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平成29年(2017年)2月5日(日) / 解説コーナー

医療問題Q&A

 今号では、多くの会員の先生方から寄せられた質問の中から、以下の質問に対する回答を掲載する。

羽鳥 裕常任理事

羽鳥 裕常任理事

Q昨年12月16日に開催された日本専門医機構第2回社員総会(関連記事5面)において了承された「専門医制度新整備指針」について教えて下さい。      






A 羽鳥:整備指針は、新たな専門医の仕組みの基本的な考え方を定めたものです。

 医師偏在の拡大などによる地域医療への影響を懸念する日医などからの要望により、新たな専門医の仕組みのスタートが1年延期され、平成30年度からとなったことに伴い、その改訂作業が日本専門医機構の中で続けられてきました。
 今回了承された「新整備指針」は、地域医療への配慮がなされている他、日本専門医機構と学会の関係も見直されるなど、以前の指針を大きく改訂したものとなっています。
 改訂に当たって、日医では日本専門医機構に対して、横倉義武会長名で、以下の7つの事項を反映したものにするよう要請を行いました。
 ・基幹施設の基準は大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、原則として都道府県ごとに大学病院以外の医療機関も含め複数の基幹施設が認定される基準とすること。
 ・従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望する場合は、連携施設となれること。
 ・専攻医のローテートについては、特別な症例を経験するために必要になるなどの事情がなければ、原則として6カ月未満で所属が変わらないこと。
 ・専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設があるプログラムは、原則として、募集定員が過去3年間の専攻医の採用実績平均を超えないこと。
 ・専攻医の採用は基幹施設だけではなく、連携施設でも行えること。
 ・プログラムの認定に当たっては、各都道府県協議会において、医師会、大学、病院団体等の地域医療関係者の了解を得ること。
 ・研修期間については、妊娠、出産、育児等の理由により中断することができ、かつ、6カ月までの中断であれば、残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで、研修を延長しないで済むこと。また、6カ月以上の中断の後研修に復帰した場合でも、中断前の研修実績は、引き続き有効とされること。
 今後、策定される運用規則で決められる部分もありますが、「新整備指針」は、これらの日医の意向が盛り込まれたものとなっています。
 今後については、各診療領域の運用細則を基に2~3月にかけて研修プログラムが策定され、4月以降に日本専門医機構の審査を経た上で6月から専攻医の募集が始められる予定です。
 会員の先生方には、多くのご心配をお掛けしましたが、「新整備指針」が了承されたことにより、平成30年度の開始に向けての第一歩を踏み出すことができたと考えております。
 今後も、地域医療に対する影響が出ることがないよう議論を進めて参りますので、引き続きのご支援、ご協力をお願いいたします。

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