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平成27年(2015年)11月20日(金) / 日医ニュース

第68回日本医師会設立記念医学大会 受賞者の功績紹介

 日本医師会最高優功賞のうち、都道府県医師会長推薦による「医学、医術の研究又は地域における医療活動により、医学、医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し、特に功績顕著なる功労者」と、その受賞理由を紹介する。

地域医療の充実及び学校保健活動に貢献した功労者
大里 篤志 先生(83歳 宮城県)

 気仙沼市、本吉郡の1市4町の地域保健・健康管理に差異があったことから、気仙沼市医師会の学校保健担当理事として、それらの一元化を提唱。市町共通意識を高めるとともに、学校医の適正配置を始め、児童、生徒の健康保持増進に大きく寄与した。
 また、気仙沼地域医療委員会副会長、会長を歴任、パラメディカルや住民向け研修会を開催するなど、地域包括ケアの基盤をなす気仙沼・南三陸地域在宅医療福祉推進委員会の発展に努めた。

地域医療・介護の充実に貢献した功労者
須田 滉 先生(76歳 福島県)

 昭和59年救急協力診療所の指定を受け(現在県内唯一)、30年間にわたり救急車の受け入れに貢献するとともに、市内医療機関、介護福祉施設からの患者も受け入れる等、数少ない有床診療所としての役割を果たす。
 また、プライマリケアから第3次救命救急医療体制の一元化と病診連携事業に取り組み、医療提供体制の効率化、医療の質の向上・住民の健康増進に大きく寄与した。

地域の保健・医療・福祉の向上に貢献した功労者
畑 誠 先生(72歳 埼玉県)

 上尾市医師会副会長として、会員向けFAX情報送信サービス(FAX BOX)の運用を開始。FAX BOXの簡易性・利便性は多くの会員に受け入れられ、現在も利用されている。
 また、同医師会長として行政と折衝を重ね、小児二次救急医療事業をスタートさせるとともに、上尾市医師会平日夜間・休日急患診療所を整備する等、地域医療・保健衛生の充実と進展に努めた。

医師会活動を通じて地域医療の発展に貢献した功労者
番場 道夫 先生(81歳 新潟県)

 新潟県医師会理事・副会長を歴任中、郡市医師会の編成替えや災害時における緊急医療体制の強化に向けた課題解決に邁進。医事紛争処理では、患者とのトラブルの円滑な解決に向け、専門医との連携を図り、解決の迅速化に尽力した。
 「地域住民の健康は医師だけの力では守れない。行政との連携が不可欠」との考えの下、行政や検診機関との連携と調整に指導力を発揮。生活習慣病対策を始め各種検診事業の円滑な実施に貢献した。

警察への協力活動に著しく貢献した功労者
瀧 邦彦 先生(96歳 富山県)

 69年の長きにわたり警察医を務める傍ら、異状死体の検視・検案業務に昼夜・休日を問わず出動、他の地区からの応援要請にも快く応じ、年平均50体余の検案業務を行った。
 また、「誰かがやらなければならない大切な仕事」との使命感の下、冷静かつ綿密な死体観察と警察署員に対する懇切丁寧な実地指導に当たるだけでなく、年2回研修会を開催し、警察医のレベル向上と警察医会活動の活性化に尽力する等、信頼は今もなお厚い。

小児の保健・医療提供体制の確立に貢献した功労者
杉谷 正東 先生(80歳 静岡県)

 沼津医師会理事就任時より心臓検診、腎臓検診、脊柱側わん検診等の充実を図るとともに、平成2年、沼津市公立学校を対象に小児成人病予防検診を実施した。
 また、予防接種を受けたにも関わらず、麻しんに罹患する例が全国的に増加した時期に、小中学生を対象に麻しん抗体価を測定。その結果を基にワクチンの追加接種の必要性を行政当局に訴え、平成18年、現在の2回定期接種に先駆け麻しん追加接種を行政措置予防接種として実施させる等、小児保健医療の発展に多大に貢献した。

救急医療体制の整備・発展に貢献した功労者
西本 幸正 先生(85歳 愛知県)

 名古屋市瑞穂区医師会副会長時に、救急医療対策委員長として地域の救急医療の病院と診療所との連携を深め、休日診療の当番制の確立に尽力。
 また、救急医療においてトリアージの診断を行い、分かりやすい指針を示すことで治療の効率化を図った他、一時救急や二次救急医療機関等の協力を得て、患者転送方法や救急車の配置整備などの提言を行う等、地域住民が安心して治療を受けられる体制作りの実践・指導に努めた。

地域保健・医療の向上及び検案活動に貢献した功労者
金澤 豊純 先生(84歳 兵庫県)

 尼崎市医師会医業経営委員会委員として、医療機関での労務管理の問題点、労働保険の加入、職員の健康管理等の充実に尽力。
 また、昭和48年より警察署の死体検案に携わり、死因のはっきりしない遺体については、整形外科医の経験を活かし常に死因の特定に取り組むとともに、昼夜を問わず警察の出動要請に応え死因の早期解明に努める等、42年間で約2,000体の検案を行うなど、警察の検視に大いに貢献した。

地域医療の充実及び産業保健活動に貢献した功労者
関谷 勝行 先生(73歳 奈良県)

 奈良県内で初の医師会立訪問看護ステーションの立ち上げに尽力するとともに、設立後も訪問看護の質の確保、安心・安全なサービス提供体制の構築に努めた。
 また、地域産業保健事業の運営や啓発活動に取り組み、メンタルヘルスを含む健康相談を献身的に行う等、労働者の健康管理・健康増進に努めるとともに、産業医研修会を企画・立案し産業医の資質向上を行う等、産業保健サービスの向上に多大に貢献した。

地域医療の向上及び救急医療体制の確立に貢献した功労者
本城 典彦 先生(73歳 広島県)

 平成27年で248回を数える「東広島医療センター・東広島地区医師会合同カンファレンス」に第1回から欠かさず参加し、講演会・症例検討会の内容を毎月報告書にまとめ、出席できなかった会員へ周知伝達する等、地区医師会全体の診療のレベルアップに尽力。
 また、日曜出勤が可能な職員を常に確保し、地域の日曜・祝日等における内科・小児科の初期救急診療を支えるとともに、地域外から小児の受診も多く受け入れ、圏域の救急医療に多大なる貢献をしている。

警察への協力活動に著しく貢献した功労者
川口 陸奥男 先生(93歳 熊本県)

 熊本県警察協力医としての活動に積極的に参加し、警察の検視・死体調査への立ち会い、警察署内の留置人の健康管理等の公益的な職務を率先して行うとともに、全国に先駆けてAi(死亡時画像診断)の手法を採り入れ、その有効性を地域に広め、死因究明の精緻化にも多大に貢献。
 また、日本警察医会長として警察活動に協力する医師の業務の円滑な実施、待遇改善への取り組みに努め、更に、東日本大震災発生時には、日医との連携の下、遺体検分の医師派遣に尽力した。

地域医療・介護の充実に貢献した功労者
大勝 洋祐 先生(80歳 鹿児島県)

 平成12年4月、介護保険制度施行に先駆け、各郡市医師会に足を運び「かかりつけ医意見書」(現主治医意見書)のあり方の勉強会を実施し、介護保険制度の円滑な運営に努めた。
 また、自らが中心となり、鹿児島県リハビリテーション施設協議会を設立し、その存在意義と経営基盤を確立。更に、リハビリテーション関連団体の後方支援や地域リハビリテーション広域センターとの連繋を深め、活動を強力に支援してきた。

医師会活動を通じて地域医療の発展に貢献した功労者
當山 護 先生(74歳 沖縄県)

 平成8年に「南部地区周産期ネットワーク協議会(現沖縄周産期ネットワーク協議会)」を立ち上げると、未熟児を受け入れる国公立病院の空床情報を毎日那覇市医師会で集計。地域の診療所からの搬送がスムーズにいく仕組みを作り上げるなど、新生児の死亡率低下に大きく貢献した。
 更に、「健康福祉立県」構想をいち早く提唱。幾度となく沖縄県当局に提言し、その内容が県の政策に盛り込まれた。

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