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平成29年(2017年)3月5日(日) / 南から北から / 日医ニュース

サーフィン

 私はサーフィンを趣味にしており、始めてから12年になる。
 医師では珍しいのだが、それは始めるきっかけがないのと、始めたけれど続けられないという理由があるからだろう。
 32歳で始めてから5年間は、週に1~2回海に入り、それなりに楽しんでいた。海は入るだけでも見るだけでも気持ちがいい。冬は全長2メートルのスナメリが鼻先まで接近するし、夏の巻いた波の中には50~60センチメートルの魚が群れており、日光に透かして影を見ることができる。恐らくボラだろう。スズキが小魚を追いかけるのを見るが、まれであり大きさも30センチメートル程度と小さい。浜からのルアー釣りでヒラメが時々釣られている。
 サーフィンはというと、一向に上達しなかった。その後、総合病院から今の職場に変わり、そのために変えたのではないが、結果的には週3回海に入れるようになり、上達を実感できた。震災後には1年間自粛したが、地元サーファーの尽力もあり、海のがれき撤去は予想以上に早く達成され、その恩恵を受けた。
 サーフィンのどんなところが楽しいかとよく聞かれる。一つには動力源の複雑さがあると思う。なぜ板が進むかというと、一番分かりやすいのが重力で、波斜面下方向が進む力となる。
 次に波に水平方向に押される力。沖から岸に波は向かうのだが、横から見て三角形の水の山が沖から岸に水平に移動すると考えると良い。海水浴をすると分かると思うが、沖から近付いてきた波は体の下をくぐりぬけて岸の方へいってしまう。しかし何かのきっかけで波の斜面にサーフボードが引っかかって留まれば一緒に岸まで水平移動できる。水平方向の速さは秒速10メートルくらいのことが多く、波に押されてしまえば、突っ立っていても時速40キロメートル程のスピードで飛ぶような感覚を味わえる。
 3つ目は波の斜面の下から上への流れ。斜面の岸側では水は下から上に流れるのである。そのため降り切ってから元いた高さより高いところに戻ることが可能になる。
 水平方向の移動は実に爽やかである。小さい頃にローラースケートを履いて台風の風に押されて遊んだが、大きくゆっくりとした力を受ける感じが似ている。また、タイミングが合った時の下から上への移動は一瞬である。瞬きする間に頭の高さまで跳ね上がる。重力による上から下へのスピードは意外となく不思議な感じである。海でこれらの非日常的な力を感じて推進力を得るというところが面白い。
 サーフィンは遊びの一つであるが、仕事の活力源にもなっている。健康にも抜群に良いので、仕事、家庭と両立して続けていきたい。

(一部省略)

宮城県 塩釜医師会会報 第507号より

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