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平成28年(2016年)6月5日(日) / 南から北から / 日医ニュース

やっぱりAEDは賢い

 今日はもう終わりかな。夜間の診療時間を10分残し、気分は帰宅モード。そんな中「先生、倒れている人がいます」クリニックに響き渡る声。行ってみると、誰もいない待合室の床に仰向けに知らない男の人が倒れていて、看護師が声を掛けていた。
 泡を吹いていて、脈が......心肺停止! 心マしながら「AED!」。今まで装置は置いていたけれど使ったことがなかったので、説明書きを......。気が動転していて、これが読めないのである。とにかく胸を開けて、シールを貼ると、はっきりした女性の声で指示が出た。「計測中です」。
 そうこうしているうちに、消防車のサイレン(火事じゃないよ、急病だよ。電話間違ったんじゃないの)。体から離れて、スイッチを押して、「ズキン」。何と脈が触れてきた。「やった!」。救急隊が数名駆けつけてくれ、心マを交代して頂いた。
 それにしても、救急車の音いつ変えたの? フェースマスクをしながら聞こうと思ったら、救急車の音が近付いてきた。救急車が出払っている時は、消防車も出動しているとのこと。助かった。とにかく当院初診、新患で情報も全くなく、よくぞAEDを置いていた。その後数日して、関係全職員を集めて改めてAEDの学習会を開催したのは言うまでもない。
 1カ月も経たず「元気になりました」とあいさつに来られたが、お互い初対面?とは思えない雰囲気だった。それにしても、救急隊の対応に改めて感謝申し上げる。

宮崎県 日州医事 第791号より

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