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平成29年(2017年)10月20日(金) / 日医ニュース

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

 第13回国民医療推進協議会(会長:横倉義武日医会長)総会が10月3日、日医会館小講堂で開催された。
 当日は日医から、国民に必要かつ十分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保と消費税問題の抜本的な解決を求めるため、「国民医療を守るための国民運動」を展開していくことを提案し、全会一致で了承された。

 今村定臣常任理事の司会で開会。会議の冒頭、あいさつした横倉会長は、「厳しい財政状況の中、医療界としても、医療費削減に向けた自助努力を引き続き行っていく」とした上で、「社会保障費抑制による給付範囲の縮小といった手法は、国民皆保険を崩壊させる大きな要因となり、断じて容認することはできない」と述べ、国民に必要かつ十分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保と、医療等に関する消費税問題の抜本的解決を政府に求めることを目的とした国民運動の展開に理解と協力を求めた。

議事

 引き続き、議事「国民運動展開の件」に入り、(1)医療・介護の適切な財源確保に向けて、(2)医療等に関する消費税問題―についての説明が行われた。
 (1)では、中川俊男副会長が、社会保障費の自然増や2002年度以降実施されてきた医療費の削減、2014年4月の消費税率5%から8%への引き上げ以降の消費税率引き上げと診療報酬改定との関係等について解説。
 その上で、2017年度予算では、消費税増収分8・2兆円のうち、「①後代への負担のつけ回しの軽減」分が3・3兆円、「②社会保障の充実」分は1・35兆円となっているが、消費税率10%に引き上げられると、①の3・3兆円が7・3兆円(実際は軽減税率の導入により若干目減り)に増えると説明するとともに、安倍晋三内閣総理大臣が、増収分の一部を子ども・子育て支援や教育無償化等へ使途を変更すると公表したことに言及。「②の社会保障の充実分は、1・35兆円から2・8兆円に拡大する。ぜひ、この社会保障の充実分については、消費税率が上がらない時でも財源がないと言わずに、財政の硬直化を改善して柔軟な使い方ができるようにしてもらいたい」と主張するとともに、「①の増収分の一部についても、子ども・子育て支援や教育無償化だけでなく、医療を始めとする社会保障の充実に充ててもらえるのであれば、なお望ましい」とした(別記事図参照)
 (2)では、今村聡副会長が、医療界の控除対象外消費税問題について、5%時点までの診療報酬(本体)への補てん不足は依然として残っていること、5%から8%までの3%分のマクロの補てんはできているが、個々の医療機関ごとの補てんにはバラツキが生じていること等を説明し、現行方式の限界だと指摘した。
 更に、『平成29年度税制改正大綱』(自民党・公明党)にも「医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられるまでに(中略)総合的に検討し、結論を得る。」と明記されていることや、消費税対策に関する日医・四病院団体協議会の『平成30年度税制改正要望』の内容を説明。「国民医療推進協議会一丸となって要望活動を行い、この問題の抜本的解決を実現したい」と述べ、協力を求めた。
 続いて、今村常任理事が、今回の国民運動の活動概要と決議案の内容を説明。具体的には、(1)国民集会「国民医療を守るための総決起大会」を11月22日に憲政記念館講堂で開催し、決議を採択、(2)都道府県医療推進協議会に対し、①都道府県医療推進協議会主催の地域集会の開催・決議採択②地方議会会期中の都道府県においては、地方議員・議会に対し、地方自治法第99条に則った意見書を国会等に提出するよう要望③国民集会への参加協力―を依頼、(3)全国各地からの決議文並びに国民集会の決議文をもって、政府関係各方面へ上申―するとした。
 協議では、国民運動の展開が全会一致で了承され、決議(別掲)が、協議会として採択された。
 なお、当日は、国民医療推進協議会の40構成団体のうち、36団体より65名が出席した。
 総会終了後には、横倉国民医療推進協議会長、同協議会の堀憲郎(日本歯科医師会長)・山本信夫(日本薬剤師会長)・福井トシ子(日本看護協会長)各副会長がそろって記者会見を行い、社会保障財源の確保の重要性を改めて訴えた。
 横倉会長は、国民に適正な医療を提供できる財源を確保することは重要な課題だと指摘。「衆議院選挙があり、どのような政権になるか分からないとの報道もあるが、どのような政権になったとしても国民医療を壊すわけにはいかない。財源確保に向けて、しっかり闘っていく所存であり、ぜひ協力をお願いしたい」と述べた。

決議
 世界に類を見ない少子高齢社会において、国民が生涯にわたり健やかでいきいきと活躍し続ける社会を実現していくためには、持続可能な社会保障制度の確立が不可欠である。
 よって、本協議会の総意として、次のとおり要望する。
一、国民が将来にわたり必要な医療・介護を安心して充分に受けられるための適切な財源の確保
一、国民と医療機関等に不合理な負担を強いている医療等に係る消費税問題の抜本的な解決
以上、決議する。
平成29年10月3日
国民医療推進協議会
参加団体(40団体 50音順)
 健康・体力づくり事業財団、全国公私病院連盟、全国自治体病院協議会、全国腎臓病協議会、全国病院理学療法協会、全国訪問看護事業協会、全国有床診療所連絡協議会、全国老人保健施設協会、全日本鍼灸マッサージ師会、全日本病院協会、日本医業経営コンサルタント協会、日本医師会、日本医療社会福祉協会、日本医療法人協会、日本医療保険事務協会、日本ウオーキング協会、日本栄養士会、日本介護福祉士会、日本学校保健会、日本看護協会、日本救急救命士協会、日本作業療法士協会、日本歯科医師会、日本歯科衛生士会、日本歯科技工士会、日本視能訓練士協会、日本柔道整復師会、日本鍼灸師会、日本診療放射線技師会、日本精神科病院協会、日本精神保健福祉士協会、日本病院会、日本病院薬剤師会、日本訪問看護財団、日本慢性期医療協会、日本薬剤師会、日本理学療法士協会、日本臨床衛生検査技師会、日本臨床工学技士会、 認知症の人と家族の会
キーワード:国民医療推進協議会とは
 国民医療推進協議会は平成16年10月、「国民の健康の増進と福祉の向上を図るため、医療・介護・保健及び福祉行政の拡充強化を目指し、積極的に諸活動を推進すること」を目的として、日医が各医療関係者団体等に呼び掛け、発足したものである。
 現在の参加団体は別掲の40団体であり、会長は日医の横倉義武会長が務めている。

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