グローバルに活躍する若手医師たち

日本医師会の若手医師支援

JMA-JDNとは

Junior Doctors Network(JDN)は、2011年4月の世界医師会(WMA)理事会で若手医師の国際的組織として承認されました。JDNは、世界中の若手医師が情報や経験を共有し、未来の医療を考えて行動するための画期的なプラットフォームです。日本医師会(JMA)は2012年10月に国際保健検討委員会の下にJMA-JDNを立ち上げました。これまで若手医師の集まりは学会や医局、地域、NGOなどの枠組みの中でつくられてきました。JMA-JDNは、多様な若手医師がそれらの枠組みを超えて、公衆衛生や医療分野において自由に自分たちのアイデアを議論し行動できる場を提供したいと考えています。関心のある方は検索サイトやFacebookで「JMA-JDN」と検索してみてください。

今回は、JMA-JDNの若手医師より、韓国の若手医師とのウェビナー(オンラインセミナー)の報告を寄せてもらいました。

 

韓国若手医師によるCOVID-19対策

北海道大学病院 内科1 JMA-JDN代表 佐藤 峰嘉

COVID-19により皆さんも授業・実習の延期や中止など、多大な影響が出たことと思います。

JMA-JDNでは今年5月に韓国の若手医師とウェビナーを行いました。韓国がCOVID-19のパンデミックにどのように対応し、若手医師の役割はどのようであったかをご報告します。

今回、韓国公衆衛生医師協議会(KAPHD)のチェ・セジン先生にお話していただきました。韓国では医学部卒業直後からレジデンシーを修了した段階の20~30代の男性医師が、兵役の代わりに3年間、主に無医地区、地方の保健センター、空港検疫や刑務所等で「公衆衛生医師(PHD)」として働く制度があります。2020年1月27日に4例のCOVID-19の感染が確認されてから、PHDが検疫のため空港に配置され、2月には大邱の感染拡大地区に200人のPHDが配置されたそうです。このパンデミックで1,000人以上のPHDが感染制御のため働きました。PCR検査の件数を増やすという韓国の戦略の前線に立ち、PCR検査の検体採取を行ったのは彼らPHDでした。有症状者はまず保健センターや病院等のスクリーニングセンターに行き、PCR検査を受けます。また、介護施設入居者等、自分で行くことができない人には、PHDが施設まで出向き検体採取を行い、軽症者が滞在する一時隔離施設での検査や診察等も行ったそうです。兵役の代わりのため、国からの指示でこの業務を行わねばならないわけですが、その分危険手当も報酬としてきちんと出されているとのことでした。

日本では、発熱のある患者さんの診療の受け入れ先を見つけるのに苦労する事例などがありましたが、スクリーニングセンターに必ず行くという流れができているのは韓国の優れた点だと感じました。そのなかでPHDが果たした役割は大変大きいと考えられます。

 

(写真左:隔離施設での検体採取、写真右:スクリーニングセンター)

 

佐藤 峰嘉
2012年北海道大学卒。北海道内で総合内科・呼吸器内科研修後、現在同大学で呼吸器内科診療・基礎研究に携わる。

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COVID-19で大変ですが、医学生の皆さんはどのようにお過ごしでしたか?

※先生の所属は、寄稿当時のものです。

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