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平成28年(2016年)12月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

国民皆保険を守る立場から引き続き意見を述べていく

 横倉義武会長は、11月30日の定例記者会見で、最近の薬価をめぐる動きを踏まえて、薬価算定の仕組みの見直しに対する日医の見解を説明した。
 その中では、「全ての薬価を毎年改定することは容認できない」とした他、現行の薬価算定の仕組みについても問題意識を示し、国民皆保険を守る立場から、今後も薬価算定の仕組みに対する意見を述べていく考えを示した。

 横倉会長は、まず、内閣府の経済財政諮問会議(11月25日開催)において民間議員から提出された3つの提案について言及し、(1)「流通価格を適切に反映する仕組みの構築」については、「全ての薬価を毎年改定することは容認できない」と主張。
 また、(2)「適正な市場価格等を反映した薬価へ」として提案されている3つの事項(①薬価設定当初と異なる事態の際の迅速な薬価改定②薬価算定の透明性③後発医薬品の引き下げ)については、「まさにこれまでの日医の主張と同じ方向性であり、改革を進めるべきである」とした。
 (3)「研究開発投資の促進」については、「営利企業である製薬企業のイノベーションを促すために、公的医療保険の診療報酬の加算を原資として使うのには無理がある」とし、「イノベーションは成長戦略の一環でもあり、経済産業省の補助金なども活用すべきではないか」との考えを示した。

薬価算定の仕組みの議論は中医協で

 また、横倉会長は、日医ではこれまで、「現在の製薬メーカー主導の仕組みではなく、いかに公的医療保険制度を維持しつつ、新しい医薬品を必要としている患者さんに使用していくかという視点で薬価算定の仕組みを根本的に見直すこと」を主張してきたことを改めて説明。
 「安全性・有効性が確認された新しい医薬品は速やかに保険収載されるべきだが、高額な医薬品は医療費全体に影響を及ぼし、ひいては国民皆保険の根幹を揺るがしかねないという懸念もある」とした上で、「薬価算定の仕組みは、経済財政諮問会議で検討するのではなく、まさに中医協が議論の場。まずは中医協でしっかりと議論することが大切である」と強調した。
 更に、同会長は、現行の薬価算定の仕組みに関して、外国平均価格調整については、①公的保険ではないアメリカにおける企業の希望小売価格も対象となっている②薬価収載後、外国平均単価が下がっているかどうかフォローされておらず、反映もされていない③単価だけを単純平均することには意味がなく、市場規模も勘案すべき④原価計算方式では、既に採算がとれているはずだが、有用性とは関係なく、外国平均価格調整で最大2倍まで引き上げられる―等の、また、類似薬効比較方式については、①新薬創出・適応外薬解消等促進加算後の薬価と比較するべき②薬価収載後の市場規模の推移は考慮されない③現在の為替レートで計算すると収載当時ほどの薬価にならないケースもある④薬価の高いバイオ医薬品を比較薬として化学合成品の新薬の薬価を算定した例がある―等の問題意識をそれぞれ説明。
 「これらの問題点も含め、日医は、今後も薬価算定の仕組みに関しては、国民皆保険を守る立場から主張していく」との考えを示した。

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