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平成28年(2016年)10月5日(水) / 日医ニュース / 解説コーナー

医療問題Q&A

横倉会長

横倉会長

 今号では、多くの会員の先生方から寄せられた質問の中から、以下の質問に対する回答を掲載する。  

Q今期の生命倫理懇談会では、高齢者の終末期医療について議論を行うと聞きました。その背景や終末期医療に対する日医の考え方について教えて下さい。

A横倉:超高齢社会になったことを受けて、終末期医療の在り方が問われるようになってきています。
 しかし、患者の尊厳を守るため、その意思表示を確認する「リビングウィル」の国民への浸透度はいまだに低く、人生の最終段階を迎える方の背景は多様です。また、亡くなられる場所に関しても、病院、介護施設、自宅等さまざまになっていますし、医療のあり方も、治す医療から、治し支える医療へと転換しつつあります。
 そのような中で、日医においても、終末期医療の在り方について、死生観も踏まえながら、医療関係者のみならず、宗教家や法曹界等さまざまな関係者も交えて、国民の合意も得ながら、議論をしていく必要があると考え、今期の生命倫理懇談会(以下、生倫懇)で、検討して頂くことといたしました。
 「経済財政運営と改革の基本方針2016」においても、「人生の最終段階における医療の在り方」への言及がなされていますが、この問題を考える際には財政論を優先するのではなく、患者の意思を尊重し、適切な医療を受ける患者の権利を保護していく中で、患者の尊厳を守り、生活の質をより重視した対応を考慮し、何が患者にとって最善なのかを考えるべきだと思います。
 そのため、今期の生倫懇では、人間の尊厳が大切にされる終末期の在り方、特に高齢者の終末期医療の在り方を中心に、一年程掛けてご議論頂く予定としています。
 今後は、生倫懇の見解も踏まえながら、より良い終末期医療の実現に向けて、取り組みを進めていきたいと考えています。

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