閉じる

平成30年(2018年)3月20日(火) / 日医ニュース

地域支援病院で島医者を育てる

勤務医のひろば

地域支援病院で島医者を育てる

地域支援病院で島医者を育てる

 当院は、沖縄県の二次医療圏、中部医療圏(人口46万人)にある550床の地域支援病院である。
 第二次大戦後の混乱期に設立、その後、1967年より医師研修事業を開始、1000名以上の卒業生を送り出しているのも特徴である。
 当初は病院で働く医師養成が中心であったが、1978年より自治医科大学の卒業生を受け入れ、卒後3年目から医師一人が勤務する県立離島診療所に送り出していた。1996年からは自治医科大学以外の大学にも枠を広げ、2006年からは日本プライマリ・ケア学会認定の後期研修プログラムとなり、その後の卒業生は70名を越えている。
 今年度は、16ある県立離島診療所全てが当院プログラムに関係する医師でカバーされている。2018年からは、日本専門医機構が認定する総合診療研修プログラムが始まることとなる。
 当院のプログラムの特徴は、「島医者養成」にある。後期(専攻医)研修中に、離島診療所での単独診療(専攻医3年目)がプログラムされている。
 「単独診療が研修と言えるのか?」と議論になるところだが、専門医機構が定める「指導医による週に1回の直接対面または遠隔テレビ会議等による振り返りと、3カ月に1回の研修先訪問を必須とする」条件をクリアしての赴任となる。
 急性疾患に関わるものに関しては当院で十分な研修を行うことができるが、離島診療所で必要な家族全体、地域全体を診る能力は、赴任前の離島診療所での短期間研修などで土台をつくり、離島診療所に赴任して、実地でその能力を身につけることになる。
 「島医者は島が育てる」という言葉が指導医で語り継がれている。離島で医療に関わるさまざまな職種や住民との協働を離島診療所医師は行っている。
 医師として成長していく過程を、遠隔テレビ会議や離島への直接訪問で実感できるのが、指導する医師の仕事の醍醐味である。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる