医師からのアドバイスを学校保健委員会のみならず、PTA総会や研修会等を通して伝えて欲しい」と要望した。
 引き続き行われた総合討論では、関係者がスムーズに連携を取り合える関係の構築方法や、対応の地域差・個人差等について積極的な議論が行われた。
 最後に、道永常任理事が総括し、講習会は終了となった。参加者は325名。

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