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平成29年(2017年)5月5日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

4つの提言を踏まえ医師の団体の在り方について引き続き検討していく考えを示す

医師の団体の在り方検討委員会報告書まとまる

 医師の団体の在り方検討委員会の報告書がこのほど取りまとめられたことを受けて、横倉義武会長は4月12日、今村聡副会長、釜萢敏常任理事並びに本庶佑同委員会委員長(京都大学名誉教授)と共に記者会見を行い、報告書の内容や今後の日医の対応等について説明した。

 医師の団体の在り方検討委員会は、医師の自主性と自律性を発揮しながら、医師の偏在を含む医療におけるさまざまな問題をどのように解決するのか、またそのためにはどのような医師の団体の在り方が必要なのかを検討するため、昨年10月に会内に設置されたものである。
 同委員会では、昨年12月に、今後議論していく上で中心となる以下の4つの論点(①医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度において、医師の団体等が自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくる必要性の有無②その仕組みをつくるために、全員加盟の医師の団体を形成することの是非や可能性・実効性③医師の偏在解消に向けて、都道府県を単位に医師の団体等が大学等や行政と協働・連携して問題解決に当たる仕組み④これらの論点について、例えば保険医や保険医療機関の在り方等も含め、議論の深化を図っていく)を示した「中間報告」を公表しているが、今回の報告書は、その後、更に議論を重ね、取りまとめられたものである。
 本報告書は、「はじめに」「提言」「結びに」で構成されており、「提言」の中では、①公的医療保険制度においては、医師は自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくり、医師の偏在解消を実現していくことが必要②①の仕組みをつくり運営していくため、行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要③医師の地域偏在解消に当たっては、医師の団体が関係機関との協働や行政との連携、更には国民や若い世代の医師等も含めた討議を通じて、全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進していくことが重要④日医は、診療科偏在解消に向けて、日本専門医機構が長期ビジョンに基づく適切な専門医制度を運営するよう、更なる関与を強めていくことが必要―という4つの事項が盛り込まれている。
 当日の記者会見では、まず、本庶委員長が昨年10月から4回にわたって議論を重ね、「中間報告」を踏まえた今回の報告書を3月29日に横倉会長に提出したことを報告し、その内容を概説した。
 その上で、同委員長は、今回の提言を基に、引き続き議論の深化が図られることに期待感を示すとともに、日医に対しては、本報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、今後も医師の偏在等、医療を取り巻く多くの問題の解決のため、積極的な取り組みを進めていくことを求めた。
 続いて、横倉会長は、医師の偏在解消に向けて政府内でも議論が活発化していることに触れた上で、「日医では、以前からこの問題について鋭意検討を行ってきたが、医療を取り巻く課題については、我々医師が、現場の声をエビデンスにしながら、その解決に向けた議論をリードしていくことが必要である」と強調。本報告書を踏まえて、医師の偏在を含む医療におけるさまざまな問題解決に向けた議論に臨むとともに、組織力強化の観点から、医師の団体の在り方について、引き続き検討していくとした。
 釜萢常任理事は、医師の偏在解消に向けて、さまざまな取り組みが必要だとする一方、平成30年から開始予定の新たな専門医の仕組みによって、医師の地域・診療科偏在を解決するのは難しいとの見方を示し、「専門医の仕組みについては、医師の専門性を高めるという学問的な観点から検討し、地域医療を混乱させることのないよう制度設計をしなくてはいけない」とした。
 今村副会長は、今後に関して、「委員会の継続が決まっているわけではないが、それぞれの項目について議論していける体制を整えたい」とするとともに、「医師が公的医療保険制度の中で担っている役割を発揮しながら自律的に偏在対策を進めるためにも、一つの団体の中で意見を集約していくことが大切である」との考えを示した。

医師の団体の在り方検討委員会報告書4つの提言

①職業選択の自由の下、医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを認識した上で、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくり、医師の偏在の解消を実現していくことが必要である。

②①の仕組みをつくり運営していくため、また、国民の医療に対する期待に応えていくためにも、行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要である。

③医師の地域偏在解消に当たっては、地域の医療事情に応じた対応が求められる。医師の団体が、大学などの関係機関との協働や行政との連携、更には国民や若い世代の医師等も含めた討議を通じて、全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進していくことが重要である。

④現在、進められている新たな専門医の仕組みは、医師の診療科の偏在の問題に重大な影響を与える。日医は、診療科偏在解消に向けて、日本専門医機構が長期ビジョンに基づく適切な専門医制度を運営するよう、更なる関与を強めていくことが必要である。
医師の団体の在り方検討委員会

◎本庶  佑(京都大学名誉教授)
○今村  聡(日医副会長)
 栄畑  潤(損害保険ジャパン日本興亜株式会社顧問)
 幸田 正孝(医療経済研究・社会保険福祉協会顧問)
 森山  寛(東京慈恵会医科大学名誉教授)
 渡辺 俊介(国際医療福祉大学大学院教授)
 尾身  茂〔地域医療機能推進機構(JCHO)理事長〕
 門脇  孝(日本医学会幹事/日本医学会連合理事)
 立谷 秀清(福島県・相馬市長)
 堺  常雄(日病会長)
 西澤 寛俊(全日病会長)
 小玉 弘之(秋田県医会長)
 空地 顕一(兵庫県医会長)
 中川 俊男(日医副会長)
 松原 謙二(日医副会長)
 今村 定臣(日医常任理事)
 釜萢  敏(日医常任理事)

 専門委員
 畔柳 達雄(日医参与・弁護士)
 奥平 哲彦(日医参与・弁護士)
 手塚 一男(日医参与・弁護士)
【今村副会長・釜萢常任理事・総務課】
◎:委員長、○:副委員長

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