グローバルに活躍する若手医師たち(前編)

日本医師会の若手医師支援

JMA-JDNとは

Junior Doctors Network(JDN)は、2011年4月の世界医師会(WMA)理事会で若手医師の国際的組織として承認されました。JDNは、世界中の若手医師が情報や経験を共有し、未来の医療を考えて行動するための画期的なプラットフォームです。日本医師会(JMA)は2012年10月に国際保健検討委員会の下にJMA-JDNを立ち上げました。これまで若手医師の集まりは学会や医局、地域、NGOなどの枠組みの中でつくられてきました。JMA-JDNは、多様な若手医師がそれらの枠組みを超えて、公衆衛生や医療分野において自由に自分たちのアイデアを議論し行動できる場を提供したいと考えています。関心のある方は検索サイトやFacebookで「JMA-JDN」と検索してみてください。

今回は、JMA-JDNの若手医師より、第3回JMA-JDN総会、その後に行われたワークショップおよび、北海道で行われた医学生・若手医師キャリア支援検討会の報告を寄せてもらいました。

 

医学生から医師になったときにJMA-JDNに参加する意義

世界医師会JDN役員 JMA-JDN前代表 阿部 計大

2018年7月21日に「若手医師と医学生のアツい夏!」と題したワークショップを行いました。JMA-JDNでは、2017年3月からJMA-JDN、医学生団体のIFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、AMSA Japan(アジア医学生連絡協議会 日本支部)、jaih-s(日本国際保健医療学会 学生部会)の代表者と月1回のオンラインミーティングを行っています。2017年7月に行った「アドボカシースキルワークショップ」に引き続き、今年は各々のワークショップを開催しました。

JMA-JDNからは、次ページの鈴木航太先生のようにスライドデザインを学ぶワークショップを行いました。IFMSA-Japanとjaih-sは共同で「健康格差の改善を目指す国際保健医療活動の模索~公衆衛生、性と生殖の視点から考えるケニアの保健事情~」と題したワークショップを実施しました。地域データをもとに、ケニアのある地区で妊産婦死亡を減らすための方策を行政や医療従事者等の役割に分かれてグループで話し合いました。AMSA Japanのワークショップは「夢を描こう&語ろう」と題して、参加者がA4用紙に自身の夢を描いたポスターを作成し、発表し合いました。

今回のような若手医師と医学生の世代を超えた組織的交流は多くありません。医学生から医師になると、社会に少しだけ貢献しやすくなります。個人で仕事をするのも良いですが、一人でできることには限りがあります。JDNは世界医師会で話し合われる様々な社会問題に関する政策提言作成の過程で発言したり、そのために普段から勉強会や地域でのイベントを実施したり、また調査や提言にも自主的に取り組んでいます。もし医師になって、病院や大学、学会では直接取り組むことが難しい社会課題にボランティアとして取り組みたいのであれば、JMA-JDNへの参加が選択肢の一つになるかもしれません。

 

阿部 計大
手稲渓仁会病院で研修後、東京大学大学院公衆衛生学博士課程に在学中。家庭医療専門医。認定内科医。認定産業医。

message
ボランティアで直接社会課題に取り組みたいのであれば、JMA-JDNへの参加が選択肢の一つです。

 

キャリア形成を考える北海道の若手世代
―北海道医師会医学生・若手医師キャリア支援検討会から―

JMA-JDN役員(国際) 佐藤 峰嘉

皆さんは医師としてどのように働きたいですか。病院や診療所で働く以外の働き方、都市部と僻地という異なる環境、また出産や介護等のライフイベント等について考えることもあるかと思います。キャリア形成には専門職として社会に負う使命と自己実現という側面があり、医学教育のなかでも近年少しずつ扱われるようになってきています。

2018年7月15日に北海道医師会主催の医学生・若手医師キャリア支援検討会が札幌で行われました。北海道医師会では、若手世代のキャリア形成を支援するセミナーを年に数回実施しており、JMA-JDNも企画協力を行っています。今回の支援検討会では当事者である医学生や若手医師が今後のセミナーの内容を検討しました。

前半では臨床心理士でもある小児科医の先生より、キャリアとは何かというテーマでお話しいただき、キャリア形成は成人の発達課題として考えることができることを知りました。

後半では北海道の医学生・若手医師に必要なスキルや学んでみたいことについて意見交換を行いました。コミュニケーションスキルや、地域での医療需要について、また多様性に対する寛容性、医療とAIの関連や国際的なキャリアなどに興味があるという意見が挙がりました。

今回のキャリア支援検討会で挙げられた意見をもとに、次回のセミナーでは国際的なキャリア・臨床の現場以外の働き方について取り上げることになりました。2018年10月28日にセミナーが行われる予定です。北海道は首都圏と比べ多様な働き方をしている医師と知り合うことのできる場は少なく、よい機会になることが期待されます。

 

佐藤 峰嘉
2012年北海道大学卒。砂川市立病院で臨床研修修了。北海道の地方中核病院で呼吸器・総合内科を研修後、北海道大学病院(内科I)勤務。

message
最近寒くなって風邪をひきました。皆様もお気をつけください。

※先生方の所属は2018年10月現在のものです。

 

グローバルに活躍する若手医師たち(後編)

第3回JMA-JDN総会、
スライドデザイン講座のご報告

JMA-JDN 副代表(外務) 鈴木 航太

2018年7月21日に、第3回JMA-JDN総会を開催いたしました。午前中は、新役員選出や内規修正といった、JMA-JDNの運営に関わる様々な決議を行いました。午後からは、「若手医師と医学生のアツい夏!」と題し、JMA-JDN、医学生団体のIFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、AMSA Japan(アジア医学生連絡協議会 日本支部)、jaih-s(日本国際保健医療学会 学生部会)がそれぞれ主催でワークショップを開催いたしました。若手医師団体と医学生団体が一緒にワークショップを作り上げるのは初の試みで、互いの団体の特徴を活かしつつ学び合うというまたとない機会になったのではないかと思います。イギリスからの参加者を含め、合計30名ほどの若手医師と医学生が参加しました。

JMA-JDNからは、京都大学大学院精神科医小林啓先生に「伝わる!医療者のためのスライドデザイン講座」と題した講演をしていただきました。「準備」「整理」「余白」の3つをキーワードに、伝わるスライドの作り方をわかりやすく教えていただきました。デザインというと、センスが求められるように思われがちですが、基本的なことを守るだけでもだいぶ印象は変わります。つい綺麗なスライドを作ることにとらわれがちですが、プレゼンテーションの主役は発表者であり、スライドはその補助であるということを改めて感じました。さらに、事前に参加者から募ったスライドをもとに、より見やすくするための実践的なアドバイスをしていただき、大変勉強になりました。

今回、若手医師と医学生のコラボワークショップを開催することができたのは、ひとえに、日本医師会国際課の皆様、JMA-JDNおよび各医学生団体の皆様、参加していただいた皆様のおかげと感謝しております。今後も各種ワークショップやイベントを開催してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

鈴木 航太
川崎市立川崎病院で初期研修修了後、慶應義塾大学精神・神経科学教室へ入局。 2016年4月より同大学大学院博士課程所属。

message
学生時代にIFMSA-Japanで忙しく活動していたことが、その後の医師人生でも役立っています。

 

 

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※先生方の所属は2018年10月現在のものです。